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なおるん毛髪情報局

なおるん毛髪情報局 自毛植毛の基礎知識

PHYSICIAN SUPERVISING

ページの監修医師

アルモ形成クリニック
院長 内田 直宏(なおるん先生)

  • ISHRS(国際毛髪外科学会)正会員
  • 年間200症例以上の自毛植毛を執刀
  • 違和感ゼロへ導く精密なグラデーションデザイン植毛が得意
アルモ形成クリニック 院長 内田直宏

植毛から半年で生えてこないのは失敗?考えられる原因・判断の目安・相談のタイミング

植毛から半年の経過についてのイメージ画像(クリニックの診察室)

【この記事の結論】
植毛から半年の時点で「思ったより生えていない」と感じても、それだけで失敗とは判断できません。移植毛は術後3ヶ月前後から生え始め、6ヶ月で変化を感じ、完成は術後12ヶ月以降が目安です。半年は「途中」の時期にあたります。


ただし、半年の時点で見ておきたいサインはあります。移植した範囲の形がほとんど出ていない、植えたときの長さのまま伸びない毛が多い、といった場合は、経過観察ではなく診察を受けた方がよい状態です。
術後8〜12ヶ月ごろには発毛や密度を詳しく評価しますが、毛の太さや仕上がりは12〜18ヶ月ごろまで変化する場合があります。評価は、手術を受けたクリニックで行うのが基本です。

※術後1ヶ月から1年までの一般的な変化は、関連ページ「自毛植毛の術後経過について」で解説しています。この記事では「半年経っても生えていない気がする」と感じたときの見方に絞って説明します。

半年の時点で「生えていない」と感じるのは珍しくない

自毛植毛では、移植したグラフト(毛根を含む組織)の毛は、術後2週〜1ヶ月ごろに一度抜け落ちることが多く、その後、毛根が休止期を経て新しい毛を作り始めます。毛髪外科の教科書でも、患者さんへの説明として「3ヶ月で生え始め、6ヶ月で変化が分かり、12〜18ヶ月で完成」という時間軸が示されています。

髪は1ヶ月に約1cm伸びるため、仮に術後3ヶ月ごろから伸び始めた場合、半年の時点でも数cm程度の短い毛であることもあります。しかも生え始めの毛は細く、くせが出やすく、既存毛との長さの差もあります。短い毛が見えていても、見た目のボリュームが十分に増えたと感じられないことは、この時期によくあります。

半年から1年にかけて変わること

当院の院長の臨床上の見方では、術後6〜8ヶ月ごろにボリュームが一段上がり、半年から1年にかけて毛の太さが増していく傾向があります。また、移植毛の成長と毛幹の成熟によって、同じ本数でもボリューム感が変わって見えることがあります。これは当院での経過観察に基づく見解で、経過には個人差があります。

時期 一般的な状態 この時期に見るポイント
術後2週〜1ヶ月 移植毛が一度抜ける。周りの既存毛が抜けること(ショックロス)もある 抜けた毛に出血や組織の付着があるなど、通常の脱毛と異なる変化がないか(毛が抜けたことだけでは生着不良とは判断できない)
術後3ヶ月 新しい毛が生え始める。細く、くせが強いことが多い 移植した範囲に、まばらでも毛が出てきているか
術後6ヶ月 毛が伸び、変化が分かり始める。まだ細く短い 移植範囲の形(生え際のラインなど)が出ているか
術後8〜12ヶ月 毛が太くなり、くせが落ち着いてくる 発毛や密度を詳しく評価する時期。左右差も確認
術後12〜18ヶ月 完成の時期 この時点の状態を基準に、追加の必要性を検討

