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なおるん毛髪情報局

なおるん毛髪情報局 生活習慣

PHYSICIAN SUPERVISING

ページの監修医師

アルモ形成クリニック
院長 内田 直宏(なおるん先生)

  • ISHRS(国際毛髪外科学会)正会員
  • 年間200症例以上の自毛植毛を執刀
  • 違和感ゼロへ導く精密なグラデーションデザイン植毛が得意
アルモ形成クリニック 院長 内田直宏

「オナニーでハゲる」は本当?射精・テストステロン・亜鉛と薄毛の関係

監修:内田直宏(アルモ形成クリニック院長・形成外科医)

結論:オナニー(自慰行為・射精)の回数が、AGA(男性型脱毛症)を引き起こす、または進行させることを示した信頼できる研究は、現時点で見当たりません。AGAは、遺伝的な素因と、男性ホルモンから変化したジヒドロテストステロン(DHT)が毛包に作用することで起こる脱毛症と考えられています。

精液には亜鉛やタンパク質が含まれますが、射精による損失が栄養不足を起こし、薄毛につながることを示した信頼できる根拠も確認されていません。生え際や頭頂部が薄くなってきた場合は、オナニーのせいと決めつけず、AGAなどの脱毛症がないかを確かめることが大切です。

『自慰行為・オナニーで薄毛になるってホントですか?』は、患者様から本当によくいただくご質問です。

この記事では、「オナニーでハゲる」と言われる2つの説(男性ホルモン説・亜鉛やタンパク質の消費説)が医学的にどう考えられるか、AGAが起こる仕組み、毎日する・禁欲するとどうなるのか、オナニー以外に考えたい抜け毛の原因、受診の目安を解説します。男性ホルモンの補充療法(注射など)と薄毛の関係はテストステロン注射(補充療法)で薄毛は進む?をご覧ください。

「オナニーでハゲる」と言われる2つの説

「自慰行為が薄毛の原因になる」という説の根拠として、主に次の2つが挙げられます。

  • 射精で男性ホルモン(テストステロン)が増え、AGAが進む
  • 精液に含まれる亜鉛やタンパク質が失われ、髪の材料が足りなくなる

これらの説には、ホルモンの働きや精液の成分に関する情報が使われていますが、それだけでは自慰行為が薄毛を起こす根拠にはなりません。それぞれ順に見ていきます。

説1:射精でテストステロンが増えてAGAが進む

この説は、次のような流れを想定しています。

  1. オナニーをする
  2. テストステロンが増える
  3. ジヒドロテストステロン(DHT)が増える
  4. AGAが進行して薄毛になる

性的興奮・自慰行為・禁欲に伴うホルモンの変化を調べた研究はありますが、いずれも小規模で、測定する対象や条件もさまざまです。たとえば、健康な成人男性10人を調べたドイツの研究では、自慰行為によるオルガズムの前後で血中テストステロンは変化せず、3週間の禁欲のあとには、禁欲前より高い値がみられたと報告されています(Exton ら, 2001)。射精の頻度と、長く続くテストステロンの変化との関係は確立していません。

なお、インターネット上でよく紹介される「禁欲7日目に血中テストステロンがピークになる」という研究(Jiang ら, 2003年)は、先に発表された中国語の論文と内容が大きく重なることを理由に、2021年に掲載誌で撤回されています(撤回通知)。また、ここで挙げた研究はいずれも、薄毛や発毛への影響を調べたものではありません。

さらに大切なのは、血液中のテストステロンの値だけでは、AGAが起こるか・進むかは判断できないという点です。次の章で説明するように、AGAには、毛包でのDHTのつくられ方や、DHTを受け取る受容体(アンドロゲン受容体)を介した反応、遺伝的な素因が関わっていると考えられています。自慰行為に伴う一時的なホルモンの変動が、AGAの発症・進行につながることを示した信頼できる根拠は確認されていません。

