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なおるん毛髪情報局

なおるん毛髪情報局 自毛植毛の基礎知識

PHYSICIAN SUPERVISING

ページの監修医師

アルモ形成クリニック
院長 内田 直宏(なおるん先生)

  • ISHRS(国際毛髪外科学会)正会員
  • 年間200症例以上の自毛植毛を執刀
  • 違和感ゼロへ導く精密なグラデーションデザイン植毛が得意
アルモ形成クリニック 院長 内田直宏

生え際を丸くしたい男性へ|M字を残す・やや丸める、植毛で合う形の選び方

丸い生え際(ダウンスロープ)の植毛を解説する記事のイメージ画像

【この記事の結論】
この記事では、正面から見たときに生え際が中央から左右の外側(こめかみ側)へ向かって、ゆるやかに額側へ下がりながら丸みを帯びる形を「ダウンスロープ」と呼びます(名称や分類は医師・施設によって異なります)。女性に比較的多くみられる形ですが、男性でも自毛植毛で「やや丸みのある生え際」を設計することはあります。

自然に見せるうえで大切なのは、最前列に細くやわらかい1本毛を中心に配置し、カーブの外側では1本毛の割合を調整しながら、毛の角度と流れをこめかみの毛につなげることです。一方で、角を丸めすぎると不自然に見えることがあり、将来AGAが進んだときに移植部だけが残って見えるおそれもあります。

当院では、年齢・AGAの進行の見通し・ドナー(毛を採る後頭部)の量を踏まえて、丸みをどの程度つけるかを相談して決めています(院長の臨床上の見解で、仕上がりを保証するものではありません)。

※この記事は、生え際の「形」(M字の角を丸めるか、外側へ下げるか)に絞って解説します。M字の費用とグラフト数は「M字の植毛はいくら?」、横の角(こめかみ)の扱いは「こめかみの植毛」で解説しています。自毛植毛の全体像は「自毛植毛」のページをご覧ください。

丸い生え際・M字・直線、生え際の形の主なタイプ

生え際の形は、正面から見たときのラインの描き方で、いくつかのタイプに分けて説明されることがあります。呼び方は医師や美容業界で少しずつ異なりますが、植毛のデザインを相談するときは、おおむね次のような違いを意識します。

形のタイプ 特徴 植毛で設計するときの考え方
M字型(額の両角が奥まる形) 中央に比べて左右の角(こめかみの上部)が後ろに下がる。成人男性に多く、AGAではこの角が深くなりやすい 角をどこまで埋めるか・残すかで印象が変わる
直線に近い形 中央から角まで、比較的まっすぐに横へ伸びる 定規で引いたような一直線は不自然になりやすいため、細かなゆらぎをつける
ダウンスロープ(外側へ下がる丸い形) 中央から外側へ向かって、ゆるやかに額側へ下がりながらカーブする。女性に比較的多くみられる カーブの外側を細い毛で整え、こめかみの毛の流れにつなげる

男性では思春期以降、AGAとは別に生え際の両角がやや後退した「成人型」の形になることがあります。そのうえでAGA(男性型脱毛症)が進むと、角の奥まりが深くなり、M字が目立つようになります。ご自身の状態がAGAによる後退なのか、もともとの生え際の形なのかは、「AGAの進行度のセルフチェック【ハミルトンノーウッド】」も参考にしたうえで、診察で確認することが大切です。

男性でもダウンスロープの生え際にできる?

当院の院長は、男性でダウンスロープを希望される方は多くないものの、設計すること自体は可能だと考えています。実際には「はっきりした女性的なカーブ」よりも、「M字の角を少し埋めて、やや丸みを帯びた生え際」を希望される方が多い印象です。女性の生え際には丸みを帯びた形が比較的多くみられますが、形には個人差があり、当院の診療経験では丸みのあるデザインを希望される女性も多くいます。

海外の毛髪外科の教科書でも、東アジア・東南アジアの男性は、欧米の男性に比べて「低めで平らな生え際」や「角の丸い生え際」を好む傾向があると紹介されています。一方で同じ章では、額の張り出しが少ない顔立ちで生え際を低く作りすぎると顔が短く見えることがあり、角を丸めすぎると不自然に見えることもあるため、患者さんと話し合う必要があるとも述べられています。つまり、丸みをつけるかどうかは「できるか」だけでなく、「その方の顔立ちと将来の見通しに合うか」で判断する必要があります。

