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なおるん毛髪情報局

なおるん毛髪情報局 自毛植毛の基礎知識

PHYSICIAN SUPERVISING

ページの監修医師

アルモ形成クリニック
院長 内田 直宏(なおるん先生)

  • ISHRS(国際毛髪外科学会)正会員
  • 年間200症例以上の自毛植毛を執刀
  • 違和感ゼロへ導く精密なグラデーションデザイン植毛が得意
アルモ形成クリニック 院長 内田直宏

植毛後48時間が重要といわれる理由|生着までの仕組みと最初の1週間の過ごし方

イメージ画像:植毛後48時間と最初の1週間の過ごし方(自然光の入る寝室と置き時計)

【この記事の結論】
植毛の直後、移植したグラフト(毛包を含む小さな組織)は、まだ頭皮の血管とつながっていません。血流がつながり、グラフトが移植穴の中で落ち着くまでの最初の数日が、生着にとって大切な時期です。

当院では、とくに術後48時間〜3日間を最も慎重に過ごしてほしい期間、次いで術後4〜7日目を注意が必要な期間と考えています。この時期に移植部をこする・ぶつける・強く圧迫することを避けるのが、過ごし方の基本です。

グラフトが移植穴に物理的に固定されるのは術後1週間前後で、グラフトに付着したかさぶたを引っ張る場合は、毛だけを引っ張る場合より長く抜けるおそれが残ると報告されています。ただし「固定された」ことと、毛包が最終的に生き残って発毛すること(生着)は同じではありません。1ヶ月前後で移植した毛が抜けるのは通常の経過としてよくみられますが、抜け毛だけで生着の成否は判断できません。

※術後のむくみや腫れへの対処は「植毛後のダウンタイムの過ごし方|むくみの正体と予防法」、帽子をかぶれる時期は「植毛後の帽子はいつからOK?」で解説しています。この記事では「なぜ術後の最初の数日が大切なのか」と「その間に何を避ければよいか」に絞って説明します。

なぜ「術後48時間」が大切といわれるのか

自毛植毛では、後頭部などから採取したグラフトを、移植部に作った小さな穴(スリット)に1株ずつ植えます。植えた直後のグラフトは、まだ周りの血管とつながっていません。

皮膚移植などで知られる一般的な治癒の過程では、移植した組織は最初の1〜2日ほど、周りの組織からしみ出る液体などから栄養や酸素を受け取り、その後、段階的に新しい血管がつながっていきます。植毛のグラフトも、同じような過程を経て根付く(生着する)と考えられています。

つまり術後の最初の数日は、グラフトが「穴に入ってはいるが、まだ固定も血流も不十分」な状態です。この時期にグラフトが穴から浮き上がったり、外に出て乾燥したりすると、生着しにくくなります。当院では、この最初の48時間を、グラフトへの刺激をとくに避けていただきたい時期と位置づけています。

グラフトの「固定」と「生着」は別の過程

術後の経過では、次の3つを分けて考えると分かりやすくなります。

  • 物理的な固定:移植穴に入れたグラフトが、外からの力で簡単には抜けなくなること。
  • 生着:血流が回復し、毛包が組織として生き残ること。
  • 発毛:生き残った毛包から、数ヶ月後に新しい毛が生えてくること。

固定については、42人を対象に術後の毛を引っ張って調べた海外の研究があります。この研究では、術後2日までは毛を引っ張るとグラフトが抜け、6日目には毛を引っ張っても抜けなくなりました。

一方、皮膚に張りついたかさぶたを引っ張ると5日目まではグラフトが抜け、9日目には抜けるおそれがなくなったと報告されています。つまり、かさぶたがあると、グラフトが抜けやすい期間が長くなります。この研究は物理的な固定を調べたもので、最終的な生着率や発毛を示すものではありません。また、比較的小規模な研究であり、術式や移植部の条件によって固定の時期には個人差があります。

参考:自毛植毛の生着率と、生着率を左右する要因

時期の目安グラフトの状態(一般的な考え方)過ごし方の要点
手術当日〜術後48時間血管はまだつながっておらず、周りの組織液から栄養を受けている。穴の中での固定も弱い移植部に触れない・こすらない・ぶつけない。強い圧迫を避ける
術後2〜3日頃周りの組織との血管の再接続が進んでいくと考えられる時期引き続き、移植部への圧迫や接触を避ける
術後4〜7日目生着が進むが、まだ安定しきっていない寝返りや帽子でぶつけない・圧迫しない。洗髪は指示された方法で
術後8〜14日目物理的に抜けるおそれは大きく下がる。ただし発毛はこの時点では判断できない頭皮をマッサージするような洗い方は、当院では14日目からとしています
術後1ヶ月前後移植した毛の毛幹が、いったん抜けることがある通常の経過としてよくみられる。赤み・痛み・腫れの悪化があれば相談を

