プロペシアの説明書の記載についてですが、半減期4時間のフィナステリドを24時間間隔で投与しても、投与間隔が半減期の6倍にも及ぶため、血中濃度が安定せず効果を発揮しないのではないかと考えております。
どのような理由から、フィナステリドの服用が24時間間隔になっているのでしょうか。
お手隙の際に回答いただけると幸いです。
よろしくお願い致します。
はげおやじら様
植毛医・毛髪外科医・薄毛治療医の内田です。
ご質問にお答えします。
まず、今回のご質問は、フィナステリドでなく薬理学の代謝の問題であるので、一般的なお話しをさせていただきます。
ご質問である
「投与間隔が半減期の6倍にも及ぶため、血中濃度が安定せず効果を発揮しないのではないか」
→ご指摘のとおり、血中濃度がsteady state(定常状態)に及ばないタイプ(及んだとしてもぎりぎり定常状態を作る)いわゆる単回服用タイプの服用方法となります。
内服を開始し、血中濃度半減期は4時間との記載は引用させていただきます。
まず、内服した薬剤は消化管より吸収され、血中濃度(C)の中でもCmax(最高濃度)、Cmin(最小濃度)とおきます。
仮に半減期(t)ごとにフィナステリドを内服継続したとすると、ほぼ7回程度の反復投与後にsteady stateに達します。
なぜなら、1回目のt経過後に、CはCmaxの50%、2t経過後に75%、3t経過後に87.5%・・・・以下同様となるからです。
すると、およそ6tや7t経過後に、血中濃度は定常状態に達しますから、ご指摘の通り、定常状態を作らずに、「単回投与の連続」といった服用方法であるといえるでしょう。
なぜ、そのようになっているかといえば、やはり効果が出ている必要最小限の血中濃度で留め、副作用の発症率を下げるためだと思います。
あくまで、内服効果判断は男性型脱毛症に対して、臨床的に整容面での評価判断となっているため、単回投与と複数回投与時の定常状態、ぎりぎり(6t=24時間となっていること)でも問題ないと言えます。
また、実際には毛髪皮膚部分での半減期(組織半減期といいます)はもっと長く、1日1回投与でも局所では定常状態を作っていると言えます。
内田直宏
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