【女性のAGA】FPHLとは|診断方法や原因は?
女性の脱毛は、男性の脱毛と比べてちょっと複雑で、まだ未解明な部分も多いです。
アンドロゲンが主な原因である男性型脱毛に対し、女性型脱毛はそれ以外にもたくさんの要因が絡み合っていると考えられていることからAGAという言葉を使わずにFPHT(female pattern hair loss) やFHL(female hair loss)と呼ばれることが多いです。
FPHTの診断には男性型脱毛と同じように「毛包の小型化」が有用です。
男女ともに、成長期が短くなり、髪が成長するための時間が少なくなるため、どうしても髪は細く頼りないものになってしまいます。
FPHTに特徴的なのは、症状が特定の部分に集中することはほとんどなくて、広い範囲になっていることです。
ほとんどの女性型脱毛では、頭部の中心にびまん性の薄毛の症状が起きます。(いわゆるクリスマスツリーパターンです)
一方、男性型によく見られるのは「前頭側面角と頭頂部の薄毛」ですが、女性ではほとんど見られません。
この男性型に特徴的なパターンにはアンドロゲンが強く関係していると言われています。
女性の脱毛にはエストロゲン、プロラクチン、甲状腺ホルモン、コルチゾール、成長ホルモン、メラトニンなど、アンドロゲン以外のあらゆるホルモンが関与しています。
ただし、アンドロゲンによる影響が見られる変化がFPHLの患者にはよく見られます。
例えば、嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は一番分かりやすい例ですし、他にもにきび、月経不順、体重増加、多毛、不妊という症状は高アンドロゲン血症患者によく見られる変化です。
ポイント
- FPHLの病態は多因性でまだ未解明な部分が多い
- FPHL患者はアンドロゲンが高いこともあるが、絶対条件ではない
監修医師コメント
FPHLはいわば女性型脱毛ですが、男性の場合と異なり、広範囲で範囲が限定していないことが多いです。また、原因も遺伝やホルモンバランスの乱れなど様々に考えられます。
SmithとWellsによる初期の研究によると、FPHLの女性の54%は、30歳以上の男性の第一近親者に男性型脱毛症の患者がおり、FPHLの女性の23%は、30歳以上の女性の近親者に男性型脱毛症の患者がいるという報告があります。
また、50歳未満の「びまん性脱毛」の女性でも、母親と兄弟の少なくとも50%にそれぞれ「薄毛」やMPHLが認められると指摘されており、遺伝性は強いと判断できます。
さらに最近の研究では、FPHLの一部の女性は、アンドロゲンに対する感受性が高く、おそらくアンドロゲン受容体遺伝子の発現が増加していることが示唆されています。遺伝的感受性の高い患者では、エストロゲンとテストステロンの比率の低下が、FPHLの発症の誘因となる可能性が指摘されています。