コラム

植毛治療

ホールスリットとラインスリットの違い⑤ 〜傷跡について〜

みなさま、こんにちは、植毛医の内田直宏です。

昨日は当院の看護師さんと自毛植毛オペ手技の細かいところをとにかく詰めて学ぶ(笑)というコンセプトの勉強会を開きました。😁

想像以上にたくさん質問が来ました。私自身、改めて看護師さんより学ぶことが多い1日となりました。

当院の植毛看護師の方々は皆プロフェッショナルであり、こだわりを持って手術を行なっておりますが、忙しい手術中にはフィードバックできないとにかく細かいこと一つずつを言語化して徹底的に話し合いました。医師目線と看護師目線で擦り合わせは定期的に必要となります。質問も思ったよりハイレベルでかなり濃い内容となりました。

勉強会は大変刺激になり、スタッフ同士の手術レベルの確認、向上につながるので定期的に開催しようと思っております。医療者たるもの、成長が止まったら負けです。

さて、今回は、ホールスリットとラインスリットの違い⑤として、傷跡についてお話していきたいと思います。

今までに密度やボリュームなどについて述べて参りましたが、傷跡についても話していきます。

繰り返し言いますが、傷跡云々の前に、毛が生えていることが最も重要であり、毛が生えなければラインスリットであろうと傷つけるだけで意味がありませんので、生着率、生えることの方が重要ということです。

1)ラインスリットの傷跡はやはりきれい

ラインスリットでは細いグラフトを入れた際には傷が線状のためきれいに治癒します。特に6カ月〜1年ほど経過すると、手術したのかほとんど分からずに治癒するケースが多いです。しかし、細い傷の特性上、これまでのブログで述べてきたような生着不良が起こる可能性があるため、注意が必要です。

当院では、細めの1本毛を挿入し、生え際の前列に無理のないラインスリットの使用を心がけております。

2)ホールスリットの傷跡は本当に醜いのか?

ホールスリットでは先端が円筒状のため、皮膚に筒状の穴として移植穴ができます。

この穴にうまく円柱状のグラフトが配置できなかった場合、穴の深さや大きさにより

ピッティングスカー pitting 少し凹んだ陥没したような傷跡

リッジングスカー ridge 少し盛り上がる

などが生じる可能性があります。具体的には

リッジング、ピッティングスカーの1例

ピッティングスカーはグラフトの丈の長さがホールの長さよりも短い場合に生じると言われており、

逆にリッジングスカーはグラフトの丈の長さがホールの長さよりも(かなり)長い場合に生じやすいと言われております。

ピッティングとリッジングの2つで言えば、リッジングの方がまだマシです。時間経過とともに瘢痕組織が成熟して平らになる可能性が高いからです。

面白いのは、移植したグラフトの丈の長さがホールの長さ(深さ)よりもわずかに長い、もしくは同じ場合には、ホールスリットでもかなりきれいに治ります。ラインスリットの傷痕かと見誤るほどきれいに治ります。

形成外科手術で植皮術という、皮膚の移植術があるのですが、特に顔面や頚部など、部位によって皮膚を移植したのかと目を疑うほどきれいに治るケースがままあります。皮膚の端っこもピタッと移植しているときれいに治ります。

また、ホールスリットとはいえど、一昔前までに使用していた直径の太いホールスリットだともちろん、直径が太いため傷跡は汚くなってしまいますが、当院では、特注の0.6mmのパンチを使用しているので、かなり傷がきれいになることが確認できております。マイクロホールと呼んでいます。

そのため、世の中でラインスリットとホールスリットの2択のように議論されているのは間違いという風に私は考えており、マイクロホールスリットの存在も加えた方が良いように考えています。

マイクロホールスリットでは正しく移植することで傷跡がきれいになり、ボリュームも出しやすいという点で優れていると考えています。

ただ、細い毛を移植する場合は、傷跡的にラインスリットが優れておりますので、総合的に考えることが重要です。

結論:傷跡だけを考えれば、ラインスリットを利用をすることが大切であるが、マイクロホールスリットを利用し、正しく移植を行えば、傷もかなりきれいに治癒するので両方の使い分けが大切と言えます。

いかがでしたでしょうか。

全5回に分けて、ラインスリットとホールスリットの違いについて説明していきました。特に、特徴、密度、ボリューム、傷跡について説明してまいりました。どれも大切な要素ですが、特徴を把握した上で使い分けることが肝要だと言えそうです。

それでは、また次回お会いしましょう。

このコラムの著者

アルモ形成クリニック 
院長 内田直宏

筑波大学医学部卒業後、マイクロサージャリー(顕微鏡手術)を含む形成外科施術に6年間従事。
年間200症例以上の自毛植毛施術を執刀しており、AGA治療(内服療法、注射療法、レーザー治療)や美容外科施術にも長けている。
自毛植毛だけでは実現の難しい、額をせまくする手術やFUT植毛による傷跡のカバーアップなどといった技術も高く評価を受けている。

内田医師のプロフィール画像

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