なおるん毛髪情報局
FUE法の植毛とは?FUTとの違い・メリット・デメリットと向いている人
FUE法の植毛とは? FUT法との違いと、向いている人・向いていない人
【この記事の結論】
- FUE法は、後頭部や側頭部から、毛包(毛根を含む組織)の単位(グラフト)を小さな円筒形のパンチで1株ずつくり抜いて採取する自毛植毛の術式です。パンチで皮膚に小さな切開を加える外科手術ですが、頭皮を帯状に切り取るFUT法と違い、採取部を線状に縫い合わせる必要がありません。
- 主なメリットは、FUT法のような帯状に切り取って縫い合わせることによる線状の傷跡を作らないこと(点状の傷跡は残ります)、術後の採取部の突っ張り感が出にくいこと、採取する場所を選びながら採取できることです。
- 主なデメリットは、パンチで採取した部位に点状の小さな傷跡が残ること、採取部を刈り上げる方法が一般的なこと、1株ずつ採取するため採取に時間がかかりやすいこと、採取の技術などによって、採取時に毛包が切断されるリスクが変わることです。
- どちらの術式にも長所と短所があり、薄毛の範囲、必要なグラフト数、髪型や仕事の事情、頭皮の状態によって合う方法が変わります。当院(アルモ形成クリニック)ではFUE法を採用しています。
この記事では、FUE法の仕組みと手術の流れ、FUT法との違い、メリット・デメリット、向いている人、傷跡や術後の経過、費用を解説します。自毛植毛そのものの仕組みは「自毛植毛とは」をご覧ください。
目次
FUE法とは?パンチで毛包単位を1株ずつ採取する植毛
FUE(Follicular Unit Excision。以前は Follicular Unit Extraction とも呼ばれていました)は、自毛植毛でドナー(移植する毛)を採取する方法のひとつです。
頭髪は、通常1〜3本(まれに4本)の毛を含む「毛包単位(フォリキュラーユニット)」というまとまりで生えています(参考文献1)。FUE法では、この毛包単位ごとに、直径1mm前後の円筒形のパンチ(参考文献2。当院では0.85mm)を皮膚に入れて周りを切り離し、1株ずつ採取します。皮膚に小さな切開を加える外科手術である点はFUT法と同じです。採取したグラフトは、薄毛の部分に作った小さな移植穴に1株ずつ植え込みます。
採取するのは、AGA(男性型脱毛症)の影響を受けにくい後頭部・側頭部のうち、将来の薄毛の進行も考えて適切と判断した範囲の毛です。生着した毛は長期的な発毛が期待できますが、経過には個人差があります。また、移植していない既存の毛は薄毛が進むことがあるため、既存の毛の進行も含めた治療計画が必要です。
採取に使う器具は、クリニックによって「パンチ」「パンチブレード」「マイクロパンチ」などと呼び方が違いますが、パンチで毛包単位をくり抜くという基本的な原理は共通です。パンチの径や形、電動で回転させるかどうか、吸引で補助するかどうかなどは施設によって異なります。
FUE法の手術の流れ
一般的な流れは次のとおりです。当院の場合は、カウンセリング・診察と手術前の血液検査を経て手術日を決めます。
| 工程 | 内容 |
|---|---|
| 1. デザイン | 医師が、移植する範囲と生え際の形、必要なグラフト数を決めます。 |
| 2. 採取部の準備 | 後頭部・側頭部の採取部を短く刈り上げる方法が一般的です。刈り上げずに採取する方法(当院のアルモUn-SHAVEN法など)もあります。 |
| 3. 麻酔 | 局所麻酔を行います。当院では鎮静麻酔も併用します(基本料金に含まれます)。 |
| 4. 採取 | パンチで毛包単位を1株ずつくり抜いて採取します。採取したグラフトは乾燥しないよう保存液に入れて管理します。 |
| 5. グラフトの確認 | グラフトに付いた余分な組織や損傷の有無を確認します。 |
| 6. 移植穴の作成・植え込み | 毛の向きや角度に合わせて移植部に小さな穴(スリット)を作り、グラフトを植え込みます。 |
| 7. 帰宅 | 手術は日帰りです。術後の洗髪や過ごし方は、指導された方法に従います。 |
手術時間はグラフト数や術式によって異なり、当院では4〜10時間程度です(詳しくは「植毛の手術は何時間かかる?」)。
FUE法とFUT法の違い
FUT(Follicular Unit Transplantation)は、後頭部の頭皮を帯状に切り取って縫い合わせ、切り取った頭皮を顕微鏡などで毛包単位に切り分けて(株分けして)移植する方法です。移植する工程は共通で、違いは主に「ドナーをどう採取するか」にあります。
| 項目 | FUE法 | FUT法 |
|---|---|---|
| 採取方法 | パンチで毛包単位を1株ずつくり抜く | 頭皮を帯状に切り取り、縫い合わせる |
| 株分け | 採取した時点で毛包単位になっている(確認と調整は行う) | 切り取った頭皮を毛包単位に切り分ける工程が必要 |
| 採取部の傷跡 | 採取した部位に点状の傷跡が残る | 帯状に切り取って縫い合わせた部分に線状の傷跡が残る |
| 採取部の刈り上げ | 刈り上げる方法が一般的(刈り上げない方法もある) | 帯状に切り取る部分のみで、周りの髪で隠れることが多い |
| 術後の採取部 | 縫合がないため突っ張り感は出にくい | 縫合部の突っ張り感や痛みが出ることがある |
| 採取工程の時間 | 1株ずつ採取するため長くなりやすい | 短く済みやすい(株分けの工程は別に必要) |
手術全体の時間は、グラフト数や施設の体制によって変わります。どちらの術式でも、採取・株分け・保存・植え付けの各工程の丁寧さが結果に関わり、術式の名前だけで仕上がりや生着の優劣を決めることはできません。
生涯に採取できるグラフト数は術式でどれくらい違う?
