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なおるん毛髪情報局

なおるん毛髪情報局 自毛植毛の基礎知識

PHYSICIAN SUPERVISING

ページの監修医師

アルモ形成クリニック
院長 内田 直宏(なおるん先生)

  • ISHRS(国際毛髪外科学会)正会員
  • 年間200症例以上の自毛植毛を執刀
  • 違和感ゼロへ導く精密なグラデーションデザイン植毛が得意
アルモ形成クリニック 院長 内田直宏

SMP(頭皮アートメイク)をすると植毛できなくなる?生着率への影響と始める前の注意点

SMPの後の植毛について考える清潔なクリニックのイメージ画像(見出し:SMPの後に植毛はできる?)

【この記事の結論】
SMP(スカルプマイクロピグメンテーション=頭皮のアートメイク)の施術歴があるだけで、自毛植毛ができなくなるわけではありません。ただし、色素を入れた部分は炎症や瘢痕化によって皮膚が硬くなり、血流が落ちていることがあり、その状態によっては植える密度や範囲を調整する必要があります。

生着率がどの程度変わるかを一律の数値で示すことはできず、診察で皮膚の状態を評価して判断します。
また、移植に伴う傷跡や色調の変化が周囲の色素との対比で目立つ可能性がある、周囲の既存毛が薄くなったときに色素だけが残る、といったSMP特有の問題もあります。

将来の植毛を少しでも考えているなら、SMPを始める前に、目的・範囲・色素の深さと回数・退色するよう設計されたタイプかどうかを確認し、植毛を行う医師にも相談しておくことを当院ではおすすめしています。

※植毛の生着率の一般的な考え方は「自毛植毛の生着率は何%?」、植毛後の経過と相談の目安は「植毛から半年で生えてこないのは失敗?」で解説しています。この記事では「SMPが植毛に与える影響と、始める前の注意点」に絞って説明します。

SMP(頭皮アートメイク)とは

SMPは、頭皮に色素を点状に入れて、短く刈った毛や毛の密度があるように見せる施術です。日本では、毛髪を描くアートメイクを含めて医療行為とされており、医師または医師の指示の下で看護師が行います。毛髪外科の教科書『Hair Transplantation』第6版では、SMPの目的は大きく3つに分けられています。

  • 剃った頭のように見せる:ドナー(移植に使える毛)が少なく植毛に向かない方や、植毛よりも短く刈った見た目を好む方に用いられます。
  • 密度があるように見せる:頭皮と毛の色の差を小さくして、薄い部分を目立ちにくくします。毛がある程度残っている部分に行うことが前提です。
  • 傷跡を目立ちにくくする:FUT法の線状の傷跡や、FUE法の採取跡、外傷や手術の傷跡をカモフラージュします。

色素が長く残るように設計された「永久型」と、数年で退色するように設計された「一時型(トリコピグメンテーション)」があります。一時型は定期的なメンテナンスを前提とし、やめれば薄くなっていきますが、薄くなる程度や時期には差があり、完全に見えなくなることは保証できません。

SMPをすると植毛できなくなる?|施術歴だけで植毛不可にはならない

頭皮は、表面から皮膚(表皮・真皮)、皮下の結合組織、帽状腱膜、疎性結合組織、骨膜という層でできています。SMPの色素は真皮の浅い層に入れるのが基本です。植毛では、グラフト(移植する株)の長さや移植する角度などに応じて移植穴の深さを調整します。SMPの施術歴があること自体で、自毛植毛ができなくなるわけではありません。

ただし、移植穴は色素のある皮膚を通過するため、色素を入れた部分の炎症や瘢痕の状態を確認したうえで、適応と計画を判断します。実際に当院でも、SMPやアートメイクの跡がある部分への植毛を行っていますが、皮膚の状態によっては密度や範囲を調整しています(院長の臨床上の見解です)。

