コラム
女性型脱毛症(FPHL)とは?|原因・症状・治療法を専門医が詳しく解説

女性にも多い「薄毛」の悩み
「最近、分け目が目立ってきた」「髪が細くなってきた気がする」
そんなお悩みを抱える女性は少なくありません。
実は、これは「女性型脱毛症(FPHL)」という医学的疾患かもしれません。
今回はこのFPHLについて、原因から最新の治療法まで、専門的かつ分かりやすくご紹介します。
女性型脱毛症(FPHL)とは?
FPHL(Female Pattern Hair Loss)は、女性に特有のびまん性脱毛症で、頭頂部から前頭部にかけて髪が徐々に細く・少なくなるのが特徴です。
進行はゆっくりですが、自然に治ることはなく、早期の対処が重要です。進行が進んだ場合には、分け目を中心にどんどん薄毛が進行してしまい、地肌が目立ってしまう可能性があります。
病態と原因|FPHLはなぜ起こるのか?
FPHLは、毛根が徐々に小さくなり(ミニチュア化)、太く長い髪が細く短い毛に置き換わることで起こります。
主な原因は以下の通りです。
遺伝的要因
家族に薄毛の人がいると発症リスクが高まります。
ホルモンバランスの変化
エストロゲン(女性ホルモン)の低下が関与し、閉経後に目立ちやすくなります。
アンドロゲン感受性
女性でも男性ホルモン(ジヒドロテストステロン:DHT)への毛包の感受性が影響します。
その他
ストレス・栄養不良・甲状腺機能異常なども関連します。
症状と進行パターン
FPHLでは以下のような特徴がみられます。
- 頭頂部から前頭部にかけての分け目が広がる
- 髪全体のボリュームダウン
- 生え際は比較的保たれ、男性型とは異なる進行
重症度分類(Ludwig分類)
分類 | 症状概要 |
I型 | 分け目が少し目立つ程度 |
II型 | 明らかな薄毛がみられ、地肌が透ける |
III型 | 頭頂部の密度が著しく低下し、広範囲が透ける |
診断方法
専門医は以下の方法で診断を行います。
問診・視診
家族歴、進行状況などを確認
トリコスコピー(拡大鏡)
毛の太さのばらつき、細い新生毛の有無を観察
血液検査
甲状腺・鉄分・ホルモンバランスの異常をチェック
頭皮生検(必要に応じて)
他の脱毛症との鑑別
鑑別診断|他の脱毛症との違い
- 休止期脱毛症(TE)|一時的な抜け毛で回復可能
- 円形脱毛症|斑状に急激に抜けるのが特徴
- 瘢痕性脱毛症|毛穴ごと失われ回復困難
治療法|FPHLは治せるのか?
ミノキシジル外用薬(日本では1%)
- 毛包を活性化し、成長期を延長
- 6ヶ月以上の継続使用が必要
- 一時的に抜け毛が増える「初期脱毛(シェッド)」がある
内服療法(オフラベル)
低用量ミノキシジル内服(LDOM)
スピロノラクトン
抗アンドロゲン薬、PCOSなどの高アンドロゲン状態に適応
フィナステリド
閉経後のみ使用されることがある
PRP(多血小板血漿)療法
自分の血液から濃縮した成長因子を頭皮に注射
副作用が少なく、補助療法として注目
自毛植毛
後頭部の毛を薄毛部位に移植
脱毛が進行した場合の外科的治療
生活習慣の見直しも重要
- 鉄・タンパク質・亜鉛の補給
- 睡眠・ストレス管理
- 過度な整髪・牽引を避ける
- ウィッグ・スプレー・パウダーなどの補助器具活用
治療の継続がカギ
FPHLの治療効果は3~6ヶ月かけて現れます。
継続使用が前提であり、中止すれば元に戻ってしまう可能性が高いため、医師と相談しながらライフスタイルに合わせた治療プランを継続することが大切です。
FPHLは専門的診断と継続治療で対処可能
女性型脱毛症(FPHL)は、加齢やホルモンバランスの変化に伴う治療すべき疾患です。
決して「年齢のせい」とあきらめる必要はありません。
医学的なエビデンスに基づいた治療で、毛髪の悩みと向き合っていきましょう。
監修:アルモ形成クリニック
女性の薄毛診療に自毛植毛治療を中心に、内服薬、再生医療治療などを含め、専門的に取り組んでいます。オンラインカウンセリングも行っておりますので、ご遠方の方でもお気軽にご相談ください。
このコラムの著者
アルモ形成クリニック
院長 内田直宏
筑波大学医学部卒業後、マイクロサージャリー(顕微鏡手術)を含む形成外科施術に6年間従事。
東京、秋葉原でアルモ形成クリニックを開院。
沖縄から北海道まで、遠方の患者様に多くご来院いただいております。
年間200症例以上の自毛植毛施術を執刀しており、AGA治療(内服療法、注射療法、レーザー治療)や美容外科施術にも長けている。
自毛植毛だけでは実現の難しい、額をせまくする手術やFUT植毛による傷跡のカバーアップなどといった技術も高く評価を受けている。

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