※時期は目安です。年齢、部位、毛質、持病、喫煙などで前後します。

植毛後6ヶ月で診察を受けた方がよいサイン

一方で、半年待てばすべて解決するわけではありません。次のような場合は、経過観察を続けるより、診察で状態を確かめた方がよいと考えます。

  • 移植した範囲の形がほとんど出ていない。生え際に植えたのにラインが見えない、面として植えた部分に毛がまばらにしか出ていない、という状態です。
  • 手術後から抜けずに残り、長さがほとんど変わらないように見える毛が多い。移植後に一時的に抜けずに残る毛自体は、術式を問わず一定数あります。半年経っても長さが変わらない毛が目立つ場合は、成長開始の遅れ、毛包の損傷、埋没毛など複数の原因が考えられます。ただし、毛が伸びていないように見えることだけで、毛包が損傷している、あるいは生着していないと判断することはできません。拡大鏡やマイクロスコープによる観察や過去の写真との比較を行い、必要に応じて経過を確認することが大切です。
  • 半年を過ぎてから、移植範囲の後方(生え際より後ろ)が薄く見えてきた。細くなった既存毛が多い部分に移植量が少なかった場合、術後半年以降にその部分のボリューム不足が目立ってくることがあります。移植密度やデザインが主な要因である場合は、時間の経過だけでは希望する密度に達しないことがあります。一方、既存毛の変化やAGAの進行が関係している場合は経過が異なるため、診察で原因を確認することが大切です。
  • 左右差が大きい。成長期に入るタイミングの差で一時的な左右差は起こりますが、片側だけ明らかに少ない場合は、発毛時期の違いのほか、既存毛の状態、移植密度、生着状況などが関係している可能性があります。

「チクチクした短い毛が多くて伸びない」という相談は多くあります。短い毛が伸びない原因には、休止期が長く成長が始まっていない毛、採取や植え付けの際に損傷を受けた毛、皮膚に埋まった毛など複数の可能性があり、外観だけで原因を特定することはできません。当院では拡大鏡やマイクロスコープで毛の状態を確認し、経時的な写真や診察所見も合わせて原因を検討しています。休止期を経た毛包が成長期に移行し、新たな毛が生えてくる場合もあります。

植毛後に毛が生えてこないように見える主な原因

半年経っても十分に生えていないように感じる場合、移植毛の発毛が遅れているだけのこともあれば、移植毛の成長不良や、周りの既存毛の変化が関係していることもあります。実際にはこれらが重なっていることも多く、見た目だけで原因を一つに決めることはできません。

考えられる原因 状態 見分けるための材料
①発毛時期の個人差 移植毛がまだ十分に成長しておらず、短く細い毛が多い 移植範囲に短い毛が出ているか。月ごとの写真の変化
②移植毛の成長不良 採取・保存・植え付け時の毛包の損傷や、移植部の条件などが影響し、期待した発毛が得られていない 移植範囲の形が出ているか。移植したグラフト数の記録と現在の発毛状態の比較
③既存毛の変化 ショックロスからの回復途中や、AGA(男性型脱毛症)の進行で、全体の毛量が少なく見える 移植していない周囲の毛の変化。内服の有無
④移植密度・デザインの影響 移植毛は成長しているが、範囲や密度、既存毛とのバランスで、希望するボリュームに達していない 手術前の計画(範囲・グラフト数・密度)と希望の差

当院では、②について、移植した毛包が十分に生着していない可能性と、毛包が残っていても毛の成長が遅れている可能性の両方を考慮します。ただし、外観や通常の診察だけで両者を明確に区別することは難しい場合があり、その後の対応は、移植部の皮膚や血流の状態を診察したうえで個別に判断します。瘢痕がある場合は、再移植の条件が不利になることがあります。

手術直後の写真は、移植範囲と植え付け時の状態を確認する記録として役立ちます。手元にあれば、相談の際に持参してください。既存毛の変化が関係する場合は、ショックロスの回復の遅れや、AGAそのものの進行を合わせて確認します。

生着に影響する要因

毛髪外科の教科書では、移植部の一部または全体で毛の成長が悪くなること(poor growth)は合併症の一つとして挙げられており、喫煙、糖尿病、頭皮の手術歴、日光による皮膚の傷み、頭皮が薄いことなどが血流の面で不利に働くとされています。手術側の要因としては、採取時の毛根の切断、グラフトが体の外にある時間や乾燥、移植穴の作り方、植え付け時の損傷などがあります。

