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なおるん毛髪情報局

なおるん毛髪情報局 自毛植毛の基礎知識

PHYSICIAN SUPERVISING

ページの監修医師

アルモ形成クリニック
院長 内田 直宏(なおるん先生)

  • ISHRS(国際毛髪外科学会)正会員
  • 年間200症例以上の自毛植毛を執刀
  • 違和感ゼロへ導く精密なグラデーションデザイン植毛が得意
アルモ形成クリニック 院長 内田直宏

瘢痕(傷跡)への植毛と脂肪注入|密度が上がりにくい理由と併用の考え方

イメージ画像:明るい診察室のデスクと「瘢痕への植毛と脂肪注入」の文字

【この記事の結論】
外傷や手術の傷跡(瘢痕)にも植毛はできますが、瘢痕は正常な頭皮に比べて硬く、血流が少ないことがあるため、移植した毛が生着しにくく、密度が上がりにくい場合があります。

当院では、瘢痕が硬い部分や血流の問題が疑われる部分、植毛を受けても生着が十分でなかった部分に、植毛と組み合わせて「脂肪注入」を行うことがあります。ご自身の脂肪を瘢痕の部分に注入し、瘢痕を柔らかくして移植した毛が育ちやすい環境に近づけることを目指す方法です(当院の方針・院長の臨床上の見解)。

脂肪組織を使った瘢痕の治療について学会発表や研究報告はありますが、植毛と組み合わせたときにどの程度生着が良くなるかは十分に検証されておらず、効果には個人差があります。脂肪注入の料金は300,000円(税込)で、植毛の手術料金とは別にかかります。

※この記事は、瘢痕への植毛で密度を上げるための「脂肪注入の併用」について解説します。頭のけがの後に髪が生えない理由や、傷跡を隠す方法の全体像は「頭を怪我したあとの傷跡から髪の毛は生える?」をご覧ください。自毛植毛の全体像は「自毛植毛」のページで解説しています。

瘢痕に植毛すると密度が上がりにくい理由

移植した毛(グラフト)は、移植直後は周りの組織から酸素や栄養を受け取り、その後新しい血管がつながっていくことで生着します。生着の仕組みは「植毛の生着率(定着率)とは?」で解説しています。瘢痕では、この条件が正常な頭皮と違うことがあります。

瘢痕の特徴 植毛への影響
皮膚が硬い・引きつれている 移植床を作りにくく、グラフトを入れたときに押し出されたり、深さが揃いにくかったりする
血流が少ない 移植した毛に酸素や栄養が届きにくく、生着しにくいことがある
皮膚が薄い(萎縮している) 適切な深さで移植床を作りにくく、密集して植えると周りの組織の損傷や血行障害のおそれがある
瘢痕の質に個人差が大きい 同じ「傷跡」でも、原因・範囲・経過年数によって結果にばらつきが出やすい

教科書でも、外傷や手術による瘢痕への植毛は、萎縮や引きつれが少ない部分であれば行うことができる一方、結果は瘢痕の質によって変わりうるとされています。外傷の瘢痕では、まず少量を試しに移植して反応を見る方法も勧められています(一般的な知見)。

また、瘢痕に多くの移植床を密集して作ると、周りの組織への負担が増え、血流が妨げられてかえって生着が悪くなるおそれがあります。そのため瘢痕への植毛では、1回で密度を上げようとせず、1回目の生着を確認してから2回目で密度を補う計画をとることが少なくありません。2回に分ける考え方は「広範囲の自毛植毛は1回でできる?」でも解説しています。

脂肪注入とは|植毛と併用する目的

脂肪注入は、ご自身の体から脂肪を採取し、注入に適した状態に処理したうえで、瘢痕の部分に注入する方法です。採取する部位や量、処理の方法、注入の範囲は、瘢痕の状態を診察したうえでご説明します。

