コラム
高密度植毛の秘策とは 〜道具編〜
みなさまこんにちは。アルモ形成クリニック院長の内田直宏です。
本日はアルモ形成クリニックの特徴でもある「高密度植毛」をテーマにお伝えいたします。
この高密度植毛というのは、よく手術の回数と関連して議論されます。
例えば、「1回目の手術だと密度に限界があり、気になる場合には2回目に密度アップを将来的に行いましょう。」などが代表的です。
これは間違いではありませんし、毛の薄い部分の面積が広範囲に及ぶ場合や既存毛が多く存在する場合などは、計画的に手術2回に分ける方がよい場合もあります。
しかしながら、植毛は手術結果が出るまでに時間もかかりますし、特に刈り上げる方法ではダウンタイムが長引きます。
なるべく植毛は1回である程度満足ゆく結果が出たほうがよいですよね。
このブログでも何度かご説明している通り植毛の成否は
ボリューム=1グラフトあたりの本数×グラフト密度×毛の太さ (3要素)
によって決定されます。
よくも悪くもボリュームを出すためのこれら3要素のうち術者(執刀医)によって最も変わってしまう要素が密度となります。
外科医が自身の手で細かく移植穴を作成するため、当然です。
患者様の希望や将来に渡る計画によっては、複数回に手術を分けた方がよいケースもございますが、一度で高密度にすることが植毛の手術結果を良くするための一歩であることは間違いありません。
密度濃く移植穴を作成するとき、術者の技量も大切ですが、もう一つ大事な要素が使用する手術器具といえます。この手術器具はその道具の特性を知ることで密度を確保できるのです。
高密度植毛を行うには徹底的に手術器具にこだわらなければなりません。
具体的に話していきます。
特に大切なのが、使用するパンチ(ハンドピース)の器具が
①パンチニードルが順回転なのか振り子様なのか
→振り子だと若干穴が拡大する傾向にあり、高密度に穴あけを行う時には若干不利となることがある。
②刃の向きが内向きなのか外向きなのか
→刃が外についているのか内側についているのかで同じ直径表示でも0.10mm~0.15mm程度作成される穴の大きさが異なってくるため、たくさん穴を作成した場合に異なった結果となる。
③常に先端が研いだ状態で歯切れが良いか
これも非常に重要な要素です。
パンチは刃物であり、生物です。包丁と一緒で、歯切れが悪いとズタズタになったり、穴の大きさが変におおきくなってしまいます。定期的に研いであげる必要があります。この研ぎ方も実は術者によって全くやり方が異なり、各人で納得する方法を見つけているケースが多いです。
そのため、常に研磨された状態でスパッともたつきなく、切れなければいけません。また、刃物ですから、一度切って時間が立ってから再度皮膚へ挿入するときに、刃切れが結構悪くなるので、注意が必要です。思い切りが大事です。
上記①〜③が代表的要素です。
カウンセリングを行っていると、患者様から先生のクリニックでは、機械は海外製ですか?なんの製品を使っていますか?と質問をいただくことがあります。
そんなときには、今までの経験から日本人の肌や毛髪にあった主に日本製の手術道具を使用するようにしていますと答えております。上記はそんな道具のこだわりの一部をご紹介してみました。
高密度植毛の秘策 〜技術編〜 についても別の回で解説いたします。またお会いしましょう。
このコラムの著者
アルモ形成クリニック
院長 内田直宏
筑波大学医学部卒業後、マイクロサージャリー(顕微鏡手術)を含む形成外科施術に6年間従事。
年間200症例以上の自毛植毛施術を執刀しており、AGA治療(内服療法、注射療法、レーザー治療)や美容外科施術にも長けている。
自毛植毛だけでは実現の難しい、額をせまくする手術やFUT植毛による傷跡のカバーアップなどといった技術も高く評価を受けている。
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