後頭部・側頭部のドナーから一生のうちに採取できるグラフト数には限りがあります。FUE法は採取部全体から間隔をあけて採取します。隣り合う毛包を密集して採取すると、採取部の密度が下がったり傷跡が目立ったりするため、採取の間隔や残る毛の量を考えて採取します。採りすぎると採取部が薄く見えることがあります。FUT法は帯状に切り取るため、採取できる量は頭皮のゆとりや以前の傷跡の状態に左右されます。
術式によって採取できる数が違うといわれることがありますが、実際に採取できる量は、ドナーの毛の密度や範囲、頭皮のゆとり、将来の追加手術の見込みなどで一人ひとり異なります。手術の前に、将来に備えてドナーをどう使うかも含めて相談しておくことが大切です。
FUE法のメリット
1. 帯状切除・縫合による線状の傷跡を避けられる
帯状に切り取って縫い合わせないため、FUT法のような線状の傷跡は作りません。ただし、パンチで採取した部位には小さな点状の傷跡が残ります。周りの髪が伸びると目立ちにくくなりますが、採取の偏りや採りすぎがあると目立つことがあります。
2. 採取部の縫合に伴う突っ張り感を避けられる
採取部を縫い合わせないため、縫合に伴う突っ張り感を避けられます。ただし、採取部にも痛みや腫れなどが生じることがあり、感じ方には個人差があります。
3. 採取する毛を選びやすい
毛包単位ごとに採取するため、毛の太さや1株あたりの本数を見ながら採取する場所を選べます。生え際には細い1本毛、奥には複数本の株、といった使い分けにつなげやすくなります。
4. 頭皮のゆとりが少ない方でも選択肢になる
頭皮のゆとりが少なく、帯状に切り取って縫い合わせることが難しい方でも、FUE法が選択肢になる場合があります。実施できるかどうかは、ドナーの状態を診察で確認して判断します。
FUE法のデメリット・注意点
1. パンチで採取した部位に点状の傷跡が残る
くり抜いた部分は小さな点状の傷跡として治ります。周りの髪で隠れることが多いものの、坊主や極端な短髪にすると、白い点として見えることがあります。また、採りすぎたり、採取が一部に偏ったりすると、採取部が薄く見えることがあります。
2. 採取部を刈り上げる方法が一般的
FUE法では、パンチを正確に入れるために採取部を短く刈り上げる方法が一般的です。刈り上げた部分は髪が伸びるまで目立つことがあるため、髪型や仕事の事情によっては、刈り上げない方法を検討します。刈り上げない方法は、採取できる量や手術時間、費用が刈り上げる方法と異なります。
3. 採取に時間がかかりやすい
1株ずつ採取するため、グラフト数が多いほど採取に時間がかかります。一度に移植する量が多い場合は、手術時間や体への負担も考えて計画します。
4. 採取の技術などによって毛包が切断されるリスクが変わる
毛は皮膚に対して斜めに生えており、皮膚の下で向きが変わることもあります。パンチの角度や深さが毛の向きとずれると、採取時に毛包を途中で切断してしまうことがあります(トランセクション)。そのリスクは、採取の技術のほか、毛のくせや毛包の形、頭皮の硬さなどによっても変わります。詳しくは「FUEのトランセクション(毛根切断)率とは?」をご覧ください。
「パンチは細いほどよい」とは限らない
FUE法のパンチの径は施設によって異なり、細さを特長として打ち出すクリニックもあります。細いパンチは採取する穴を小さくできますが、治った後の傷跡の見え方は、採取の間隔や体質などにも左右されます。また、毛包の幅に対して細すぎると、毛包を切断するリスクが高くなることがあります。
大切なのは、パンチの径だけでなく、毛の太さや1株あたりの本数、毛の角度に合わせて径や採取の方法を調整しているかどうかです。カウンセリングでは、どのような器具を使い、どのように採取したグラフトの状態を確認しているかを聞いてみるとよいでしょう。
FUE法が向いている人・向いていない人
<FUE法が向いていることが多い人>
- 生え際やM字、頭頂部など、移植する範囲が比較的限られている方
- 線状の傷跡を避けたい方、将来短めの髪型にする可能性がある方
- 頭皮のゆとりが少なく、帯状に切り取って縫い合わせることが難しい方
- 頭皮を帯状に切り取って縫い合わせる方法を避けたい方
<慎重に検討したほうがよい人>
- 薄毛の範囲が広く、多くのグラフト数が必要な方(手術を複数回に分けても、採取できる総量には限りがあります)