生え際の位置(どこまで下げるか)と形(どこまで丸めるか)は、セットで考えるものです。位置を下げすぎた場合の修正については「植毛で下げすぎた生え際は修正できる?」で解説しています。

丸い生え際を自然に見せるデザインのポイント

生え際の植毛では、移植する本数よりも「どんな毛を、どこに、どの角度で置くか」が見た目を大きく左右します。丸みのある生え際では、カーブの外側が顔の輪郭に近く、視線が集まりやすい部分になるため、次の点を意識して設計します。

  • 1本毛の割合を調整する:院長は、丸みをつけた生え際を自然に見せるコツとして、最前列やカーブの外側に使う1本毛(1グラフトに毛が1本だけ含まれる株)の割合を少し多めにすることを挙げています。これは院長の臨床上の判断で、標準化された割合があるわけではありません。なお、1本毛だからといって毛が細いとは限らないため、毛の太さも別に見て選びます。1グラフトに含まれる毛の本数と仕分けについては「植毛の「株分け」とは?」をご覧ください。
  • 細くやわらかい毛を最前列に:日本人を含む東アジアの方の毛は、集団の平均では太く黒い傾向があるとされ(個人差があります)、地肌との色の差もあるため、1本毛でも太い毛を最前列に置くと硬い印象になりやすいとされています。教科書でも、株分けの段階で細い1本毛を選び、生え際の最前列に置くことが勧められています。
  • ラインにゆらぎをつける:カーブをきれいな円弧にしすぎず、最前列に自然な細かい不規則さを持たせることで、作られた印象を避けます。左右のバランスは確認しますが、定規で測ったような完全な左右対称を目標にするわけではありません。
  • 角度と流れをこめかみにつなげる:外側では、こめかみや側頭部の既存毛が皮膚に対してどの角度で生え、どの方向へ流れているかを確認し、移植毛の角度と向きを部位ごとに調整します。外側ほど寝た角度になることが多いものの、毛の流れには個人差があります。
  • 前方から後方へ段階的に調整する:最前列から奥へ向かって、毛の太さ・1グラフトに含まれる毛の本数・配置する密度を段階的に変えていきます。奥の密度は、既存毛の状態やドナーの量に応じて決めます。
部位 主に使う株 設計で気をつけること
最前列(中央〜カーブの外側) 細くやわらかい1本毛 ゆらぎをつけ、一直線やきれいすぎる円弧にしない
最前列のすぐ後ろ 1本毛と2本毛 前方から後方へ、少しずつ密度を上げる
奥(前頭部側) 2〜3本毛 正面から見たときの密度感を補う
カーブの外側〜こめかみとの境目 細い1本毛が中心 寝た角度で、こめかみの毛の流れにつなげる

移植した毛がどの程度生えそろうかには個人差があり、生着には術後の経過も関わります。生着の考え方は「植毛の生着率(定着率)とは?」、仕上がりの左右差については「植毛後の生え方に左右差が出るのはなぜ?」で解説しています。

ダウンスロープにする前に考えたいこと(デメリットと限界)

丸みのある生え際は、うまくなじめば顔まわりの印象をやわらかく見せることがありますが、印象の感じ方は人によって異なります。また、次のような注意点があります。

  • 将来の進行で不自然に見えるおそれ:AGAは植毛後も進行することがあります。外側まで大きく丸めて下げた場合、将来その後ろが薄くなると、移植した生え際だけが残って見えるおそれがあります。特に若い方では、進行の見通しが立ちにくい点に注意が必要です。
  • ドナーの消費が増える:カーブの外側まで作ると移植する面積が広がり、必要なグラフト数が増えます。後頭部から採れる毛には限りがあるため、将来頭頂部などが薄くなったときに使える分を残せるかも含めて計画します。
  • 元に戻すのは簡単ではない:生え際の形を後から「やはりM字に戻したい」と思っても、移植した毛を減らすには除去などの処置が必要で、傷跡が残ることもあります。最初は控えめな丸みから始めるという考え方もあります。
  • 好みの印象が人によって違う:男性で丸みを強くつけると、女性的・幼い印象に見えると感じる方もいます。正面だけでなく、横顔や髪をかき上げたときの見え方も含めて確認することが大切です。

