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なおるん毛髪情報局

なおるん毛髪情報局 自毛植毛の基礎知識

PHYSICIAN SUPERVISING

ページの監修医師

アルモ形成クリニック
院長 内田 直宏(なおるん先生)

  • ISHRS(国際毛髪外科学会)正会員
  • 年間200症例以上の自毛植毛を執刀
  • 違和感ゼロへ導く精密なグラデーションデザイン植毛が得意
アルモ形成クリニック 院長 内田直宏

植毛後のしびれ・感覚の鈍さはいつ治る?原因と回復の目安、受診のタイミング

植毛後のしびれについて考える男性のイメージ画像

【この記事の結論】
植毛の後に、移植部や採取部(後頭部など)の感覚が鈍くなったり、ピリピリしたりすることがあります。手術で皮膚の中の細い神経が傷つくことが主な原因と考えられ、手術後に起こりうる症状の一つです。

時間の経過とともに改善していくことが多いものの、回復の程度や期間には個人差があり、数週間から数ヶ月かかることや、それ以上長引くこともあります。

痛みが強い、範囲が広がる、赤み・腫れ・熱っぽさを伴う、生活に支障がある、改善が乏しいといった場合は、自己判断せず手術を受けた医療機関に相談してください。

※術後の症状全体の期間の目安は「植毛のダウンタイムはいつまで続く?」で解説しています。この記事では「植毛後のしびれ・感覚の鈍さ」に絞って、原因と経過、受診の目安を説明します。

植毛後のしびれ・感覚の鈍さとは

植毛の後、次のような感覚の変化を感じる方がいます。

  • 触れられていることは分かるものの、普段より感じにくい。薄い膜を一枚隔てて触れられているように感じる(感覚の低下)
  • ピリピリ、ジンジンする(しびれ・違和感)
  • 軽く触れただけで、ヒリヒリしたり、痛みに近い感じがしたりする(感覚が過敏になる)
  • ときどき、チクッとしたり、電気が走るように感じたりする
  • 頭にヘルメットをかぶっているような、つっぱった感じがする

毛髪外科の教科書『Hair Transplantation』第6版でも、感覚の低下や異常感覚、神経痛は、術前に説明しておくべき術後の症状や合併症として挙げられています。起こりうることを事前に知っておくと、術後に症状が出たときに落ち着いて対応しやすくなります。

なお、手術直後の感覚の鈍さには、局所麻酔の作用も関わります。麻酔の持続時間は、使用する薬剤や方法によって異なります。この記事では、主に麻酔の作用が弱まった後も続く感覚の変化を扱います。

しびれ・感覚の鈍さが起こる原因

頭皮には、皮膚の感覚を伝える細い神経が網の目のように通っています。前頭部から頭頂部にかけては、まゆ毛の上あたりから上に向かって走る神経が、後頭部では、首の後ろから上に向かって走る神経が、主に感覚を伝えています。

当院で行うFUE法では、毛包を含む組織を小さなパンチで1株ずつくり抜いて採取し、移植部には、採取したグラフトを植え込むための小さな穴(移植床)を多数作ります。このとき、皮膚の中の細い神経の枝が切れたり、傷ついたりすることがあります。当院では、移植部と採取部の両方で、皮膚の中の細い神経への損傷などによって感覚の変化が起こることがあると考えています。

部位・状態 起こりうる感覚の変化 考えられる主な原因
移植部(生え際・前頭部・頭頂部など) 移植した範囲やその周辺の感覚の鈍さ、ピリピリ感 移植床を作るときに、皮膚の中の細い神経の枝が傷つくこと。影響を受けた神経の分布によっては、移植した範囲の外側にも感覚の変化を感じることがあります
採取部(後頭部・側頭部) 感覚の鈍さ、つっぱり感、触れたときの過敏さ 毛包をくり抜くときに、周りの細い神経が傷つくこと
術後の腫れがある部位 重い感じ、つっぱった感じ 術後の腫れ(むくみ)。腫れが引くにつれて軽くなることが多いです

移植する範囲が広い場合や、採取するグラフト数が多い場合は、感覚が変化する範囲も広くなることがあります。また、後頭部の皮膚を帯状に切り取って縫い合わせるFUT法(当院では行っていません)では、教科書でも、傷の周りの感覚の低下や神経痛が採取部の合併症として挙げられています。

しびれはいつ治る?回復までの経過の目安

手術に伴う感覚の変化は、時間の経過とともに改善することが多いものの、回復の程度や期間には個人差があります。神経の回復はゆっくり進むため、感覚が戻るまでには時間がかかり、感覚の低下や痛みが長く残る場合もあります。

時期 感覚の変化の経過例(個人差があります)
術後すぐ〜数週間 移植部・採取部の感覚の鈍さを感じやすい時期です。腫れによる重い感じが重なることもあります
数週間〜数ヶ月 少しずつ感覚が戻ってくることが多い時期です。回復の途中で、ピリピリ感やかゆみ、触れたときの過敏さを感じることがあります
数ヶ月以降 気にならない程度まで改善していくことが多い時期です。症状が残る場合もあり、改善が乏しい場合は相談してください

