なおるん毛髪情報局
白髪でも植毛できる?白髪交じりのドナーの扱い・移植後の見え方と白髪染めの時期
【この記事の結論】
白髪や白髪交じりでも、自毛植毛を受けられる場合があります。白髪があることだけを理由に、手術ができないわけではありません。
ただし、移植した毛は採取した部位の毛の性質を概ね保つと考えられているため、白髪を移植すると白髪として生えることが一般的です。植毛は白髪を黒くする治療ではなく、黒い毛も年齢とともに白髪になることがあります。
白髪は地肌との色の差が小さく、薄毛の見え方が変わることがある一方、手術中には毛が見えにくく、扱いに注意が必要です。白髪の割合も含めてドナー(採取部)を診察で評価し、計画を立てることが大切です。
白髪による透け感が気になる方へ:白髪のある症例を見る
他院で植毛を受け、密度や仕上がりが気になる方へ:修正症例を見る
※白髪そのものの原因や、白髪と薄毛の関係は「白髪はハゲないは嘘?」で解説しています。この記事では、白髪がある方が植毛を考えるときに知っておきたいこと(採取・移植・見え方・染め方)に絞って説明します。
白髪でも植毛はできる?
自毛植毛は、AGA(男性型脱毛症)の影響を受けにくい後頭部・側頭部の毛を毛包ごと採取し、薄くなった部分へ移植する手術です。毛の色だけで、自毛植毛の適応が決まるわけではありません。当院では、ドナーを評価する項目の一つとして「毛の色・白髪の有無」を確認しています。白髪であっても採取は可能ですが、毛が見えにくくなる場合があるため、手術時の工夫が必要になると考えています。
植毛ができるかどうかは、主に次のような条件で判断します。白髪の有無は、そのうちの一つとして見え方や手術の進め方に関わります。
| 確認する主な条件 | 白髪との関わり |
|---|---|
| ドナーの面積・密度・毛の太さ | 植毛できる量を左右する中心的な条件。白髪の有無とは別に評価する |
| 薄毛の範囲と、今後の進み方 | 年齢や家族歴、AGA治療の状況も含めて計画を立てる |
| 毛の色と地肌の色の差 | 白髪や明るい毛色は地肌との差が小さく、透け感の出方に関わる |
| 白髪の割合と分布 | 移植後にどの程度白髪が混ざって見えるかの目安になる |
| 頭皮の状態・手術歴・全身の状態 | 皮膚炎や瘢痕、持病や服用中の薬なども確認する |
白髪が多いかどうかよりも、ドナーにどれだけの毛があり、どの範囲をどの程度の密度で移植するかが、計画の中心になります。
移植した白髪は黒くなる?|毛の色は採取部の性質を保つことが一般的
移植した毛は、移植先の性質ではなく、採取した部位の毛の性質を概ね保つと考えられています(ドナー・ドミナンスと呼ばれる考え方で、植毛の基本的な前提です)。毛の色についてもこの傾向がみられ、基本的には採取したときの色で生えてきます。ただし、移植した毛にも年月とともに変化は起こりえます。
- 白髪を採取して移植した場合、白髪として生えることが一般的です。移植後に色素が戻ったという症例も海外で報告されていますが、どの程度の頻度で起こるかは明らかではありません。植毛によって白髪を黒くする効果は確立していません。
- 黒い毛を移植した場合も、その後の加齢によって白髪になることがあります。移植した毛だけが白髪にならない、ということはありません。
当院では、白髪を移植した場合も基本的には白髪として生えることを手術前に説明し、毛色が気になる方には、術後の回復を確認したうえで白髪染めで色をそろえる方法をご案内しています。白髪の割合が多い方は、術後の見え方を事前にイメージしておくことが大切です。
白髪交じりは見え方が変わる一方、手術中は見えにくい
見た目の面:地肌との色の差が小さい
薄毛が目立つかどうかには、毛の量だけでなく、毛の色と地肌の色の差(コントラスト)が大きく関わります。黒く太い毛と明るい地肌の組み合わせは差が大きく、密度が足りない部分の地肌が透けて見えやすい傾向があります。当院でも、毛と地肌の色の差が大きい場合には、地肌が目立ちやすくなることがあると考えています。