医学的な考え方を、根拠の強さで分けると次のようになります。

区分 内容
医学的に広く認められている知見 AGAでは生え際の両角や頭頂部の毛が細くなりやすく、植毛後も進行することがある
毛髪外科で一般的に用いられる設計の原則 生え際の最前列には細い1本毛を使い、毛の角度と流れを既存毛に合わせる。年齢や将来の脱毛を見込み、低すぎる生え際や丸めすぎた角に注意する
院長の臨床上の見解 男性でもやや丸みのある生え際は設計できる。丸みをつける場合は、最前列やカーブの外側で1本毛の割合を少し多めにする。M字だけを埋めず、中央から外側までを連続したラインとして設計する
十分な根拠がないこと 東アジアの男性が丸い生え際を好む傾向は、教科書の著者の経験に基づく記述で、好みには個人差が大きい。丸みの程度と顔の印象の関係も、数値で示せる確立した基準はない

グラフト数と、刈り上げる方法・刈り上げない方法

必要なグラフト数は、丸みをつける範囲(M字の角だけか、こめかみの手前までか)、生え際をどこまで下げるか、目指す密度によって大きく変わるため、一律にはお答えできません。診察でラインを描いて面積を測り、部位ごとの密度を決めて見積もります。日本人の毛髪密度と植毛で目指す密度の関係は「日本人の正常な毛髪密度は1㎠あたり何本?」をご覧ください。

手術は、後頭部を刈り上げて採取するアルモHi-STANDARD法でも、髪を刈らずに採取するアルモUn-SHAVEN法でも行えます。生え際のカーブは細い1本毛を多く使うため、株の選び方を含めて、必要なグラフト数・仕事や髪型の事情・費用を合わせて相談して決めます。

なお、額の広さそのものが気になり、生え際全体を前に出したい場合は、植毛ではなく、生え際付近の額の皮膚を切除して頭皮を前方へ移動させる額縮小術が選択肢になることもあります。ただし、生え際に沿った傷跡や感覚の変化などのリスクがあり、AGAの進行状況や頭皮の動きやすさによって適応が限られるため、診察で植毛と比較して検討します。女性の生え際の植毛については「前髪の植毛とは?」で解説しています。

自毛植毛の費用と主なリスク・副作用

当院の自毛植毛は、後頭部などから毛包単位で毛を採取し、薄毛の部分へ移植する手術(FUE)です。自毛植毛は保険適用外の自由診療です。手術料金は「基本料金205,000円(税込)+1グラフトあたりの料金×グラフト数」で計算します。1グラフトあたりの料金は、アルモHi-STANDARD法(刈り上げる)が1,078円、アルモUn-SHAVEN法(刈り上げない)が1,870円(いずれも税込)です。

グラフト数 アルモHi-STANDARD法(刈り上げる) アルモUn-SHAVEN法(刈り上げない)
1,000グラフト 1,283,000円 2,075,000円
1,500グラフト 1,822,000円 3,010,000円
2,000グラフト 2,361,000円 3,945,000円

※いずれも税込・手術料金の計算例です(2026年10月時点)。このほか手術前の血液検査11,000円(税込)がかかり、感染症がある方は別途感染症対策料198,000円(税込)がかかります。血液検査を含めた総額の例:1,500グラフトを刈り上げる方法で行う場合、1,822,000円+11,000円=1,833,000円(税込)です。最新の料金は植毛メニュー(料金表)をご確認ください。手術は通常1回、1日で行いますが、移植範囲やドナーの状態によっては複数回の手術が必要になる場合があります。術後は経過に応じて検診を行います。仕上がりは術後約1年を目安に評価します。