回復の早さには個人差があり、移植した範囲や採取した量によっても異なります。上の表はあくまで目安で、この期間で治ることを保証するものではありません。

当院では、軽い感覚の変化があり、改善傾向を確認できる場合には経過を観察します。症状が強い場合や改善が乏しい場合は、原因を確認して対応します。症状や診察所見に応じて、薬物療法(ビタミンB12製剤など)を検討することもありますが、植毛後の感覚の変化について、薬で回復を早められるとは限りません。効果や副作用を確認し、続けるかどうかを判断します。

しびれがあるときの過ごし方と、受診の目安

自分でできること

  • 強くこすったり、たたいたりしない。感覚が鈍い部分は、ぶつけたり、熱いものに触れたりしても気づきにくくなっています。とくに術後早い時期は、移植部を守るためにも強い刺激は避けてください。
  • 熱いドライヤーの風や、熱いお湯を長く当てない。感覚が鈍いと熱さを感じにくく、やけどに気づきにくいことがあります。
  • 処方された薬は指示どおりに使う。市販の塗り薬などを自己判断で使う前に、手術を受けた医療機関に確認してください。

受診・連絡した方がよい状態

次のような場合は、速やかに手術を受けた医療機関に連絡してください。

  • 痛みが強い、日に日に強くなる、眠れないほどの痛みがある
  • しびれや感覚の鈍さの範囲が広がっていく
  • 赤み・腫れ・熱っぽさ、膿のような液が出るなど、感染が疑われる症状を伴う
  • 電気が走るような痛みを繰り返す

また、しびれや痛みで生活に支障がある場合は、術後の時期にかかわらず相談してください。改善が乏しい、症状が続いて不安がある場合も、数ヶ月待たずに術後検診などでご相談ください。

突然、顔や手足の片側にしびれや力の入りにくさが出た、ろれつが回らない・言葉が出ない、経験したことのない激しい頭痛がある場合は、脳卒中などの可能性があります。植毛を受けた医療機関の返答を待たず、119番に連絡してください。

診察では、症状が出ている範囲や程度を確認し、必要に応じて感覚の検査を行います。植毛後のニキビ・毛嚢炎など、ほかの症状が重なっていないかも確認します。毛嚢炎については「植毛後のニキビ・毛嚢炎はなぜできる?」で解説しています。

しびれ・感覚の変化をできるだけ抑えるために

手術で皮膚に穴を作る以上、感覚の変化を完全に防ぐ方法はありません。当院では、皮膚へのダメージをできるだけ小さくするために、移植床を必要最小限の大きさ・深さで作ることや、採取部に負担が偏らないように採取することを重視しています。

手術前には、次のことを医師に伝えておいてください。

  • 過去に頭部の手術やけがをしたことがある
  • 以前の植毛で、しびれや痛みが長引いた経験がある
  • 糖尿病など、神経や血流に影響する持病がある
  • 普段から頭皮の痛みや違和感がある(術前からある症状は、術後の症状と区別するためにも伝えておくと役立ちます)

自毛植毛の費用・治療内容と主なリスク

自毛植毛は自由診療(保険適用外)です。当院の手術料金は「基本料金+1グラフトあたりの料金×グラフト数」で計算します。

項目 料金(税込)
基本料金 205,000円
アルモHi-STANDARD法(刈り上げる方法)1グラフト 1,078円
アルモUn-SHAVEN法(刈り上げない方法)1グラフト 1,870円
植毛手術前の血液検査 11,000円

たとえば1,000グラフトを移植する場合、Hi-STANDARD法では205,000円+1,078円×1,000=1,283,000円、Un-SHAVEN法では205,000円+1,870円×1,000=2,075,000円(いずれも税込、血液検査は別途)となります。必要なグラフト数は範囲と密度によって異なります。最新の料金は「自毛植毛の値段・費用」でご確認ください。

手術は1日で行い、範囲や希望する密度によっては2回以上に分けることがあります。術後は経過に応じて術後検診(当院で手術を受けた方の検診料は無料)を受けていただき、仕上がりは術後1年頃の検診を目安に確認します。症状によっては、追加の診察が必要になる場合があります。

主なリスク・副作用には、腫れ、痛み、出血、かゆみ、しびれ・感覚の鈍さ、毛嚢炎、感染、採取部・移植部の傷跡、ショックロス(手術の刺激に伴う既存毛の脱毛。多くは一時的ですが、回復が不十分な場合があります)、移植した毛が十分に生えないこと、仕上がりの自然さの限界などがあります。効果には個人差があり、AGA(男性型脱毛症)の進行を止める効果はありません。

植毛後のしびれに関するよくある質問

Q. しびれがあると、移植した毛の生え方に影響しますか?

しびれの有無や強さだけで、移植した毛の生着や発毛を判断することはできません。感覚の経過と発毛の経過は、それぞれ術後検診で確認します。感覚が鈍い時期は移植部をぶつけても気づきにくいため、術後早い時期はとくに注意してください。強い痛みや赤み・腫れなどを伴う場合は、早めに相談してください。

