コラム

非瘢痕性脱毛について

円形脱毛症と自毛植毛について

円形脱毛とは

概要

皮膚科で遭遇する最も一般的な毛髪・脱毛症のひとつである。非瘢痕性脱毛の中では最も頻度が高く、500人に1人ほどの頻度である。

原因

円形脱毛症(alopecia areata)は、自己免疫性の非瘢痕性脱毛である。

典型的には、正常な頭皮やその他の有毛部位に、境界明瞭なコイン大の非瘢痕性脱毛斑が散在する。

まれに、両側側頭皮から後頭皮にかけての帯状の大きな脱毛斑(ophiasis pattern)や、前頭部や頭頂部の脱毛(sisaipho pattern 逆蛇行性脱毛)を呈することもある。

また、「ホワイトオーバー ナイト」現象と呼ばれる頭皮毛髪の急激な色素脱失によって容易に区別できる。重症の場合、脱毛は頭皮全体(全体脱毛症)または全身(汎発性脱毛症)に及ぶことがある。

鑑別

円形脱毛症の鑑別診断において、組織学的診断と同様、臨床的にも重要なものに二次梅毒があり、そのため、この感染が疑われる患者では、性病研究所などの血清評価または迅速血漿再アジンを入手すべきである。

治療

円形脱毛が自然に寛解することもあるが、活動性の疾患の治療には、局所・全身療法を行う。

局所コルチコステロイド、メトトレキサート、およびジフェニルシクロプロペノンなどの接触剤による局所免疫療法が一般的である。

最近では、クエン酸トファシチニブのような全身性のヤヌスキナーゼ阻害薬も円形脱毛症の治療に使用されている。他にも抗ヒスタミン剤や漢方薬などが選択されることもあるが明らかなエビデンスはない。

円形脱毛の治療として自毛植毛は有効なのか?

初期の治療として、外科的治療である自毛植毛は適切な治療法ではない。

理由としては、円形脱毛ははしばしば一時的および再発性であり、ドナーとなる毛髪の安全領域(いわゆるsafety zone)が確定できないことが多いからである。

しかし、難治性の円形脱毛に対する治療として自毛植毛で改善したとする症例報告があり、私自身の経験でも数年経過し、脱毛が全く改善しない症例には患者同意の下、手術を行って生着し、脱毛班が改善した症例があるので、一概に否定できるものではない。

(参考:Unger R, Dawoud T, Albaqami R. Successful hair transplantation of recalcitrant alopecia areata of the scalp. Dermatol Surg. 2008;34(11):1589-1594.)

円形脱毛に対する外科的介入のもう一つの注意点は、新しく移植された毛髪が将来的に円形脱毛症が再発する可能性があるということである。

このコラムの著者

アルモ形成クリニック 
院長 内田直宏

筑波大学医学部卒業後、マイクロサージャリー(顕微鏡手術)を含む形成外科施術に6年間従事。
年間200症例以上の自毛植毛施術を執刀しており、AGA治療(内服療法、注射療法、レーザー治療)や美容外科施術にも長けている。
自毛植毛だけでは実現の難しい、額をせまくする手術やFUT植毛による傷跡のカバーアップなどといった技術も高く評価を受けている。

内田医師のプロフィール画像

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