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なおるん毛髪情報局

なおるん毛髪情報局 自毛植毛の基礎知識

PHYSICIAN SUPERVISING

ページの監修医師

アルモ形成クリニック
院長 内田 直宏(なおるん先生)

  • ISHRS(国際毛髪外科学会)正会員
  • 年間200症例以上の自毛植毛を執刀
  • 違和感ゼロへ導く精密なグラデーションデザイン植毛が得意
アルモ形成クリニック 院長 内田直宏

20代で植毛を受けるべきか?若年層にこそ慎重な判断が必要な理由

20代の植毛について相談する清潔なクリニックのイメージ画像(見出し:20代で植毛を受けるべき?)

【この記事の結論】
20代でも自毛植毛の適応となる場合があります。ただし、年齢や薄毛の進行、ドナー(移植に使える後頭部・側頭部の毛)の状態などによっては、手術を見送ることがあります。20代はAGA(男性型脱毛症)が今後どのように進むかを予測しにくく、ドナーは一生分で限りがあるためです。


そのため、「今の見た目をどこまで変えるか」よりも、「10年後、20年後にも不自然に見えない計画になっているか」を優先して判断することが大切です。薬物治療の経過、家族の薄毛の傾向、ドナーの量、生え際の位置と密度の配分を確認したうえで、初回の手術で欲張りすぎない設計にすることを当院では基本にしています。


この記事では、20代の方が植毛を検討するときに確認しておきたいポイントと、当院の考え方を整理します。

※生え際をどの位置に置くかは「生え際はどこまで下げられる?」、ドナーの生涯採取量は「自毛植毛は一生で何グラフト採れる?」、若はげの年齢や見分け方は「若はげは何歳から?」で解説しています。この記事では「20代で植毛を受けてよいのか、何を確認して決めるのか」に絞って説明します。

20代で植毛は受けられる?|年齢・進行の見通し・ドナーの状態から判断する

毛髪外科の教科書『Hair Transplantation』第6版の若年患者の章では、若い男性への植毛は術者にとって難しい課題であり、年齢の下限を設ける医師もいれば、一人ひとりを個別に判断する医師もいる、と紹介されています。

年齢制限が議論されてきた背景には、将来の進行を十分に考えずに手術が行われ、生え際を低く・濃く作りすぎたり、将来の脱毛範囲を踏まえた配置やドナー配分が不十分だったりした例があったことが挙げられています。

一方で、薄毛が本人の自信や人間関係に大きく影響する時期でもあるため、長期的な見通しを持って責任ある計画で行えば、生活の質を大きく改善しうるとも述べられています。

同じ教科書の薄毛が軽度な患者の章では、かつては後頭部を帯状に切り取るFUT法の傷跡が短髪で目立つ懸念から25歳未満の手術は一般的でなかったものの、毛を1株ずつ採るFUE法の普及によって状況が変わった、という経緯も記されています。

当院では、年齢も判断材料の一つとしつつ、薄毛の進行の見通しとドナーの状態を合わせて可否を判断しています。薬物治療の期間と継続状況、同じ条件で撮影した写真などから、増毛だけでなく進行抑制の効果も評価したうえで、希望する改善が得られない場合には、比較的早い時期に植毛を検討することも選択肢になると考えています。

進行が速い場合には、手術を急がず経過を見ることもあります。手術を行う場合でも、後頭部・側頭部のドナーをどう配分するかの計画が大切で、初回の手術で欲張りすぎないことを重視しています(院長の臨床上の見解です)。

20代にこそ慎重な判断が必要な3つの理由

1. 将来の進行パターンが読みにくい

AGAは進行性で、植毛によって移植した毛が維持されても、その周囲の既存毛が薄くなり続ける可能性があります。教科書の若年患者の章では、若い患者ほど将来の進行が予測しにくいため、家族歴の有無にかかわらず、将来大きく進行する可能性も見込んで計画する立場が示されています。

また、若い男性に多い相談としてこめかみ(M字部分)の後退と頭頂部の薄さが挙げられていますが、若いうちにこれらの部位を積極的に治療すると、年齢とともに後方が薄くなったときに不自然に見える懸念があることも指摘されています。