Q. 移植していない頭頂部のあたりまで感覚が鈍いのはなぜですか?

前頭部から頭頂部にかけては、おでこ側から走る感覚神経も分布しています。影響を受けた神経の分布によっては、移植した範囲の外側にも感覚の変化を感じることがあります。ただし、症状の位置だけで原因は判断できません。範囲が広がっていく、痛みが強いといった場合は受診してください。

Q. 回復の途中でかゆみやピリピリ感が強くなりました。悪化していますか?

感覚が戻っていく途中で、かゆみやピリピリ感、触れたときの過敏さを感じることがあります。悪化しているとは限りませんが、赤み・腫れ・熱っぽさを伴う場合や、痛みが強くなっていく場合は、感染など別の原因も考えられるため、手術を受けた医療機関に連絡してください。

Q. しびれが心配で、手術を受けるか迷っています。

しびれや感覚の変化は起こりうる症状の一つで、事前に完全に防ぐ方法はありません。どの範囲に移植し、どのくらい採取するかによっても変わるため、カウンセリングで、ご自身の計画で起こりうる症状と経過の見通しを確認したうえで判断してください。

Q. しびれが後遺症として残ることはありますか?

多くの場合、時間の経過とともに改善していきます。ただし、神経の回復には個人差があり、感覚の低下や違和感が長く残る場合もあります。毛髪外科の教科書でも、感覚の低下や神経痛は、術前に説明しておくべき術後の症状の一つとして挙げられています。手術前のカウンセリングで、ご自身の移植範囲や採取量から、どの程度の症状が起こりうるかを確認しておくと安心です。術後に改善が乏しいと感じる場合は、術後検診でご相談ください。

Q. 1年経っても感覚が戻らない場合はどうすればいいですか?

まずは手術を受けた医療機関にご相談ください。症状が出ている範囲や程度、日常生活への支障の有無を確認し、必要に応じて感覚の検査を行います。症状によっては薬物療法を検討したり、専門の医療機関での評価をおすすめしたりすることがあります。「時間が経てば治るはず」と我慢を続けず、気になる症状は記録しておき、診察時にお伝えください。

Q. 術後に頭痛や後頭部の痛みが出るのはなぜですか?

術後早い時期は、麻酔や手術の刺激、腫れ(むくみ)、採取部の傷などによって、頭が重い感じや痛みを感じることがあります。また、後頭部の神経が刺激されて、電気が走るような痛みを感じることもあります。痛みが日に日に強くなる、眠れないほど痛い、赤み・腫れ・熱っぽさを伴うといった場合は、手術を受けた医療機関に連絡してください。
なお、経験したことのない激しい頭痛、顔や手足の片側のしびれ・力の入りにくさ、ろれつが回らないといった症状がある場合は、植毛とは別の病気の可能性があります。医療機関の返答を待たず、119番に連絡してください。

Q. 刈り上げない方法(Un-SHAVEN法)と刈り上げる方法(Hi-STANDARD法)で、しびれの出方は違いますか?

当院のUn-SHAVEN法とHi-STANDARD法は、どちらも毛包を1株ずつくり抜いて採取するFUE法です。しびれや感覚の変化の起こりやすさは、刈り上げるかどうかよりも、移植する範囲の広さや採取するグラフト数による影響が大きいと当院では考えています。ご希望の方法で起こりうる症状については、カウンセリングで具体的にご説明します。各方法の詳細は「アルモUn-SHAVEN法」「アルモHi-STANDARD法」をご覧ください。

まとめ

植毛後のしびれや感覚の鈍さは、移植床を作る・毛包を採取する際に皮膚の中の細い神経が傷つくことで起こると考えられ、手術後に起こりうる症状の一つです。時間とともに改善していくことが多いものの、回復には数週間から数ヶ月かかることがあり、長引くこともあります。感覚が鈍い時期はぶつけたり熱いものに触れたりしないよう注意し、痛みが強い、範囲が広がる、感染が疑われる症状があるといった場合は、手術を受けた医療機関に相談してください。手術前にも、起こりうる症状と経過を確認しておくと安心です。

参考文献:Unger R, Shapiro R, eds. Hair Transplantation. 6th ed. Thieme; 2022(相談・術前評価に関する章の「Complications」の節:採取部の合併症としての神経痛・感覚の低下、女性の植毛に関する章:術前に説明すべき術後の異常感覚)。回復期間の目安と診療方針は、院長の臨床上の見解に基づきます。「当院では」とある記述は、院長の臨床上の見解です。


執筆:編集部/監修:内田直宏医師

このコラムの著者

アルモ形成クリニック 
院長 内田直宏

筑波大学医学部卒業後、マイクロサージャリー(顕微鏡手術)を含む形成外科施術に6年間従事。
東京、秋葉原でアルモ形成クリニックを開院。
沖縄から北海道まで、遠方の患者様に多くご来院いただいております。
年間200症例以上の自毛植毛施術を執刀しており、AGA治療(内服療法、注射療法、レーザー治療)や美容外科施術にも長けている。
自毛植毛だけでは実現の難しい、額をせまくする手術やFUT植毛による傷跡のカバーアップなどといった技術も高く評価を受けている。

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