生着率については、関連記事「自毛植毛の生着率は何%?」で、既存毛が残っている部分に植える場合の難しさは、関連記事「既存毛間植毛とは?」で解説しています。

相談のタイミングと、受診前に用意しておくもの

すぐに連絡した方がよい時期・状態

  • 術後早期に出血を伴って組織ごと脱落した場合や、移植部を強くこすった・ぶつけた場合。時期にかかわらず、手術を受けた医療機関に相談してください。
  • 発熱、強い腫れ、膿、広がる赤み、強くなる痛みなど、感染を疑うサインがあるとき。これは半年後の発毛の問題とは別で、術後何ヶ月であっても早めに連絡してください。

半年の時点で受診を考える状態

  • 移植範囲の形がほとんど出ていない
  • 抜けずに残ったまま、長さがほとんど変わらない毛が目立つ
  • 半年を過ぎてから、移植範囲の後方が薄く見えてきた

評価の時期

発毛の経過は術後から定期的に確認し、仕上がりについては術後8〜12ヶ月以降を目安に評価を進めるのが一般的です。毛の太さやボリュームの変化はその後も12〜18ヶ月ごろまで続くことがあります。手術を受けたクリニックで、生着不良と判断する基準と時期、その場合の対応をあらかじめ確認しておくと、不安を抱えたまま待つことが減ります。

用意しておくもの

  • 手術直後・1ヶ月・3ヶ月・6ヶ月の写真(可能であれば同じ角度・同じ照明で撮ったもの。そろっていなければ手元にある写真だけでも構いません)
  • 手術記録(移植したグラフト数、術式、移植した範囲)
  • 術後に飲んでいる薬、喫煙の有無、生活上の変化(体調不良や強いストレスなど)

他院で手術を受けた方のセカンドオピニオンも可能です。ただし、他院での手術結果について、診察前にオンラインの情報だけで判断することはできません。

自毛植毛の費用と主なリスク・副作用

自毛植毛は、後頭部などから毛包を採取し、薄毛の部分に移植する外科手術です。手術後は定期的に経過を確認し、移植毛の成長や仕上がりを12ヶ月前後を目安に評価します。保険適用外の自由診療で、当院の手術料金は「基本料金205,000円(税込)+1グラフトあたりの料金×グラフト数」で決まります。アルモHi-STANDARD法・アルモUn-SHAVEN法は、いずれもFUE(1株ずつくり抜く方法)を用いた当院の施術名称です。

術式(当院) 1グラフトあたり(税込) 1,500グラフトの総額例(税込・血液検査込み)
アルモHi-STANDARD法(刈り上げる) 1,078円 1,833,000円
アルモUn-SHAVEN法(刈り上げない) 1,870円 3,021,000円

※総額例は、手術料金に手術前の血液検査11,000円(税込)を加えた金額です。傷跡への植毛など一部の施術では基本料金が異なります(傷跡植毛は220,000円)。術前検査の結果、当院が定める感染症対策が必要となる場合は、別途感染症対策料198,000円(税込)がかかります。詳しくは植毛メニュー(料金表)をご確認ください。

自毛植毛には、腫れ、痛み、出血、かゆみ、感染、血行不全、移植毛の生着不良、傷跡、採取部の密度低下、毛のう炎、感覚の違和感、ショックロス(周りの既存毛の一時的な脱毛)、くせ毛などのリスクがあります。移植毛がすべて生着するとは限らず、仕上がりや経過には個人差があります。

植毛後の経過に関するよくある質問

Q. 術後2ヶ月で生えてきた気がします。早いのでしょうか?

移植毛の発毛は術後3〜4ヶ月ごろから目立ち始めるのが一般的ですが、2ヶ月ごろから変化を感じる方もいます。ショックロスで抜けていた既存毛が戻ってきている場合もあり、移植毛か既存毛かは診察で確認します。