2. ドナーは一生分で限りがある

後頭部・側頭部の毛は、AGAの影響を受けにくい範囲から採取しますが、その量には上限があります。20代で前方に多くのドナーを使ってしまうと、30代・40代で後方が薄くなったときに追加の手術に使える毛が残らない、という事態になりかねません。

詳しくは「自毛植毛は一生で何グラフト採れる?」で解説していますが、若い方ほど「今回使う量」と「将来のために残す量」の両方を考える必要があります。

3. 「離れ小島」になる可能性

移植した生え際だけが残り、その後ろの既存毛が薄くなって移植部が孤立して見える状態を、俗に「離れ小島」と呼びます。相談室でも、若い方から「将来、離れ小島にならないか」という不安が多く寄せられます。

当院では、既存毛が徐々に細くなり、移植部との密度差が目立ってくる経過も経験しています。AGA治療薬を使わずに5〜10年ほど経過して、追加の移植を行った例もあります。進行を抑える内服を続けていても進行する場合があるため、定期的に既存毛の状態を確認します。内服の効果には個人差があり、将来の進行を完全に止めることはできません(院長の臨床上の見解です)。

一方で注意したいのは、手術の設計や配置が原因で起こる見え方の問題です。将来の進行に対して生え際の位置や移植範囲が適切でないと、移植部が孤立して見える場合があります。周囲の既存毛は薬物治療で改善する可能性がありますが、低すぎる移植位置など、配置そのものの問題は薬では修正できません。

離れ小島の仕組みと一般的な対策は「自毛植毛による離れ小島とは?」も参考にしてください。

20代で植毛を決める前に確認したい5つのこと

当院の診察では、次の点を確認しながら、手術を今行うべきか、どの範囲まで行うかを一緒に考えます。

確認すること なぜ必要か 確認の方法
① 薄毛の原因がAGAかどうか AGA以外の脱毛症では、植毛が適さない場合がある マイクロスコープで既存毛の細さ(軟毛化)を見る。必要に応じて血液検査で甲状腺機能や鉄などを確認する
② 薬物治療の経過 進行を抑える手段を持たずに手術すると、計画がより保守的にならざるを得ない フィナステリドなど国内承認薬の内服歴と期間、同じ条件の写真による増毛・進行抑制の評価、副作用の有無
③ 家族の薄毛の傾向 将来の進行パターンを推測する材料になる 父方・母方の親族の薄毛の型と、進んだ年齢
④ ドナーの量と質 今回使える量と、将来のために残す量を見積もる 後頭部・側頭部の密度、毛の太さ、安全に採取できる範囲
⑤ 希望と現実のすり合わせ 若いときの希望(低い生え際・濃いM字)は、将来の自然さと両立しにくいことがある カウンセリングで、10年後・20年後の見え方を含めて話し合う

教科書では、若い患者に対しては手術の前に薬物治療を含む保存的な治療をできる限り試すこと、そして手術と薬物治療を組み合わせて将来の進行を遅らせることが推奨されています。ただし、薬物治療を続けても将来の状態を保証することはできず、中断が必要になる可能性もあるため、現在の改善が将来も維持されることだけを前提に長期の手術計画を立てるべきではない、とも述べられています。

当院の経験では、後退した生え際を希望する位置まで戻すことは、内服薬だけでは難しい場合が多く、「生え際を前に出したい」「M字を埋めたい」という希望に対しては、植毛が現実的な選択肢になることが多いと考えています。軟毛が残っているか、薬物治療による改善が期待できるかは診察で確認します。一方で、既存毛を守り、細くなった毛を太くする目的では、薬物治療は植毛の有無にかかわらず基本になります(院長の臨床上の見解です)。

当院が20代の植毛で基本にしている設計

教科書では、若い患者に適した設計として「控えめな生え際」「将来薄くなる範囲も含めた計画」「必要に応じた追加手術の余地」が挙げられています。当院では、これらを踏まえたうえで次の点を基本にしています。