説2:精液で亜鉛やタンパク質が失われ、髪の材料が不足する

この説は、次のような流れを想定しています。

  1. 髪をつくるにはタンパク質や亜鉛が必要
  2. 精液にはタンパク質や亜鉛が含まれる
  3. 射精が多いと髪の材料が減る
  4. 薄毛になる

髪の毛は主にケラチンというタンパク質でできており、タンパク質や亜鉛が髪の健康に必要な栄養素であることは確かです。また、精液にタンパク質や亜鉛が含まれていることも事実です。

ただし、射精による損失が栄養不足を起こし、薄毛につながることを示した信頼できる根拠は確認されていません。極端な食事制限や偏った食事が続いている場合は、射精の回数よりも食事内容そのものを見直す方が大切です。亜鉛と髪の関係は亜鉛不足と薄毛の関係、食事全般は薄毛と食事の関係で詳しく解説しています。

よく言われる説確認されていること根拠が乏しい部分
射精でテストステロンが増える→AGAが進む性的興奮・禁欲に伴うホルモンの変化を調べた小規模な研究はある射精の頻度と持続的なホルモン変化の関係は確立しておらず、自慰行為に伴う変動がAGAにつながるという信頼できる根拠は確認されていない
精液で亜鉛・タンパク質が失われる→髪の材料が不足髪にはタンパク質・亜鉛が必要で、精液にも含まれる射精による損失が栄養不足を起こし、薄毛につながるという信頼できる根拠は確認されていない

AGA(男性型脱毛症)が起こる仕組み

日本皮膚科学会の「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017年版」では、男性型脱毛症(AGA)は、思春期以降に額の生え際や頭頂部の髪が、どちらか一方または両方から薄くなっていく脱毛症とされています。

前頭部や頭頂部の毛包で、男性ホルモンのテストステロンが主にII型の5α還元酵素(5αリダクターゼ)によってジヒドロテストステロン(DHT)に変わり、DHTが毛乳頭細胞のアンドロゲン受容体に結びつくことで、髪の成長期が短くなります。その結果、髪が太く長く育つ前に抜けるようになり、細く短い毛(軟毛)が増えて薄く見えるようになります(日本皮膚科学会:男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017年版)。

AGAの起こりやすさには、遺伝的な素因が関わると考えられています。家族に薄毛の人がいるかどうかは目安のひとつになりますが、それだけで将来が決まるわけではありません。遺伝と薄毛の関係はAGA遺伝子検査は意味ない?でも解説しています。

つまり、AGAは血液中の男性ホルモンの値だけで決まるものではなく、毛包での男性ホルモンへの反応(体質)が大きく関わります。オナニーの回数を減らしたり増やしたりしても、この体質が変わるわけではありません。

AGAは進行性の脱毛症のため、生え際や頭頂部の変化に気づいたら、オナニーの回数を気にするより、早めにAGAかどうかを確かめることが大切です。AGAと診断された場合は、国内で承認されている内服薬(フィナステリド・デュタステリド)などで進行を抑える治療を検討できます。当院での診察や治療の流れ、費用はAGA治療のページをご覧ください。

毎日オナニーするとハゲる?禁欲すると髪は増える?

「毎日している」「1日に何回もしてしまう」ことを心配される方もいますが、回数が多いことで薄毛になる、あるいは控えることで髪が増えるという研究は見当たりません。禁欲によって薄毛が改善したという話もありますが、それを示した信頼できる根拠は確認されていません。

一方で、夜遅くまで起きている、食事を抜きがちといった生活リズムの乱れや、強いストレスが続いている場合は、体調全般のために見直す価値があります。ただし、睡眠や生活習慣がAGAの進行にどの程度影響するかは、まだ十分に分かっていません。生活習慣を整えることは大切ですが、それだけでAGAの進行を止められるとは限りません。