植毛と組み合わせる脂肪注入の目的は、注入した脂肪で頭皮を膨らませることではありません。脂肪注入には、瘢痕の硬さや組織の環境を改善する可能性が報告されており、当院では、こうした作用によって移植した毛が生着しやすい環境に近づくことを期待して行っています(院長の臨床上の見解)。

注入した脂肪の一部は時間とともに吸収され、残る量には個人差があります。吸収が治療の効果にどの程度影響するかは分かっていません。当院では、瘢痕に対する脂肪組織の利用に関する報告や臨床上の知見を参考に、瘢痕の状態に応じて併用を検討していますが、植毛と併用した場合の生着の改善効果は確立していません。

医学的な根拠の位置づけは、次のように整理できます。

区分 内容
確立していること 瘢痕への植毛は可能だが、瘢痕の質によって結果に差が出やすい。血流の乏しい部分では生着しにくいことがある
院長の臨床上の見解 瘢痕が硬い場合や血流の問題が疑われる場合、生着が十分でなかった部分では、脂肪注入を併用することで移植床の状態が改善し、生着に良い影響を与える可能性があると考えて併用することがある。ただし、植毛だけの場合と比べた十分な裏付けはない
根拠が限られること 脂肪注入を併用したときに、どの程度生着や密度が良くなるかを示した研究は少なく、効果の大きさや、どの瘢痕に効果が出やすいかは確立していない。脂肪組織に含まれる細胞が出す成分などが関係する可能性が研究されているが、詳しい仕組みや効果が続く期間は十分に分かっていない。脂肪移植を使った瘢痕治療の研究でも、結果は一定していない

脂肪注入をしても、瘢痕が正常な頭皮と同じ状態に戻るわけではなく、十分な生着や密度が得られることを保証するものではありません。期待できる密度は瘢痕の状態によって大きく異なるため、診察で具体的にご説明します。

脂肪注入の併用を検討するケース

瘢痕に植毛をするすべての方に脂肪注入が必要なわけではありません。当院で併用を検討するのは、主に次のような場合です(当院の方針)。

  • 瘢痕がかなり硬く、触ると皮膚がほとんど動かない
  • 瘢痕の色・厚さ・硬さ、けがや手術の経緯などから、血流の問題が疑われる
  • 以前に瘢痕へ植毛を受けたが、生着が十分でなかった
  • 植毛を複数回受けても、同じ部分の生着が悪い

反対に、瘢痕が柔らかく、範囲が小さい場合は、脂肪注入を行わずに植毛だけで計画することもあります。

また、脱毛症の中には、炎症によって毛包が壊れる病気(瘢痕性脱毛症)があり、病気が落ち着いていない段階で手術をすると悪化するおそれがあります。瘢痕の原因が分からない場合は、まず原因の確認を優先します。

人工毛植毛による炎症や瘢痕がある場合の考え方は「人工毛植毛の後に自毛植毛はできる?」で解説しています。

脂肪注入の具体的な内容|採取部位・麻酔・ダウンタイム・費用

植毛と組み合わせる脂肪注入の内容を、項目ごとにまとめました。採取する部位や量は、瘢痕の範囲と体型によって変わるため、診察で個別にご説明します。

項目内容
脂肪を採る部位主にお腹(下腹部)や太ももの内側・外側から採取します
採取の方法数mmの小さな切開から細い管(カニューレ)を入れ、脂肪を吸引して採取します
脂肪の処理採取した脂肪から、遠心分離などで血液や余分な水分を取り除き、注入に適した状態にします
注入の方法細い針や管で、瘢痕の層に少しずつ分散させて注入します
麻酔局所麻酔で行います
所要時間脂肪の採取・処理・注入で、植毛の手術に約1〜2時間が加わります
通院植毛の術後検診にあわせて、採取部の状態も確認します