  • 生え際の位置は攻めすぎない:眉からの距離の数字ではなく、額の骨格(前頭骨の張り出し)や表情筋の動き、こめかみの位置を基準に、将来移植部だけが取り残されにくい位置を選びます。詳しくは「生え際はどこまで下げられる?」をご覧ください。
  • 移植部と既存毛のつながりを考える:最前列だけに植えるのではなく、既存毛の密度や軟毛化の程度を評価し、必要な部位では奥の既存毛の間への移植も検討します。ただし、既存毛の間への移植には既存毛を損傷するリスクがあり、将来のAGAの進行による密度差を完全に防げるわけではありません。既存毛の毛根を傷つけないよう、角度と深さを既存毛に合わせます。
  • こめかみ・頭頂部は慎重に:若い方のこめかみの深い切れ込みや頭頂部は、将来の進行で範囲が広がりやすい部位です。教科書の若年患者の章でも、若年者の頭頂部への移植には慎重な立場が示されており、当院でも優先順位を下げて検討します。頭頂部については「頭頂部の植毛はやめたほうがいい?」で解説しています。
  • 初回で欲張らない:初回の計画次第で、将来の見え方と、追加手術に使えるドナーの残量が変わります。追加の植毛は必要に応じて行うものと位置づけ、初回から追加手術に頼りすぎない配分にします。
  • 進行を抑える治療を並行する:植毛は失われた部分に毛を移す治療で、周囲の進行は止められません。国内で承認されたAGA治療薬を、副作用とのバランスを見ながら続けることを勧めています。当院で案内している薬剤の費用と主な副作用は「AGA治療のご案内」に掲載しています。薬剤の可否や種類は、医師の診察で個別に説明します。

なお、教科書では若年男性に対して前方3分の2を低い密度で広く植える考え方も紹介されており、密度の配分には医師ごとに考え方の違いがあります。当院では、毛の太さなどを踏まえて生え際の見た目の密度を計画しつつ、位置を控えめにし、移植範囲・部位ごとの密度・将来に残すドナー量を合わせて総グラフト数を決めることを基本にしています(院長の臨床上の見解です)。

20代で植毛を受けるメリットと、受けないほうがよい場合

20代は就職や結婚など、人前に出る機会が多い時期です。教科書でも、この時期の薄毛は自信や社会生活に大きく影響し、適切に計画された手術は生活の質の改善につながりうるとされています。当院では、採取部の刈り上げによる外見の変化を抑えやすいノンシェーブン(Un-SHAVEN)法も選択肢として案内しています。ただし、移植部の赤み・かさぶた・腫れなどは生じるため、仕事や人と会う予定に合わせた調整が必要です。

一方で、次のような場合には、今すぐの手術をおすすめしないことがあります。

  • 薄毛の原因がAGAと確定しておらず、他の脱毛症の可能性が残っている
  • 既存毛がまだ多く、移植のための隙間がほとんどない(既存毛を傷つける可能性が高い)
  • 希望する範囲が広く、ドナーの量と将来の進行を考えると実現が難しい
  • 薬物治療を一切行わない前提で、頭頂部を含む広い範囲の移植を希望している

こうした場合は、薬物治療を先に行って経過を見る、範囲を絞る、時期を改めるといった選択肢を一緒に検討します。

自毛植毛の費用と主なリスク・副作用

自毛植毛は自由診療(保険適用外)です。当院の手術料金は「基本料金+1グラフトあたりの料金×グラフト数」で計算します(すべて税込)。

項目 料金(税込)
基本料金 205,000円
アルモHi-STANDARD法(刈り上げる方法)1グラフト 1,078円
アルモUn-SHAVEN法(刈り上げない方法)1グラフト 1,870円
植毛手術前の血液検査 11,000円

たとえば生え際に1,500グラフトを移植する場合、Hi-STANDARD法では205,000円+1,078円×1,500=1,822,000円、Un-SHAVEN法では205,000円+1,870円×1,500=3,010,000円(いずれも税込、血液検査は別途)となります。必要なグラフト数は範囲と希望する密度によって異なります。今回計画した範囲の手術は通常1回(1日)で行い、将来の追加手術とは区別します。術後は当院の基準に沿って定期検診で経過を確認し、結果の評価はおおむね術後8〜12ヶ月を目安にしています。最新の料金は「自毛植毛の値段・費用」でご確認ください。

