オナニーのやり過ぎではげる?自慰行為と薄毛の関係とは
先日このようなツイートをしました。
『自慰行為・オナニーで薄毛になるってホントですか?』という質問は本当によくご質問いただきます。
さまざまな研究や論文を渉猟する限り、現段階での答えは『否』ですが、自慰に夢中な人は食事が偏ったり、運動不足による代謝不良、自律神経の乱れによる薄毛を起こす可能性が高い、とまでは言えるでしょう。
結論、「オナニーが薄毛の原因になる」というのは科学的根拠のない迷信です。
ただし、このような「説」はどんなところから来ているのでしょうか?
この記事では「オナニー薄毛原因説」を主張するメインの2つの理論を分析します。
オナニーでハゲる理由2選
巷で「自慰行為が薄毛の原因になる」とする説の主張は、主に以下の2つがあります。
・男性ホルモンが増える
・亜鉛やたんぱく質が消費される
結論からすると、
男性ホルモンである「テストステロン」が射精により一時的に増加することは事実です。
また、精液にはタンパク質や亜鉛などが含まれており、どちらも髪の毛の成長には欠かせない栄養素です。
それでは、なぜ薄毛の原因になるとは言えないのでしょうか。それぞれ解説していきます。
射精でテストステロン増加説
1つ目の理論は以下のようなものです。
- オナニーをする
- テストステロンが増える
- ジヒドロテストステロンが増える
- AGAが進行し薄毛になる
まず、1→2までの流れは意外と半分的を突いていたりします。
オナニーというより、性行為によって男性ホルモン(テストステロン)が一時的に作られるのは事実です。
それだけでなく、実は心理的な興奮や性的な妄想によっても男性ホルモンの分泌が促されます。
ただし、薄毛やAGAの原因となるのはテストステロンではなく、それが変化したジヒドロテストステロン(DHT)です。
DHTに変化するためには5αリダクターゼという酵素の働きが必要ですし、DHTになったからといって薄毛への影響が確定するわけではありません。
DHTが毛根組織内でレセプターと結合し、ようやくヘアサイクルに影響が出てくるのです。
ということで、
射精により一時的にテストステロンが増加するものの、それによってDHTが増加するわけではないと考えます。
したがって、自慰行為によるテストステロンの増加をきっかけに、AGAによる薄毛が進行することはないでしょう。
射精で亜鉛大量消費説
2つ目の理論はこんな感じです。
① 髪を作るためにタンパク質や亜鉛が必要
② 精液にタンパク質や亜鉛が含まれる
③ 射精しすぎると髪を作る成分が減る
④ ハゲる
たしかに髪の毛の成分の99%はケラチンというタンパク質で、その合成の際に亜鉛はサポート役として働きます。
つまり、タンパク質も亜鉛も髪の健康状態を維持するために必要な成分であることは確かです。
一方、精液にもタンパク質や亜鉛が含まれており、「オナニーで消費する回数が増える=髪を作る材料が減少する」と考えられています。
ただし、一般的には一回の射精による精液の量はたいしたものではなく、5mlの精液に含まれるタンパク質の量も250mgほどに過ぎないと言われています。
常識の範囲であれば、薄毛に影響するほどの問題はないとされています。
まとめ
この記事では、自慰行為・オナニーと射精の関係性について、よくある2つの説を取り上げて解説しました。
結論としては、「薄毛とオナニーの直接の因果関係はない」と言えます。
都市伝説を気にして薄毛を気遣うなら、生活習慣やストレスなど、その他の原因がないかをチェックする方が良いでしょう。
すでに抜け毛・薄毛の症状が気になり始めている場合は、早めに専門医・専門クリニックに相談することをオススメします。
監修医師コメント
オナニーやセックスとの薄毛の関連性は患者様からよく聞かれる質問の一つですが、現状、関連性を示す明らかなエビデンスはございません。
オナニーやセックスとの薄毛の関連性は患者様からよく聞かれる質問の一つですが、現状、関連性を示す明らかなエビデンスはございません。