白髪交じりや明るい毛色では、毛と地肌の色の差が小さくなるため、薄毛の見え方が変わることがあります。毛髪外科の教科書『Hair Transplantation』第6版では、白髪によって毛と地肌の色の差が小さくなることが、年齢の高い方の植毛で有利になりうる点の一つとして挙げられています。
一方で、白髪は毛の輪郭が地肌に溶け込んで見えにくく、かえって地肌が目立って見える場合があるという指摘もあります。白髪だから透け感が少なくなるとは限らず、毛量や毛の太さ、地肌の色、照明、髪型によって見え方は異なります。
手術の面:白髪は組織の中で見えにくい
一方で、手術中は白髪が扱いにくくなる場面があります。前述の教科書では、白髪の毛包は周りの組織と見分けにくく、採取した組織からグラフトを分ける作業(株分け)に難しさがあること、毛包を傷つけないよう周囲の組織の処理を調整することがあると説明されています。
当院が行うFUE(毛包単位で採取する方法)でも、採取時やグラフトの確認・調整時に、白髪の毛幹や毛包の位置・方向が分かりにくくなることがあります。また、移植床(毛を植える穴)を作るときは、周囲の既存毛の向きや角度を確認しながら、自然な毛流になるよう計画することが重要です。
教科書には、手術中に毛を見分けやすくするために手術の数日前に白髪を染めておく方法や、株分けのときに下から光を当てる顕微鏡の使い方なども紹介されています。ただし、白髪を避けて採取したい場合などは方針が異なることがあり、カラー剤による頭皮のかぶれや炎症にも注意が必要です。
どの方法をとるかは医療機関によって異なります。手術前に髪を染めるかどうか、染める部位や時期は、自己判断せず、手術を受ける医療機関の案内に従ってください。
白髪交じりの方が植毛を考えるときのポイント
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 白髪の割合と分布を確認する | ドナーの白髪の割合によって、移植後に白髪がどの程度混ざって見えるかが変わる。診察で一緒に確認する |
| 白髪を避けた採取を希望する場合は相談する | 白髪をなるべく避けた採取を検討できる場合はあるが、黒い毛だけを確実に選べるわけではない。採取できる量や採取部の見え方への影響も含めて、医師と相談する |
| 今後の薄毛の進み方を考える | 年齢を重ねても薄毛の範囲が広がることはあるため、将来の分も含めてドナーの使い方を考える |
| 白髪染めとの付き合い方を決めておく | 白髪を染めている方は、術後いつから染められるかを事前に確認しておく |
| 全身の状態と服用中の薬を伝える | 持病や服用中の薬は、手術の安全性に関わるため、事前に申告する |
ドナーの量の考え方は「自毛植毛は一生で何グラフト採れる?」で詳しく解説しています。
植毛後の白髪染めはいつから?
植毛後の頭皮は、採取部と移植部の傷が治癒していく途中にあります。白髪染めなどのカラー剤は頭皮への刺激になるため、当院では術後1ヶ月以降を一つの目安とし、創部(傷)の回復を担当医に確認してから再開していただくようご案内しています。
創部の回復状況や頭皮の炎症の有無によっては、さらに期間を空けていただくことがあります。かぶれやすい方は、事前に担当医へ伝えてください。
| 時期 | 白髪染め・ヘアカラーの目安(当院の場合) |
|---|---|
| 手術前 | 手術前にお渡しする案内に従う。自己判断で直前に染めない |
| 術後〜1ヶ月 | 控える。移植部・採取部を刺激しないことを優先する |
| 術後1ヶ月以降 | 創部の回復を担当医に確認してから再開する。状態によってはさらに期間を空ける |
術後の経過と生活上の注意点は「植毛のダウンタイムはいつまで続く?」にまとめています。他院で手術を受けた方は、その医療機関の指示に従ってください。
自毛植毛の費用・治療内容と主なリスク
自毛植毛は自由診療(保険適用外)です。当院の手術料金は「基本料金+1グラフトあたりの料金×グラフト数」で計算します。
| 項目 | 料金(税込) |
|---|---|
| 基本料金 | 205,000円 |
| アルモHi-STANDARD法(刈り上げる方法)1グラフト | 1,078円 |
| アルモUn-SHAVEN法(刈り上げない方法)1グラフト | 1,870円 |