主なリスク・副作用には、腫れ、痛み、出血、かゆみ、毛嚢炎、採取部・移植部の傷跡、感覚の違和感、術後の既存毛の脱毛(ショックロス。多くは一時的ですが、既存毛の状態や毛包への損傷などにより回復しない場合があります)、移植毛のくせ、生着率の個人差、仕上がりの自然さの限界などがあります。効果には個人差があり、AGAの進行を止める効果はありません。

20代の植毛に関するよくある質問

Q. 何歳から植毛を受けられますか?

当院では年齢の数字だけで一律に判断するのではなく、薄毛の原因、進行の見通し、ドナーの量、薬物治療の経過を診察で確認したうえで決めています。なお、フィナステリドは20歳未満での安全性・有効性が確立していません。植毛の適応と薬剤の使用可否は、それぞれ診察で判断します。

Q. フィナステリドを飲み始めたばかりです。効果を見てから手術すべきですか?

フィナステリドの効果を確認するには、通常6ヶ月程度の連日内服が必要とされています。既存毛を守る目的では内服を続ける意味がありますが、すでに後退した生え際を希望の位置まで戻すことは、当院の経験では内服だけでは難しい場合が多いです。手術の時期は、希望する範囲だけでなく、服用期間、同じ条件の写真で確認した進行抑制の程度、副作用の有無などを踏まえて判断します。希望する範囲を具体的にしたうえでご相談ください。

Q. 将来、離れ小島になったら追加で植毛できますか?

ドナーの残量や頭皮の状態によっては可能ですが、追加手術ができない場合もあります。追加の植毛は必要に応じて行うものですが、初回から追加手術に頼りすぎない計画を立てることが重要です。

Q. 20代ですが、つむじ(頭頂部)の薄さが一番気になります。

頭頂部は将来広がりやすく、必要なグラフト数も多い部位です。教科書の若年患者の章でも、若年者の頭頂部への移植には慎重な立場が示されています。当院では、まず薬物治療で頭頂部の進行を抑え、前方から優先して計画することが多いですが、年齢・進行速度・薄毛の分布を踏まえて判断します。

Q. 薬を飲まずに植毛だけ受けることはできますか?

可能です。内服が難しい場合は、外用薬などの選択肢を検討します。薬物治療を行わない場合は、将来の進行をより慎重に見込んで、移植範囲や位置を計画します。

Q. 20代で後頭部を刈り上げるのは避けたいです。

当院では刈り上げないアルモUn-SHAVEN法を行っています。採取部の外見の変化を抑えやすい一方、移植部の赤みやかさぶたは生じ、1グラフトあたりの料金は高くなります。詳しくは「ノンシェーブン植毛(刈り上げない自毛植毛)とは?」をご覧ください。

まとめ

20代でも自毛植毛の適応となる場合がありますが、進行の読みにくさ、ドナーの有限性、将来の見え方の変化という3点から、年齢が若いほど慎重な設計が必要です。薬物治療の経過、家族歴、ドナーの量、希望の範囲を確認し、生え際の位置を攻めすぎず、既存毛とのつながりを考え、初回で欲張らないことが、10年後・20年後にも自然さを保つための基本だと当院では考えています。ご自身の場合にいつ・どの範囲で受けるのがよいかは、診察のうえでご相談ください。

参考文献:Unger R, Shapiro R, eds. Hair Transplantation. 6th ed. Thieme; 2022(「The Young Patient: Planning and Decision-Making」の章における若年患者の計画の考え方、「The Patient with Minimal Hair Loss: Planning and Decision-Making」の章における年齢と手術時期の記述)。「当院では」「当院の経験では」とある記述は、院長の臨床上の見解です。


執筆:編集部/監修:内田直宏医師

このコラムの著者

アルモ形成クリニック 
院長 内田直宏

筑波大学医学部卒業後、マイクロサージャリー(顕微鏡手術)を含む形成外科施術に6年間従事。
東京、秋葉原でアルモ形成クリニックを開院。
沖縄から北海道まで、遠方の患者様に多くご来院いただいております。
年間200症例以上の自毛植毛施術を執刀しており、AGA治療(内服療法、注射療法、レーザー治療)や美容外科施術にも長けている。
自毛植毛だけでは実現の難しい、額をせまくする手術やFUT植毛による傷跡のカバーアップなどといった技術も高く評価を受けている。

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