Q. 半年経ってもくせ毛のままです。治りますか?

術後早期の移植毛は、毛質やくせが安定しないことがあります。時間とともに変化することが多く、当院の経験では半年から1年ごろに強く出て、その後落ち着いていく方が多い印象ですが、個人差があります。元々くせ毛の方はより強く出ることがあります。術後の毛質の変化が長く残る場合もありますが、程度や期間には個人差があります。

Q. 半年で結果が出ていない場合、すぐに再手術できますか?

半年の時点では評価が定まらないため、同じ部位の再手術は通常すぐには行いません。評価の目安である8〜12ヶ月まで経過を見たうえで、生着不良かどうか、原因が何かを確認してから計画します。移植部の皮膚や血流の状態によっては条件が不利になることもあるため、診察のうえで判断します。

Q. 1年経っても生えてこない場合は、どうなりますか?

術後12ヶ月を過ぎても移植した範囲の発毛が明らかに少ない場合は、生着不良の可能性を含めて原因を確認します。移植毛の成長不良だけでなく、既存毛の減少(AGAの進行など)や、移植密度と希望との差が関係していることもあるためです。毛の太さやボリュームは12〜18ヶ月ごろまで変化することがあるので、その間の経過も合わせて評価します。追加の手術が必要かどうかは、原因と、移植部の皮膚や血流の状態、残っているドナーの量を診察したうえで判断します。

Q. 他院で受けた植毛の経過についても相談できますか?

他院で手術を受けた方のご相談も可能です。ただし、他院での手術の結果を、写真やオンラインの情報だけで判断することはできません。診察で、移植範囲の発毛状態、既存毛の変化、ドナーの状態を確認したうえでお伝えします。手術記録(移植したグラフト数・術式・移植した範囲)や術後の経過写真があれば、ご持参ください。手術を受けたクリニックで定期検診を受けている場合は、その評価とあわせて考えることも大切です。ご相談の流れはカウンセリング~診療の流れをご覧ください。

Q. 移植部にニキビのようなものができています。発毛に影響しますか?

移植した毛が皮膚の表面に出てくる時期(術後2〜4ヶ月ごろ)には、毛穴の周りが赤く腫れたり、ニキビのようなできもの(毛のう炎)ができたりすることがあります。多くは一時的なもので、すぐに発毛不良につながるとは限りません。ただし、自分で潰したり強くこすったりすると、炎症が悪化することがあります。数が多い、腫れや痛みが強い、膿が続く、広がっていくといった場合は、手術を受けた医療機関に早めに相談してください。炎症の程度によっては、治療が必要になることがあります。

まとめ

植毛から半年で「生えてこない」と感じるのは、この時期によくあることで、それだけで失敗とは言えません。移植毛は3ヶ月前後から生え始め、半年から1年にかけて太くなり、完成は12ヶ月以降が目安です。

一方で、移植範囲の形が出ていない、植えた長さのまま伸びない毛が多い、半年を過ぎてから奥が薄く見えてきた、といったサインがあるときは、待たずに診察を受けてください。仕上がりの評価は術後8〜12ヶ月以降を目安に、手術直後の写真と手術記録を手元に置いて行うのが基本です。


参考文献:Unger R, Shapiro R, eds. Hair Transplantation, 6th ed. Thieme; 2022(術後の発毛の時間軸、移植部の発毛不良と血流に関わる要因)

執筆:編集部/監修:内田直宏医師

このコラムの著者

アルモ形成クリニック 
院長 内田直宏

筑波大学医学部卒業後、マイクロサージャリー(顕微鏡手術)を含む形成外科施術に6年間従事。
東京、秋葉原でアルモ形成クリニックを開院。
沖縄から北海道まで、遠方の患者様に多くご来院いただいております。
年間200症例以上の自毛植毛施術を執刀しており、AGA治療(内服療法、注射療法、レーザー治療)や美容外科施術にも長けている。
自毛植毛だけでは実現の難しい、額をせまくする手術やFUT植毛による傷跡のカバーアップなどといった技術も高く評価を受けている。

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