採取部・注入部のダウンタイム

脂肪を採った部分には、次のような症状が出ることがあります。経過には個人差があります(一般的な目安)。

時期の目安採取部(お腹・太ももなど)注入部(瘢痕の部分)
当日〜3日ごろ痛み、腫れ、小さな切開部からのにじみ腫れ、張り感
1〜2週間ごろ内出血(紫〜黄色)が目立ち、徐々に引く腫れが引いていく
2週間〜1か月ごろ硬さやつっぱり感が残ることがある注入した脂肪の一部が吸収され、ボリュームが落ち着いていく
1〜3か月ごろ硬さが徐々にやわらぐしこりや凹凸がないかを確認する

術後に気をつけること

  • 採取部は、内出血と腫れを抑えるため、圧迫用の下着やバンドで一定期間(目安として約1〜2週間)圧迫します
  • 激しい運動、飲酒、長時間の入浴は、医師の指示があるまで控えてください
  • 小さな切開の跡は、時間とともに目立ちにくくなりますが、完全には消えません。ケロイド体質の方は、事前にお知らせください

植毛の術後経過は「自毛植毛の術後経過について」で解説しています。

植毛と同じ日に行うか、分けて行うか

脂肪注入と植毛の組み合わせ方には、主に2つの考え方があります。どちらが効果的かは確立していません(一般的な知見)。

進め方内容主な利点主な注意点
同じ日に行う1回の手術で、脂肪注入と植毛を続けて行う手術と麻酔、ダウンタイムが1回で済む注入による腫れや圧力が、移植した毛に影響する可能性がある
脂肪注入を先に行う脂肪注入から数か月(目安3〜6か月)たって、瘢痕の状態を確認してから植毛する瘢痕の変化を確認してから植毛を計画できる手術が2回になり、仕上がりまでの期間が長くなる

当院では、瘢痕の硬さ・範囲・血流、それまでの治療の経過をふまえて、どちらの進め方にするかを決めます(当院の方針)。

脂肪注入の料金に含まれるもの

脂肪注入の料金は300,000円(税込)で、植毛の手術料金とは別にかかります。

  • 含まれるもの:脂肪の採取・処理・注入、局所麻酔、圧迫用の下着(含む/別料金)
  • 料金の単位:1回あたり。範囲や注入量によって料金が変わるか、変わる場合はその基準
  • 2回目以降:追加で脂肪注入を行う場合の料金(同額/割引あり)
  • 含まれないもの:植毛の手術料金、血液検査、術後のお薬(含む/別途)

ほかの方法との違い

瘢痕への植毛の結果を良くする目的で、ほかにもさまざまな方法が行われています。それぞれ目的や使う材料が異なります。

方法 使うもの 主な目的
脂肪注入 ご自身の脂肪 瘢痕の硬さや移植床の環境の改善を期待する方法。植毛の生着を高める効果は確立していない
PRP(多血小板血漿) ご自身の血液から取り出した血小板の多い成分 成長因子による創傷治癒の促進など。植毛の生着を高める効果は確立していない
瘢痕を切除して縫い直す 手術 瘢痕の幅や面積を小さくする(皮膚の余裕がある場合)
パンチングアウトテクニック 手術 FUT(切開して採取する方法)の後の線状の傷跡の組織を細いパンチで部分的に取り除いて縫い寄せ、傷跡の幅を小さくすることを目指す(毛を増やす施術ではない)

PRPを植毛に併用する考え方は「植毛とPRPの併用に効果はある?」で解説しています。FUTの傷跡については「FUT法の植毛とは?」、植毛の採取部の傷跡の見え方は「植毛の傷跡は残る?」もご覧ください。当院のパンチングアウトテクニックの料金は352,000円(税込)です。