| 植毛手術前の血液検査 | 11,000円 |
たとえば1,000グラフトを移植する場合、Hi-STANDARD法では205,000円+1,078円×1,000=1,283,000円、Un-SHAVEN法では205,000円+1,870円×1,000=2,075,000円(いずれも税込、血液検査は別途)となります。必要なグラフト数は範囲と密度によって異なります。最新の料金は「自毛植毛の値段・費用」でご確認ください。
手術は通常1日で行います。薄毛の範囲や必要なグラフト数によっては複数回の手術が必要になる場合があり、その際の手術の間隔や費用は個別の計画によって異なります。術後は経過に応じて術後検診(当院で手術を受けた方の検診料は無料)を受けていただき、仕上がりは術後1年頃の検診を目安に確認します。
主なリスク・副作用には、腫れ、痛み、出血、かゆみ、しびれ・感覚の鈍さ、毛嚢炎、感染、採取部・移植部の傷跡、移植した毛の一時的な脱落、ショックロス(手術の影響で既存の毛が一時的に抜ける現象。
回復が不十分な場合もあります)、移植した毛が十分に生えないこと、仕上がりの自然さの限界などがあります。効果には個人差があり、AGA(男性型脱毛症)の進行を止める効果はありません。
白髪と植毛に関するよくある質問
Q. 白髪が多いと植毛の生着は悪くなりますか?
白髪であること自体が生着率を低下させると結論づける十分な医学的根拠はありません。生着には、グラフトの扱いや移植の密度、頭皮の血流や全身の状態など、さまざまな要因が関わります。ただし、白髪は手術中に見分けにくい場合があり、毛包を傷つけないよう慎重に扱う必要があります。
Q. 黒い毛だけを選んで植えることはできますか?
白髪をなるべく避けた採取を検討できる場合はありますが、黒い毛だけを確実に選んで移植できるわけではありません。白髪を避けるほど採取できる範囲や量が限られることがあり、1つの毛包の中に白髪と黒い毛が混ざっていることもあります。実施できるかどうかは、術式とドナーの状態を診察して判断します。採取部の見え方や将来の手術への影響も含めて、医師と相談したうえで決めてください。
Q. 植毛した毛は普通の髪と同じように染められますか?
移植した毛も、術後の頭皮が十分に回復すれば、ほかの毛と同じように染められることが一般的です。染毛を再開できる時期は創部の状態を確認して判断するため、担当医に確認してください。
Q. 白髪交じりなら、少ないグラフト数で済みますか?
毛と地肌の色の差が小さいことで見え方が変わることはありますが、必要なグラフト数は、薄毛の範囲、毛の太さ、希望する密度などで決まります。白髪の有無だけで決まるものではないため、診察で確認してください。
Q. 白髪が多くても、他院で受けた植毛の修正を相談できますか?
A. ご相談いただけます。修正の可否や方法は、白髪の割合だけでなく、既存の移植毛やドナーの状態などを診察して判断します。他院修正では、既存毛とのバランスや毛流れを考慮して移植計画を立てることが大切です。
→ 回答の下に「他院修正の症例を見る」ボタンを設置します。
まとめ
白髪や白髪交じりでも、自毛植毛を受けられる場合があります。移植した毛は採取した部位の性質を概ね保つと考えられているため、白髪を移植すると白髪として生えることが一般的で、黒い毛も年齢とともに白髪になることがあります。
白髪は地肌との色の差が小さく見え方が変わることがある一方、手術中は毛が見えにくいため、丁寧な扱いが必要です。白髪の割合と分布、ドナーの量、今後の薄毛の進み方、白髪染めを再開する時期を含めて、診察で医師と相談しながら計画を立てましょう。
参考文献:Unger R, Shapiro R, eds. Hair Transplantation. 6th ed. Thieme; 2022(Chapter 25 頭頂部の植毛:年齢の高い方で白髪が毛と地肌の色の差を小さくすること/術前準備の章:白髪を染めて視認性を上げる方法/グラフト作成の章:白髪のグラフト作成の難しさと顕微鏡の光の当て方)。「当院では」「院長は」とある記述は、院長の臨床上の見解です。
執筆:編集部/監修:内田直宏医師