SMP後の植毛で確認する皮膚の状態と、生着への影響

当院では、SMP後に皮膚の硬さが目立つ例を経験しています。瘢痕化した皮膚は移植した毛への血流供給が不利になるため、高密度に植えた場合に生着が不利になる可能性があります。ただし、施術回数や深さだけでは瘢痕の有無や生着への影響を判断できないため、術前の診察と手術中には次の点を確認します。

診察で確認する項目 見ているポイント
皮膚の硬さ(触診) 色素を入れた範囲と周囲の皮膚を比べ、瘢痕化の程度を評価する
施術歴 最終施術日、回数、使用した色素、施術後の経過(赤み・痛み・感染・色素への反応の有無)
色素の範囲と残っている毛 色素の形と、既存毛の密度・太さを見て、自然な生え際や毛流と両立する範囲を考える
血流の手がかり〔手術中〕 移植穴を作るときの出血の程度も参考にする。ただし麻酔薬の影響もあるため、出血量だけでは判断しない

SMP後の生着率がどの程度変わるかを、一律の数値で示すことはできません。瘢痕や皮膚の状態を評価し、移植の可否と、密度・範囲を含めた計画を検討します。

当院では、瘢痕のある部分に植える場合、毛包への損傷や無理な挿入を避けることを意図して、移植穴の形状・大きさと、グラフト(移植する株)の周囲に残す組織量を調整しています。また、皮膚の状態に応じて密度を通常より抑えて配置します。いずれも手技の方針であり、生着の結果を保証するものではありません(院長の臨床上の見解です)。

生着率以外に知っておきたいSMPの注意点

植毛を行う立場から見ると、SMPには生着率以外にも注意したい点があります。当院にも、SMP後に植毛ができるかという相談が寄せられます。

  • 移植部の傷跡や色調の変化が目立つことがある:色素が入った皮膚に移植穴を作ると、移植に伴う小さな傷跡や色調の変化が、周囲の色素との対比で目立つ可能性があります。当院で観察した例にもとづく注意点で、一般的な発生頻度は分かっていません(院長の臨床上の見解です)。
  • 色素が残る場合があり、外観の維持には追加施術が必要になることがある:色素は時間とともに薄くなることがありますが、退色の程度には差があり、完全に見えなくなることは保証できません。周囲の既存毛がAGA(男性型脱毛症)で薄くなると、毛のない部分に色素だけが残り、違和感が出ることがあります。教科書では、密度感を補う目的のSMPについて、AGAの初期で部分的に薄くなっている男性は理想的な対象ではなく、将来の進行で色素を入れた範囲が目立つ可能性があるため通常は勧められないとし、とくに生え際や頭頂部への施術を希望する若い方ではそのリスクが高いと述べています。行う場合は、将来植毛やレーザー除去が必要になりうることまで説明したうえで行うべきとされています。
  • 青みやにじみが目立つことがある:教科書では、SMPで起こりうる問題として、色素が青っぽく変わる、点がにじんで広がり「ベタ塗り」のように見える、保ちが悪い、生え際を低く・直線的に作りすぎる、将来の脱毛を考えていない設計、などが挙げられています。色素の種類や注入の深さなどによって青みやにじみが目立つ場合があり、髪を短くするとその色調が見えやすくなることがあります。
  • 医学的なリスクがある:痛み・赤み・腫れのほか、感染、色素へのアレルギー反応、持続する炎症やしこり、瘢痕などが生じる可能性があります。長引く赤み・痛み・腫れがある場合は、施術を受けた医療機関に相談してください。
  • 密度を補う目的と、剃った外観にする目的では設計が違う:髪を長く残して密度感を補う場合、脱毛が進むと色素と周囲の毛の見え方に差が生じることがあります。頭全体を短く剃った外観にする場合とは、適応や設計が異なります。
  • 立体の毛ではなく、平面の色素である:毛の立体感や毛流は再現できないため、近くで見たときや髪が伸びたときの見え方には限界があります。

将来植毛を考えている人がSMPを始める前に確認したいこと

SMPを受けること自体を否定するものではありません。ドナーが限られる方や、短く刈った見た目を望む方、傷跡のカモフラージュには有用な方法です。ただし、将来植毛を考えているなら、次の点を確認してから決めることをおすすめします。