治療の流れと時期の考え方

  1. 診察:瘢痕の原因・範囲・硬さ・色、周りの既存毛、ドナー(後頭部の毛)の量を、視診・触診とマイクロスコープ(拡大鏡)で確認します。以前の手術やけがの時期、これまでの治療が分かる資料があればお持ちください。
  2. 計画:植毛だけで行うか、脂肪注入を併用するか、1回で行うか2回に分けるかを決めます。必要なグラフト数と費用のお見積もりを提示します。
  3. 手術:診察で適応があると判断した場合に、植毛の手術と同じ日に脂肪注入を行うことがあります。効果的な実施の時期や順序は確立しておらず、具体的な手順と所要時間は計画によって異なります。
  4. 経過の確認:移植した毛は一度抜けてから生え始め、仕上がりの確認は術後1年前後が目安です。瘢痕の部分は生着や発毛の経過に個人差が大きく、通常の頭皮と同じ経過になるとは限りません。生着の状態を見て、2回目が必要かを判断します。

手術やけがの直後の瘢痕は、時間とともに硬さや赤みが変化します。瘢痕がある程度落ち着いてから植毛を計画するのが一般的で、時期は瘢痕の状態によって判断します。経過の見方は「植毛から半年で生えてこないのは失敗?」も参考にしてください。

脂肪注入と植毛のリスク・デメリット

  • 脂肪注入に伴うもの:脂肪を採取した部分と注入した部分の痛み・腫れ・内出血、感染、採取部の傷跡や凹凸、注入部のしこり・凹凸・左右差、脂肪の壊死や石灰化。注入した脂肪の一部は吸収されます。凹凸やしこりが残り、追加の処置が必要になる場合があります。植毛と同じ日に行う場合の安全性・有効性について、十分な比較データはありません。
  • 効果に関すること:脂肪注入を併用しても、生着や密度が期待したほど良くならない場合があります。効果の大きさを事前に予測することはできません。
  • 瘢痕への植毛に関すること:正常な頭皮に比べて生着しにくく、密度にばらつきが出ることがあります。追加の手術が必要になる場合があります。
  • 費用と時間:脂肪注入の料金が別にかかります。植毛は1回の手術で行うことが多いですが、瘢痕の状態によって2回以上に分ける場合があり、その場合は回ごとに手術の費用がかかり、仕上がりまでの期間も長くなります。

自毛植毛・脂肪注入の費用と主なリスク・副作用

当院の自毛植毛は、後頭部などから毛包単位で毛を採取し、薄毛や瘢痕の部分へ移植する手術(FUE)です。自毛植毛・脂肪注入はいずれも保険適用外の自由診療です。手術料金は「基本料金205,000円(税込)+1グラフトあたりの料金×グラフト数」で計算します。1グラフトあたりの料金は、アルモHi-STANDARD法(刈り上げる)が1,078円、アルモUn-SHAVEN法(刈り上げない)が1,870円(いずれも税込)です。脂肪注入は300,000円(税込)です。

グラフト数 アルモHi-STANDARD法(刈り上げる) アルモUn-SHAVEN法(刈り上げない)
300グラフト 528,400円 766,000円
500グラフト 744,000円 1,140,000円
1,000グラフト 1,283,000円 2,075,000円

※いずれも税込・植毛の手術料金の計算例です(2026年10月時点)。このほか手術前の血液検査11,000円(税込)がかかり、所定の感染症がある方は別途感染症対策料198,000円(税込)がかかります(対象となる感染症や適用条件は事前にご説明します)。総額の例:500グラフトを刈り上げる方法で行い、脂肪注入を併用する場合、744,000円+300,000円+11,000円=1,055,000円(税込)です。治療の回数は、植毛は通常1回、瘢痕の状態や生着の経過によって2回以上に分けることがあります。仕上がりの評価は術後1年前後が目安で、追加の手術や脂肪注入の必要性は経過を見て個別に判断します。最新の料金は植毛メニュー(料金表)をご確認ください。

主なリスク・副作用:術後の痛み・腫れ・内出血・出血、かさぶた、かゆみ、既存毛の一時的な脱毛(ショックロス。回復しない場合を含む)、感染、毛嚢炎、移植部や脂肪注入部のしこり、採取部や移植部のしびれ・感覚の鈍さ、採取部の点状の傷跡や密度の低下、移植部の凹凸や色の変化、まれに移植部の血行障害、移植毛が十分に生着しない可能性(瘢痕の部分では生着しにくいことがあります)、仕上がりに左右差が出る可能性があり、仕上がりの自然さや密度の感じ方には個人差があります。自毛植毛はAGAの進行を止めるものではありません。当院の症例は症例紹介でご覧いただけます(仕上がりには個人差があります)。