主なリスク・副作用:術後の痛み・腫れ・内出血・出血(生え際の植毛では、数日後に額やまぶたの周りまで腫れが下りてくることがあります)、かさぶた、かゆみ、既存毛の一時的な脱毛(ショックロス。回復しない場合を含む)、感染、毛嚢炎、採取部や移植部のしびれ・感覚の鈍さ、採取部の点状の傷跡や密度の低下、まれに移植部の血行障害(皮膚の壊死を含む)、移植毛が十分に生着しない可能性、移植毛にくせが出る可能性、仕上がりに左右差が出る可能性があり、仕上がりの自然さや密度の感じ方には個人差があります。自毛植毛はAGAの進行を止めるものではありません。術後の腫れについては「植毛後の腫れ・むくみはいつまで?」、当院の症例は症例紹介でご覧いただけます(仕上がりには個人差があります)。

丸い生え際(ダウンスロープ)に関するよくある質問

Q. 男性がダウンスロープにすると、女性のような生え際になりませんか?

丸みの程度によります。カーブを強くつけて外側まで大きく下げると、女性的に見えると感じる方もいます。男性では、M字の角を少し埋めて「やや丸みを帯びた」程度にとどめる設計を相談することが多く、正面・斜め・横顔での見え方を確認しながら丸みを決めます。

Q. M字を完全に消して、丸い生え際にできますか?

M字の深さ、ドナーの量、年齢と進行の見通しによって可能な範囲が変わります。M字を完全に消すと必要なグラフト数が増え、将来その後ろが薄くなったときに不自然に見えるおそれもあります。M字をどの程度残すかによる印象の違いは、「M字の植毛はいくら?」でも解説しています。

Q. 20代ですが、丸い生え際にしても大丈夫ですか?

若い方ほど将来のAGAの進行が読みにくいため、丸みや下げ幅は控えめな範囲から始めることを勧める場合があります。進行の見通しと治療薬による進行の抑制の考え方を確認したうえで、今回整える範囲と将来に残しておく範囲を一緒に決めます。

Q. 植毛でつけた丸みを、あとから戻すことはできますか?

移植した毛を減らすには、毛の除去や切除などの処置が必要になり、傷跡が残ることもあります。後から足すことはできても、減らすことは簡単ではないため、最初の設計を慎重に行うことが大切です。よくある質問はこちらにもまとめています。

まとめ

  • ダウンスロープは、生え際が外側へ向かってゆるやかに額側へ下がりながら丸みを帯びる形で、女性に比較的多くみられる形ですが、男性でもやや丸みのある生え際を設計することはあります。
  • 自然に見せるには、最前列に細い1本毛を中心に配置し、カーブの外側では1本毛の割合を調整し、ラインにゆらぎをつけ、毛の角度と流れをこめかみにつなげることが大切です。
  • 角を丸めすぎると不自然に見えることがあり、将来の進行で移植部だけが残って見えるおそれや、ドナーの消費が増えるという注意点があります。
  • 丸みの程度は、顔立ち・年齢・進行の見通し・ドナーの量を踏まえて決めます。費用はグラフト数に応じて計算し、仕上がりは術後約1年を目安に評価します。

参考文献:Unger R, Shapiro R, eds. Hair Transplantation. 6th ed. Thieme; 2022(東アジア・東南アジアの患者の章:好まれる生え際の形と、低すぎる生え際・角を丸めすぎることへの注意、細い1本毛を最前列に置くこと/治療計画の章:将来の脱毛範囲を見込んだ生え際とこめかみ部分の設計、完全な左右対称を目指さないこと/女性の植毛の章:女性の生え際の形)。「当院では」「院長は」とある記述は、院長の臨床上の見解または当院の案内です。


執筆:編集部/監修:内田直宏医師

このコラムの著者

アルモ形成クリニック 
院長 内田直宏

筑波大学医学部卒業後、マイクロサージャリー(顕微鏡手術)を含む形成外科施術に6年間従事。
東京、秋葉原でアルモ形成クリニックを開院。
沖縄から北海道まで、遠方の患者様に多くご来院いただいております。
年間200症例以上の自毛植毛施術を執刀しており、AGA治療(内服療法、注射療法、レーザー治療)や美容外科施術にも長けている。
自毛植毛だけでは実現の難しい、額をせまくする手術やFUT植毛による傷跡のカバーアップなどといった技術も高く評価を受けている。

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