確認すること 理由
目的は「剃った見た目」「密度感」「傷跡」のどれか 目的によって適した範囲や色の濃さが違い、将来の植毛計画との相性も変わる
色素を入れる深さと、予定している回数 深く入れるほどにじみや変色が起こりやすく、炎症や瘢痕が強ければ植毛の計画にも影響する
退色するよう設計されたタイプか、永久型か 将来、植毛で毛を増やしたときに色素が残ると不自然になることがある。いずれも完全に消えることは保証されない
生え際・頭頂部に入れるかどうか AGAで範囲が広がりやすい部位では、将来色素だけが残るリスクが高い
施術を行うのが医師または医師の指示の下の看護師か 日本ではSMPは医療行為。適応や時期の判断は医師が行う
植毛を行う医師にも相談したか SMPと植毛の順番や範囲を、長期的な計画として整理できる

SMPと植毛の順番と時期

植毛を先に行い、あとからSMPを足す場合

移植部の密度を補う目的でSMPを行う場合は、皮膚の回復だけでなく、移植毛の発毛結果を評価してから検討します。

移植毛は術後1年程度をかけて太さや密度が完成に近づくため、それより早い時期には発毛の分布を十分に評価できません。採取部の傷跡へのSMPも、傷が閉じたことだけで判断せず、赤み・硬さ・色調などが落ち着いているかを確認します。

以前からある安定した瘢痕と、今回の手術で生じた新しい瘢痕は区別し、実施時期は植毛を担当する医師と、SMPを担当する医師・看護師が判断します。

教科書では、植毛で土台となる毛ができたあとにSMPを加えて密度感を補う使い方や、FUT法の傷跡をFUE法とSMPの組み合わせで目立ちにくくする使い方が紹介されています。傷跡の見え方については「植毛の傷跡は残る?」もご覧ください。

すでにSMPをしている部分に植毛する場合

診察では、最終施術日、使用した色素、施術後の経過を確認し、色素が入った部分の硬さを触診で評価します。炎症や感染がある場合は、原因を評価・治療し、皮膚の状態が落ち着いてから植毛を検討します。

SMPの最終施術日と皮膚の状態をもとに、植毛までの期間を個別に判断します。また、アートメイクの範囲をすべて毛で覆おうとすると、解剖学的に不自然な生え際になることがあるため、色素の形に合わせるのではなく、自然な生え際の形を優先して「薄くなった部分のカバー」を中心に設計します。色素の一部が毛の間から見える場合は、その見え方も含めて事前に説明します(院長の臨床上の見解です)。

自毛植毛の費用と主なリスク・副作用

自毛植毛は自由診療(保険適用外)です。当院の手術料金は「基本料金+1グラフトあたりの料金×グラフト数」で計算します(すべて税込)。

項目 料金(税込)
基本料金 205,000円
アルモHi-STANDARD法(刈り上げる方法)1グラフト 1,078円
アルモUn-SHAVEN法(刈り上げない方法)1グラフト 1,870円
植毛手術前の血液検査 11,000円

たとえば頭頂部に1,000グラフトを移植する場合、Hi-STANDARD法では205,000円+1,078円×1,000=1,283,000円、Un-SHAVEN法では205,000円+1,870円×1,000=2,075,000円(いずれも税込、血液検査は別途)となります。必要なグラフト数は範囲と密度によって異なります。手術は原則1日で行い、術後は定期的な検診で経過を確認します。結果の評価はおおむね術後8〜12ヶ月を目安にしています。最新の料金は「自毛植毛の値段・費用」でご確認ください。

主なリスク・副作用には、腫れ、痛み、出血、かゆみ、毛嚢炎、採取部・移植部の傷跡、感覚の違和感、ショックロス(既存毛の一時的な脱毛。既存毛の状態や毛包への損傷により回復しない場合があります)、移植毛のくせ、生着率の個人差、仕上がりの自然さの限界などがあります。SMPの跡がある部分では、瘢痕の程度によって生着が不利になる可能性と、移植部の傷跡や色素の見え方が変わる可能性があることを、事前に説明したうえで手術を行います。効果には個人差があり、AGAの進行を止める効果はありません。