瘢痕への植毛と脂肪注入に関するよくある質問

Q. 脂肪注入をすれば、瘢痕でも普通の頭皮と同じ密度になりますか?

脂肪注入を併用しても、瘢痕が正常な頭皮と同じ状態になるわけではなく、同じ密度になるとは限りません。どの程度の密度を目指せるかは、瘢痕の硬さ・範囲・血流によって大きく異なるため、診察でご説明します。

Q. 脂肪注入だけで、瘢痕から髪が生えてきますか?

毛包が失われた部分に、脂肪注入だけで新しく毛包ができる効果は確立していません。当院の脂肪注入は、植毛と組み合わせて、移植した毛の生着を助けることを目的としています。

Q. 瘢痕なら、どんな場合でも植毛できますか?

いいえ。炎症や感染が続いている場合、瘢痕性脱毛症の活動期、皮膚の萎縮や血流の問題が強い場合などは、植毛が適さないことや、先に治療が必要なことがあります。診察で状態を確認したうえで、植毛ができるか、どのように進めるかをご説明します。

Q. 傷跡ができてから、どのくらいたてば植毛できますか?

一律の期間は決まっていません。けがや手術の種類、炎症が残っていないか、瘢痕の赤みや硬さが落ち着いているかを診察で確認して、時期を判断します。

Q. 痩せていて脂肪が少なくても受けられますか?

必要な脂肪の量は、瘢痕の範囲や状態によって異なります。採取できる部位や量は診察で確認し、十分な脂肪を採取できない場合は、植毛だけで計画する、2回に分けるなど、ほかの進め方をご提案します。

Q. 以前に他院で瘢痕に植毛して、あまり生えませんでした。相談できますか?

ご相談いただけます。前回の手術の時期・グラフト数・方法が分かる資料があればお持ちください。生着しなかった理由として考えられることと、ドナーの残りを確認したうえで、脂肪注入の併用を含めて進め方を検討します。自毛植毛に関するその他の質問はよくある質問のページにまとめています。

Q. ケロイド体質でも受けられますか?

ケロイド体質の方は、植毛や脂肪注入でできる小さな傷が赤く盛り上がり、もとの傷の範囲を越えて広がることがあります(一般的な知見)。傷ができるのは、毛を採取する後頭部の点状の傷、移植部、脂肪を採取する部分の切開などです。体質の強さや、これまでの傷の経過によってリスクは異なるため、一律に受けられないわけではありません。

当院では、過去の手術やけが、ピアスの跡などがどのように治ったかを確認し、必要に応じて少量の移植で反応を見てから計画します(当院の方針)。

Q. 脂肪はどこから採りますか?傷跡は残りますか?

主にお腹(下腹部)や太ももから採取します。数mmの小さな切開から細い管を入れて脂肪を吸引するため、切開の跡は時間とともに目立ちにくくなりますが、完全には消えません。切開する位置は、下着で隠れる位置やしわに沿った位置を選ぶようにしています。

採取した部分には、内出血や腫れ、硬さ、まれに凹凸が出ることがあります。ケロイド体質の方は、切開の跡が盛り上がることがあります。採取部のダウンタイムは「採取部・注入部のダウンタイム」をご覧ください。

Q. 開頭手術の後の傷跡にも植毛できますか?

開頭手術の後の傷跡にも、植毛ができる場合があります。ただし、手術を受けた医療機関(脳神経外科など)の主治医に、次の点を確認していただく必要があります。

  • 頭蓋骨の状態(骨を戻しているか、人工骨やプレートが入っているか)
  • 脳室シャントなど、頭の中に入っている器具の有無と位置
  • 放射線治療を受けたかどうか(放射線を当てた部分は血流が少なく、生着しにくいことがあります)
  • 病気の経過観察の予定と、頭皮に処置をしてよい時期