- 後頭部・側頭部のドナーの毛が少ない方
- 坊主や極端な短髪を続けたい方(点状の傷跡が見えることがあります)
- 薄毛の進行が続いている方(移植していない既存の毛の変化も見込んで計画する必要があります)
このうち、ドナーが少ない場合や薄毛が進行している場合は、FUE法に限らず自毛植毛全般で慎重な評価が必要です。どの方法が合うかは、薄毛の範囲や進行の度合い、ドナーの状態、髪型や仕事の事情によって変わります。診察で頭皮と毛の状態を確認したうえで判断します。
FUE法の術後の経過とダウンタイム
当院でご案内している経過の目安(よくある質問)は次のとおりです。手術の範囲やグラフト数、頭皮の状態によって前後します。
| 時期 | 主な状態 |
|---|---|
| 手術当日〜1週間 | 移植部・採取部に腫れやかさぶたが出ることがあります。移植部に触れない・こすらないよう注意します。当院では手術当日は洗髪せず、翌日から指導した方法で洗髪します。 |
| 術後2週間〜1か月前後 | 移植した毛の毛幹がいったん抜けることがあります(通常の経過としてよくみられます)。周りの既存の毛が一時的に抜けるショックロスが起こることもあります(まれに十分に回復しないことがあります)。 |
| 術後3か月ごろ | 移植した毛が生え始める目安です。 |
| 術後8か月ごろ | 生えそろってくる目安です。 |
| 術後1年 | 仕上がりの評価の目安です。 |
術後の経過は「植毛の生着率(定着率)とは?」、術後の洗髪は「植毛後のシャンプーはいつから?」でも解説しています。仕事への復帰時期は、仕事の内容や髪型、採取部を刈り上げるかどうかによって異なるため、診察の際にご相談ください。
当院のFUE法(刈り上げる方法・刈り上げない方法)
当院では、FUE法で次の2つの方法を行っています。どちらも特注の0.85mmのパンチを使用しています。
- アルモHi-STANDARD法(刈り上げる自毛植毛):採取部を刈り上げて採取する方法です。
- アルモUn-SHAVEN法(刈り上げない自毛植毛):後頭部をバリカンで刈り上げずに、プレカット(採取前に毛を短く整える工程)を行ったうえで、一部のグラフトだけをパンチで採取する方法です。
採取では、患者様の毛の特徴に合わせてパンチの挿入角度や深さを調整しています。採取したグラフトは、根鞘などの重要な組織に問題がないか、脂肪などの付着物がないかを医師と看護師で確認しています。移植穴は、生え際の前列やこめかみなどにはラインスリット、奥の部分にはマイクロホールスリットと使い分けています。
これらは当院の考え方と工夫であり、仕上がりや生着を保証するものではありません。結果には個人差があります。
自毛植毛(FUE法)の費用とリスク・副作用
※自毛植毛は保険適用外の自由診療です。当院の費用は基本料金205,000円(税込)+グラフト数に応じた料金(アルモHi-STANDARD法1グラフト1,078円、アルモUn-SHAVEN法1グラフト1,870円・いずれも税込)です。たとえば1,000グラフトの場合の手術料金は、Hi-STANDARD法で1,283,000円、Un-SHAVEN法で2,075,000円(いずれも税込)で、手術前の血液検査11,000円(税込)を加えた総額はそれぞれ1,294,000円、2,086,000円です。感染症がある方は、別途感染症対策料198,000円(税込)がかかります。基本料金には鎮静麻酔・局所麻酔・点滴・内服・術後処方が含まれます。上記は通常の頭皮への植毛の料金で、傷跡への植毛の場合は基本料金が220,000円(税込)です(2026年10月時点。最新は料金ページをご確認ください)。
手術は通常1回・日帰りです(広い範囲の場合は、状態によって複数回に分けることがあります)。移植毛が生えそろってくる目安は術後8か月ごろ、仕上がりの評価は術後1年が目安です。
主なリスク・副作用:術後の痛み・腫れ・内出血、かさぶた、既存の毛の一時的な脱毛(ショックロス。まれに十分に回復しないことがあります)、感染、毛嚢炎、採取部や移植部のしびれ・感覚の鈍さ、採取部・移植部の傷跡や凹凸、採取部の密度の低下、麻酔に伴う気分不良などの体調の変化、移植毛が十分に生着しない可能性があり、仕上がりには個人差があります。