回数そのものよりも、日常生活や仕事、人間関係に支障が出るほど止められない、気持ちが落ち込むといった場合は、髪の問題とは別に、泌尿器科や心療内科などで相談することも考えてください。

オナニー以外に考えたい抜け毛・薄毛の原因

抜け毛や薄毛が気になるときは、オナニーより先に、次のような原因がないかを確かめることが大切です。

原因特徴の例
AGA(男性型脱毛症)生え際(M字)や頭頂部から、髪が細く短くなりながら少しずつ薄くなる
円形脱毛症境目のはっきりした脱毛斑が急にできる。範囲が広がることもある
休止期脱毛高熱・手術・急な体重減少・強いストレスなどの数か月後に、頭全体の抜け毛が増える。多くは一時的だが、長引く場合もある
栄養の偏り・極端な食事制限髪全体が細くなる、抜け毛が増えるなど
甲状腺の病気・薬の影響など髪以外の体調の変化(だるさ、体重の変化など)を伴うことがある
頭皮の炎症(脂漏性皮膚炎など)かゆみ、赤み、フケ、湿疹を伴う

これらは見た目だけで区別するのが難しいこともあります。思い当たる原因がない、または原因がはっきりしない場合は、医療機関で診察を受けましょう。内服によるAGA治療は成人男性が対象で、20歳未満ではこれらの薬の安全性・有効性が確立していません。高校生など10代の方は、まず皮膚科で原因を確かめましょう。10代の薄毛については10代の薄毛・若ハゲの原因もご覧ください。

受診を考えたい目安

状態考えられること・対応の例
生え際(M字)が後退してきた、頭頂部の地肌が透けて見えるAGAの可能性。皮膚科やAGA治療を行う医療機関で相談
抜け毛の多い状態が数か月続いているAGA、休止期脱毛など。原因を確かめるため受診
丸く抜けた部分がある、急に広い範囲が抜けた円形脱毛症など。早めに皮膚科を受診
頭皮のかゆみ・赤み・湿疹がある頭皮の炎症など。皮膚科を受診
だるさや体重の変化など、髪以外の体調の変化もあるほかの病気の可能性。内科などで相談

数か月待つ必要はありません。急な変化や不安がある場合は、早めに相談してください。

アルモ形成クリニック(東京・秋葉原)は自毛植毛を中心とした医療機関で、薄毛がAGAかどうかの診察、国内で承認された内服薬(フィナステリド・デュタステリド)による男性のAGA治療、自毛植毛を行っています。初診料(対面・オンライン)は無料ですが、AGAのみの診察の場合には別途5,500円(税込)がかかります。

※AGA治療・自毛植毛はいずれも保険適用外の自由診療です。AGA治療の内服薬は成人男性が対象です。ただし、20歳未満での安全性・有効性は確立していません。フィナステリド1mg(1日1回1錠)28日分5,800円、デュタステリド0.5mg(1日1回1カプセル)30日分7,800円(いずれも税込)です。通常6か月程度続けたところで効果を評価し、その後も続けるかどうかは医師が定期的に判断します(フィナステリド添付文書・デュタステリド添付文書)。主な副作用として、性欲減退・勃起機能の低下、肝機能障害などがあり、効果には個人差があります。使用をやめると、効果は徐々に失われると考えられています。