主治医の許可と、手術の内容が分かる資料(紹介状や手術記録)をそろえたうえで、傷跡の状態を診察し、植毛や脂肪注入ができるかを判断します(当院の方針)。頭皮に器具が入っている部分では、脂肪注入や植毛を行わない場合があります。

Q. 喫煙は生着に影響しますか?

喫煙は血管を収縮させ、皮膚への血流と酸素を減らすため、傷の治りや移植した毛の生着に悪影響を与えるおそれがあります(一般的な知見)。瘢痕はもともと血流が少ないことが多いため、正常な頭皮より喫煙の影響を受けやすいと考えられます。注入した脂肪の生着にも影響する可能性があります。

当院では、手術の前後の一定期間は禁煙をお願いしています。加熱式たばこや電子たばこも、ニコチンを含むものは同じように控えてください。喫煙と薄毛の関係は「喫煙と薄毛の関係」で解説しています。

Q. 保険は使えますか?

当院の自毛植毛と脂肪注入は、いずれも保険適用外の自由診療です。

一方で、傷跡そのものの治療は、症状によって保険診療の対象になることがあります(一般的な知見)。たとえば、傷跡の引きつれ(瘢痕拘縮)で動きに支障がある場合の手術や、ケロイド・肥厚性瘢痕の治療などです。保険診療の対象になるかは、症状や医療機関によって異なるため、形成外科などの保険医療機関でご相談ください。

なお、同じ治療の中で保険診療と自由診療を組み合わせることはできないため、傷跡の保険診療と植毛は、別の治療として計画することになります。

まとめ

  • 瘢痕にも植毛はできますが、硬さや血流の少なさから生着しにくく、密度が上がりにくいことがあります。結果は瘢痕の質によって変わります(一般的な知見)。
  • 当院では、瘢痕が硬い部分や血流の問題が疑われる部分、生着が十分でなかった部分に、植毛と組み合わせて脂肪注入を行うことがあります。瘢痕を柔らかくし、移植した毛が育ちやすい環境に近づけることを目指します(院長の臨床上の見解)。
  • 脂肪注入の併用でどの程度生着が良くなるかは十分に検証されておらず、作用の仕組みも明らかではありません。効果には個人差があります。毛包が失われた部分に、脂肪注入だけで新しく毛包ができる効果は確立していません。
  • 自毛植毛・脂肪注入は自由診療です。植毛は「基本料金+1グラフトの料金×グラフト数」、脂肪注入は300,000円(税込)が別にかかります。

参考文献:Unger R, Shapiro R, eds. Hair Transplantation. 6th ed. Thieme; 2022(男性型脱毛症以外の脱毛症の章:萎縮や引きつれの少ない外傷性瘢痕への植毛、外傷性脱毛での試験的な移植、術後瘢痕への植毛は瘢痕の質で結果が変わること、瘢痕性脱毛症では原因と活動性の確認が先であること/再生医療の章:脂肪由来の細胞は注入部位に長く残りにくく、作用には細胞が分泌する成分が関わると考えられていること)。「当院では」「院長は」とある記述は、院長の臨床上の見解または当院の案内です。


執筆:編集部/監修:内田直宏医師

このコラムの著者

アルモ形成クリニック 
院長 内田直宏

筑波大学医学部卒業後、マイクロサージャリー(顕微鏡手術)を含む形成外科施術に6年間従事。
東京、秋葉原でアルモ形成クリニックを開院。
沖縄から北海道まで、遠方の患者様に多くご来院いただいております。
年間200症例以上の自毛植毛施術を執刀しており、AGA治療(内服療法、注射療法、レーザー治療)や美容外科施術にも長けている。
自毛植毛だけでは実現の難しい、額をせまくする手術やFUT植毛による傷跡のカバーアップなどといった技術も高く評価を受けている。

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