なおるん先生
いつも積極的な情報発信ありがとうございます。植毛手術計画のあるべき形として、いつも勉強させて頂いています。
CV(被覆率)という考え方でのドナー採取計画について発信された記事が興味深かったので質問させて頂きます。
①手術計画時に移植部もCVで考えることはあるのでしょうか?
②移植部位やAGA進行状況、既存毛の状態、毛髪の性質(癖毛、長さ)にもよりますが、クライアントが満足しやすいCVは大雑把にどの値以上になるのでしょうか?
ノウハウにも該当すると思いますので、可能な範囲でお答え頂けると幸いです。経験的なものでも構いません。
参考)以前の前頭部への手術データ(含イメージ)を提示します。
43歳男性 NH分類3V-4型(前頭部)
毛質ストレート、やや太め、FUE手術経験ありで株分けデータから2,3本毛は日本人平均よりやや多めと言われたことがあります。
CV=平均移植密度29.2FU/cm2×平均本数2.3本/FU×太さ0.08mm
≒5.37
以上よろしくお願い致します。
よしー様
①あります。
ブログで記載している内容は採取時に関して、基本的な内容のみを記載しておりますが、移植部の場合、preoperative(術前)とpostoperative(術後)と分けて考え、専用の計算ソフトや計算式に当てはめて考えることもあります。具体的には、Estimated Grafts Needed=DCV(desireble CV)×ERA(estimated recipient area)/AhFU(average hairs/FU)×AC、かつ、PRCV(preoperative CV)=AC×ED(esimated density)×AhFUとして計算されます。例えば、AC=0.054、ED=48、ERA=89、DCV=5.4とすると、PRCV=6.19、Estimated Grafts needed=3729、Ah/FU=2.39となりますが、術後では例えばRRA(real recipient area)= 94、RR(real density)=47、GP(Grafts placed)=4301と数値が変更され、Ah/FU=2.50、ERCV(AC×GP/RRA×THGR(total hairs/graft rate))=6.17となり、RRCV(real recipient coverage value) =6.34となります。術後は移植後の時点で計算されますが、麻酔薬や腫脹の要素を考慮して計算する必要もあります。
②もしご質問に答えるとすると「minPRCV(RRCVとERCVも)=5.40ですから、それ以上が満足度が高いです。よしー様のおっしゃるCVとは、おそらくRRCVであり、この数値は、ERCV、PRCVと明確に区別されます。PRCVとRRCVのズレがなければないほど手術計画として優秀です」が答えとなります。ISHRSの植毛医の中でもRRCVが5.4に満ちていない場合は密度アップを必ず検討した方が良いと言いう医師等もおられるようです。
CVの最も大切な概念は、この数値を利用することで、①術直前の採取可能の最大数と照らし合わせながら、無理のない移植の計画をできること ②RRCVとPRCVの相違が少なければ少ないほど手術計画として優秀であると言えるという点です。これらの点を考慮すると、よしー様のおっしゃるCV=RRCVが5.37<5.40となっている点がご満足いただけていない可能性もゼロではないですが、PRCVとの差異がないことを(もしくはそれに準ずること)術前に執刀医によりしっかりと説明を受け、よしー様がそれに納得されている状態であれば手術計画としては問題ないと言えると思います。
内田
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