※自毛植毛は、後頭部などから毛包を採取し、薄くなった部分へ移植する手術です。費用は基本料金205,000円(税込)+グラフト数に応じた料金(アルモHi-STANDARD法(刈り上げる自毛植毛)1グラフト1,078円、アルモUn-SHAVEN法(刈り上げない自毛植毛)1グラフト1,870円・いずれも税込)です。別途、植毛手術前の血液検査11,000円(税込)がかかり、感染症がある方は感染症対策料198,000円(税込)が別途かかります。費用の一例として、1,000グラフトを移植する場合、血液検査を含めてアルモHi-STANDARD法 1,294,000円/アルモUn-SHAVEN法 2,086,000円(税込)です(感染症対策料が必要な場合は別途。必要なグラフト数は薄毛の範囲とデザインによって診察で判断するため、費用には個人差があります。2026年10月時点。最新は料金ページをご確認ください)。手術は通常1回・日帰りで、移植毛が生えそろって効果を判断できるのは術後6〜12か月が目安です。主なリスク・副作用:術後の痛み・腫れ・内出血、かさぶた、一時的な抜け毛(ショックロス)、感染、毛嚢炎、採取部や移植部のしびれ・感覚の鈍さ、傷跡、移植毛が十分に生着しない可能性があり、仕上がりには個人差があります。植毛は、AGAの進行そのものを止める治療ではありません。

自毛植毛の方法や流れは自毛植毛について、よくある質問はよくあるご質問をご覧ください。

なおるん院長
内田直宏先生
(アルモ形成クリニック院長)

オナニーやセックスと薄毛の関連性は、患者様からよく聞かれる質問の一つですが、現状、関連性を示す明らかなエビデンスはございません。

オナニーと薄毛に関するQ&A

Q. 毎日オナニーをしていますが、ハゲますか?

A. 回数が多いことで薄毛になるという研究は見当たりません。生え際や頭頂部が薄くなってきたと感じる場合は、回数のせいと考えるより、AGAなどの脱毛症がないかを確かめましょう。

Q. オナ禁(禁欲)をすると髪が増えますか?

A. 禁欲によって髪が増える、薄毛が改善することを示した信頼できる根拠は、現時点で確認されていません。禁欲とテストステロンの関係を調べた小規模な研究はありますが、薄毛や発毛への影響を調べたものではありません。

Q. 射精で亜鉛が失われるなら、亜鉛サプリを飲んだ方がよいですか?

A. 射精したことだけを理由に、亜鉛を追加でとる必要性は示されていません。亜鉛のサプリメントをとりすぎると、吐き気などの消化器症状や、銅の欠乏を起こすことがあるため(NIH:Zinc Fact Sheet)、自己判断で多く飲むのは避けましょう。目安は亜鉛不足と薄毛の関係をご覧ください。

Q. AGA治療薬を飲むと性欲が落ちると聞きました。

A. フィナステリドやデュタステリドの副作用として、性欲減退や勃起機能の低下が報告されています。性欲減退や勃起機能の低下が気になる場合は、早めに処方した医師へ相談し、服用の継続や変更について確認してください。頻度などはフィナステリドの副作用の確率は?で解説しています。

まとめ

  • オナニー(自慰行為・射精)でAGAが起こる、または進むことを示した信頼できる研究は見当たらない
  • 射精とホルモン値の関係を示す研究は少なく、AGAには毛包での男性ホルモンへの反応(体質)が大きく関わると考えられている
  • 精液には亜鉛やタンパク質が含まれるが、射精による損失で薄毛になるという信頼できる根拠は確認されていない
  • 生え際や頭頂部が薄くなってきた、抜け毛が続く場合は、オナニーのせいと決めつけず、AGAなどの原因を確かめる

薄毛が気になり始めたら、早めに医療機関で相談することをおすすめします。

参考文献

このコラムの著者

アルモ形成クリニック 
院長 内田直宏

筑波大学医学部卒業後、マイクロサージャリー(顕微鏡手術)を含む形成外科施術に6年間従事。
東京、秋葉原でアルモ形成クリニックを開院。
沖縄から北海道まで、遠方の患者様に多くご来院いただいております。
年間200症例以上の自毛植毛施術を執刀しており、AGA治療(内服療法、注射療法、レーザー治療)や美容外科施術にも長けている。
自毛植毛だけでは実現の難しい、額をせまくする手術やFUT植毛による傷跡のカバーアップなどといった技術も高く評価を受けている。

内田医師のプロフィール画像

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