植毛医が【FUT法】をおすすめするのはどんな人?デメリットも紹介

この記事では、自毛植毛のうち主流である「FUT法」のメリットとデメリットについてご紹介します。

目次

FUTって何

自毛植毛の方法のうち、メスを使ってドナー株の採取を行うのが「FUT(Follicular Unit Transportation)」です。

AGAの影響を受けにくい後頭部の頭皮を切り取り、そこからドナー株を採取し、薄毛の症状が出ている部分に移植をします。

自毛植毛には他にも「FUE法(Follicular Unit Excision)」や「マイクログラフト法」などがありますが、「FUT法」は世界中でもっともポピュラーな方法なんです。

ドナー株の採取は手作業で行われるため、質の良いドナー株を大量に確保することができ、「自然な仕上がり」などの高い植毛成績が期待できます。

その一方で専用の設備や熟練した技術を持ったスタッフが必要なため、施術できるクリニックは限られます。

特にFUT法での施術を希望される場合は、クリニック・病院選びを慎重に行う必要があります。

FUT法が向いてる人

ひとことで言うと、広い範囲の薄毛治療が必要な方にはFUT法が向いていることが多いでしょう。

前頭部から頭頂部にかけて、1,500~2,000グラフトほどを一度に移植したい場合などに適しています。

一度に大量のドナー株を採取できるため、施術時間を短縮しやすく、費用はFUE法などより安価に抑えることができます。

また、生涯に採取できるグラフトの数は決まっており、FUT法では一生のうちにFUE法のおよそ2倍の6,000株の植毛が可能です。

つまり、進行したAGA症例に対する広範囲の植毛に必要なドナー株数を確保するためにはFUT法の方が適しているんです。

FUTのデメリット3選

特に進行した薄毛の症状に効果的なFUT法にはどのようなデメリットがあるのでしょうか。

<FUT法のデメリット>

  • 限られた医療施設でしか施術を受けられない
  • ドナー採取部には縫合の傷跡が残る
  • すべて手作業になり、費用が高くなる

手術には電子顕微鏡が必要になるため、FUT法を受けられるのは医療設備の整った病院のみになります。

また、経験豊富な医師のもとで施術を受けるにはさらに選択肢は狭まります。

ドナー株の採取時にはメスを使って頭皮を切るため、少なからず痛みはあり、傷跡も残ります。

実際に、残るのはメスを入れる部分の10分の1程度とはいえ、とにかく傷跡が残ることが気にある方はよく検討しましょう。

FUT法は手作業での移植のため、手術には半日程度の時間がかかり、費用が高くなることもデメリットの一つです。

FUT法のメリット3選

FUT法が世界中でもっとも主流な自毛植毛の方法であるのはなぜでしょうか。

<FUT法のメリット>

  • 自然な仕上がりで定着率が高く、植毛成績が高い
  • 身体への負担は少なく、日帰り手術が可能
  • 生涯に採取できるドナー株数がFUE法の2倍

FUT法は毛包のみではなく、髪が育つ環境(組織のセット)を丸ごと移植する方法です。

そのため、生着率は高く、自然な見た目の髪の毛を増やしていくことができます。

手術は日帰りで行え、翌日からは普通の生活が送れるのも嬉しいポイントですよね。

生涯に採取できるドナー株もFUT法より多いため、進行したAGAの症状にもたいおうすることができるのも強みです。

治療の流れ

一般的なFUT法の施術の流れは以下のようになっています。

  • メスで後頭部の頭皮を帯状に切り取る
  • 頭皮にできたキズ口を縫合
  • 顕微鏡を使って株分けをする
  • 移植先に切り込みを入れ、株分けしたドナー株を移植

株分けとは

自毛植毛の仕上がりには「熟練した株分け技術」が深く関わっています。

「株分け」とは、切り出した頭皮から毛包を切り分ける作業のことです。

毛根が皮膚の中で生えている向きはバラバラなので、顕微鏡を使いつつ、毛根を傷つけないように慎重に頭皮から切り分けてドナー株を作ります。

人間の髪の毛は、すべて1本ずつ生えているわけではないため、1つの束になっている毛の本数によって

  • 1本毛:マイクログラフト
  • 2本毛:フォリキュラーグラフト
  • 3~4本毛:ダブルフォリキュラーグラフト

という感じで3種類のグラフトに切り分けます。

これらを上手く組み合わせることで、希望の植毛デザインを元に、自然な仕上がりと効果的な密度アップを目指していきます。

移植スピードが高い=自毛植毛の質が高い

ドナー株の血流が止まっている時間が短いほど、鮮度を保つことができます。

それにより、定着率を高めることができるので株分けにかかるスピードも大切です。

同じ株数であれば、FUT法はFUE法の半分の時間で移植のすべての工程を完了できるため、95%以上という高い定着率が実現します。

まとめ

FUT法は熟練した株分け技術により、ドナー株の高い定着率を見込むことができます。

特に「自然な仕上がりを求める方」「広範囲の薄毛治療が必要な方」にとってオススメの自毛植毛の方法となります。

専門の設備や高い技術力が必要になるため、「どの医療機関で施術を受けるか」は植毛成績に大きく関わります。

また、メスを使った施術になるため、どうしても縫合部には傷跡が残ります。

FUT法のデメリットについて理解した上であなたとってベストな方法を探していきましょう。

監修医師コメント

内田直宏

いわゆるstrip法による手術が俗にFUTと呼ばれております。これは後頭部を島状に切開し、トリミングを行い、移植する方法です。この方法は、トリミングの上手な看護師や医師、スタッフが多数いないとかなりの時間がかかってしまうため、熟練した施設でないと結果が出にくいといった特徴があります。

医師の行う作業としては、後頭部から適切に島状ドナーを確保する必要があるという点です。毛包斜切開や、なるべく組織を損傷しない様に愛護的な操作が望まれます。一番のポイントは創部閉鎖の際に、後頭部の緊張をなくすことです。後頭部の緊張が強いまま縫合を行うと、緊張により術後の瘢痕がかなり広く目立ち、周囲の毛根の壊死を引き起こします。経験豊富で創傷治癒の知識が豊富な熟練の外科医による正しい切開縫合術が重要となります。

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