SMPと植毛に関するよくある質問

Q. 頭頂部にSMPを複数回しています。その部分に植毛できますか?

施術歴だけで植毛ができなくなることはありません。ただし、瘢痕化して硬くなっている場合があるため、診察で触診と施術後の経過を確認し、必要に応じて密度を抑えた計画にします。生着が不利になる可能性を了承いただいたうえで手術を行います。

Q. SMPをすると、その部分の髪が生えにくくなりますか?

浅い層に適切に入れた場合、既存毛の発毛に大きな影響は出にくいと考えられます。ただし、方法によっては毛根の深さまで傷がつき、炎症や瘢痕化が強い場合には悪影響が出ることがあります。瘢痕の程度は診察しないと判断できません。

Q. SMPをしていると、生着率は下がるものですか?

SMPの施術歴だけで、生着率が下がると判断することはできません。炎症や瘢痕などの状態を確認し、影響を個別に評価します。影響が見込まれる場合は、密度と範囲を調整した計画を立てます。

Q. 植毛後、いつからSMPを受けられますか?

移植部の密度を補う目的なら、移植毛の発毛結果(術後1年程度)を評価してからになります。採取部の傷跡など移植部以外への施術は、赤み・硬さ・色調が落ち着いているかを確認したうえで、植毛を行った医師とSMPを担当する医師・看護師が判断します。

Q. FUT法の傷跡をSMPで隠せますか?

教科書では、FUT法の線状の傷跡はSMPの代表的な適応の一つで、FUE法で傷跡に毛を植える方法と組み合わせることが多いとされています。ただし、傷跡は通常の頭皮より色素の保ちやにじみ方が予測しにくく、傷跡の上下と中を均一に見せるには技術が必要とされています。

Q. 入れたSMPを消すことはできますか?

永久型の色素はレーザーで除去する方法がありますが、完全に消えない場合や回数がかかる場合があります。退色するよう設計されたタイプは、メンテナンスをやめれば薄くなっていきますが、完全に見えなくなることは保証されません。いずれも施術を受けた医療機関にご相談ください。

まとめ

SMPの施術歴があるだけで植毛ができなくなることはありませんが、色素を入れた部分の炎症や瘢痕の状態によっては、密度や範囲を調整した計画が必要になります。

生着率への影響は一律の数値では示せず、診察で皮膚の状態を評価して判断します。移植部の傷跡や色調の変化が目立つ可能性、周囲が薄くなると色素だけが残る可能性といったSMP特有の問題もあるため、将来植毛を考えている方は、SMPを始める前に目的・範囲・深さと回数・退色するタイプかどうかを確認し、植毛を行う医師にも相談しておくことをおすすめします。

参考文献:Unger R, Shapiro R, eds. Hair Transplantation. 6th ed. Thieme; 2022(「“Permanent” Scalp Micropigmentation」の章における適応・起こりうる問題・深さの記述、「“Temporary” Scalp Micropigmentation (Trichopigmentation)」の章における一時型の特徴の記述)。「当院では」「当院の経験では」とある記述は、院長の臨床上の見解です。


執筆:編集部/監修:内田直宏医師

このコラムの著者

アルモ形成クリニック 
院長 内田直宏

筑波大学医学部卒業後、マイクロサージャリー(顕微鏡手術)を含む形成外科施術に6年間従事。
東京、秋葉原でアルモ形成クリニックを開院。
沖縄から北海道まで、遠方の患者様に多くご来院いただいております。
年間200症例以上の自毛植毛施術を執刀しており、AGA治療(内服療法、注射療法、レーザー治療)や美容外科施術にも長けている。
自毛植毛だけでは実現の難しい、額をせまくする手術やFUT植毛による傷跡のカバーアップなどといった技術も高く評価を受けている。

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