FUE法に関するよくある質問
Q. FUE法とFUT法、どちらがよいですか?
どちらが優れているとは一概にいえません。移植する範囲や必要なグラフト数、ドナーの状態、髪型や仕事の事情、傷跡についての考え方によって合う方法が変わります。当院ではFUE法を採用していますが、それぞれの特徴をご説明したうえで、診察で一緒に検討します。
Q. FUE法の傷跡は目立ちますか?
パンチで採取した部位に点状の小さな傷跡が残りますが、周りの髪が伸びると目立ちにくくなります。坊主や極端な短髪にすると白い点として見えることがあります。傷跡の見え方には、採取の数や間隔、パンチの径、体質などが関わります。
Q. FUE法で一度に何グラフト移植できますか?
ドナーの毛の密度や範囲、手術時間、移植する範囲によって異なるため、一律の上限はお伝えできません。広い範囲の場合は、ドナーを使い切らないよう将来の見通しも含めて計画します。手術を複数回に分けることはありますが、回数を分けても採取できる総量には限りがあります。
Q. FUE法は痛いですか?
手術中は局所麻酔を行い、当院では鎮静麻酔も併用します。麻酔の注射の際や術後に痛みを感じることがあり、感じ方には個人差があります。術後の痛みには処方薬で対応します。
Q. 以前にFUT法を受けました。FUE法で追加の植毛はできますか?
ドナーの状態によっては可能です。FUTの傷跡の状態や、残っているドナーの量を診察で確認したうえで判断します。他院で受けたFUT後の傷跡の修正についてもご相談いただけます。なお、傷跡そのものへの植毛は、傷跡の血流や状態によって生着や必要な回数が異なり、基本料金も通常と異なります(上記の費用欄をご覧ください)。
まとめ
- FUE法は、毛包単位をパンチで1株ずつくり抜いて採取する自毛植毛の術式。頭皮を帯状に切り取って縫い合わせるFUT法のような線状の傷跡は作らないが、点状の傷跡は残る
- メリットは、帯状切除・縫合による線状の傷跡を避けられる・採取部の突っ張り感が出にくい・採取する毛を選びやすいこと
- デメリットは、採取した部位に点状の傷跡が残る・刈り上げる方法が一般的・採取に時間がかかりやすい・採取の技術などで毛包が切断されるリスクが変わること
- 生涯に採取できるグラフト数には限りがある。術式の名前だけで決めず、薄毛の範囲や将来の見通し、髪型の希望に合わせて選ぶことが大切
当院で植毛を受けられた方の部位別の経過は症例ページでご紹介しています。自毛植毛をご検討中の方は、無料カウンセリングやLINE相談をご利用ください。お問い合わせ:アルモ形成クリニック 03-3518-5641(10:00〜19:00・休診 月・木/祝日は営業)
監修医師コメント
FUE法は1グラフト単位で1つずつ採取する方法ですが、クリニックや施設によりかなり方法が異なっています。
例えば、採取したグラフトの脂肪組織を除去するかどうか、切れ毛を除去するかどうか、パンチの直径は細いものを使うか、機械に関してどのような機械を選択するか等です。
結果をよくするために、どうしたらよいか、また経験豊富な施設やクリニックで手術を受けることが肝要です。
気になるクリニックにカウンセリングを受けにいって、どのようなこだわりを持っているか、他のクリニックとどう違うかなどを聞いてみると良いと思います。
参考:自毛植毛とは(当院)
参考:よくある質問(当院)
監修:内田直宏(アルモ形成クリニック院長・形成外科医)
参考文献1:International Society of Hair Restoration Surgery(ISHRS). Glossary(Follicular Unit).
参考文献2:ISHRS FUE Advancement Committee. FUE Clinical Practice Guidelines. 2019.
※0.85mmのパンチ、手術時間4〜10時間程度は当院の仕様・目安です。
(アルモ形成クリニック院長)
「先にFUEを行い、後からFUTをしたほうが将来採取できる株数が多い」という話を聞くことがありますが、私は誤りだと考えています。FUEを先に行うと、本来FUTで切り取る帯状の皮膚に含まれる毛髪が、その分減ってしまうからです。ただし、これは机上の理論です。実際には、後頭部から限界まで採取すると、FUTでもFUEでも後頭部がスカスカに見えてしまいます。このような術式の順序による理論上の採取数の比較だけを重視する必要はないと考えています。