※時期は目安で、手術の範囲・グラフト数・頭皮の状態によって変わります。実際の過ごし方は、手術を受けた医療機関の指示を優先してください。

最初の数日でグラフトの安定を妨げる可能性があること

移植部への圧迫

当院では、術後3〜5日以内に帽子や枕などで移植部が強く圧迫された状態が続くと、生着不良を起こす可能性があると考えています。就寝中に気づかずうつ伏せになり、長い時間移植部が押されていた場合も同様です。

ただし、一瞬触れた程度や軽く当たった程度で、どのくらい生着に影響するかを示す、はっきりしたデータは多くありません。どの程度の圧迫が何分続くと影響が出るのかは、まだ根拠が限られている点です。気になることがあれば、自己判断せずに手術を受けた医療機関に相談してください。

ぶつける・こする・かく

寝返りで移植部をぶつけたり、かゆみで爪を立ててかいたりすると、グラフトが穴から浮き上がったり、抜けたりすることがあります。術後5〜7日頃までは、移植部を寝返りなどで強くぶつけたりこすったりすると、グラフトがずれたり抜けたりする可能性があるため、当院では注意を促しています。かゆみが強いときは、かかずに医療機関へ相談しましょう。

出血・腫れを強めること

飲酒・喫煙、激しい運動、重い物を持つ動作は、頭皮の血流や出血・腫れに影響する可能性があるため、手術前後は控えるよう案内しています。頭を高めにして休むと、むくみの軽減につながることがあります。

手術当日から術後1週間の過ごし方

場面気をつけたいこと
就寝術後1週間ほどは、枕やクッションを使って頭をやや高くし、移植部を枕に押しつけない姿勢で休む。うつ伏せは避ける
洗髪当院では術後翌日から、スタッフが指導した方法でやさしく洗います。シャワーを強く当てる・指でこする洗い方は避ける
入浴湯船への入浴は1週間ほど控える
帽子直接かぶるのは最低でも2週間空けるのが無難。術後1週間以降は、緩衝材を挟めば使えることがある
仕事・外出術後翌日から可能なことが多いが、移植部をぶつけないよう十分に注意する
運動・飲酒・喫煙出血や腫れ、血流への影響を避けるため控える。再開の時期は担当医の指示に従う

洗髪の開始時期や方法は、手術を受けた医療機関によって考え方が異なります。担当医の指示に従ってください。

参考:植毛後の正しい洗髪方法

「グラフトが抜けたかも」と思ったときの考え方

術後に枕やかさぶたに毛がついていると、不安になる方は少なくありません。時期によって意味が違うため、次のように整理しておくと落ち着いて判断しやすくなります。

  • 術後4日以内に、毛だけでなく根元の組織(グラフト)ごと抜けた場合:まだ血流がつながる前の時期のため、そのグラフトは生着しない可能性が高いと考えられます。出血を伴う場合や、複数抜けた場合は、早めに医療機関へ連絡してください。
  • 術後5日目頃まで、かさぶたと一緒に毛が取れた場合:かさぶたに毛がついているだけで、グラフト自体が抜けたとは限りません。ただ、この時期にかさぶたを無理にはがすとグラフトが抜けることがあるため、自分ではがさないでください。
  • 術後10〜14日頃まで大きな問題がなかった場合:研究では術後9日目に引っ張ってもグラフトが抜けなくなったと報告されており、当院でも、この時期には多くのグラフトが物理的に安定していると考えています。ただし、最終的な生着や発毛の成否は、この時点では判断できません。安全面から、術後2週間程度は移植部への強い刺激を避けるよう案内しています。
  • 術後1ヶ月前後の抜け毛:移植した毛の毛幹が、いったん抜けることがある時期です。多くは毛包そのものが抜けたことを意味しませんが、抜け毛だけで生着の成否を判断することはできません。詳しくは「植毛後のショックロスとは?」をご覧ください。

抜けた毛の根元に白い組織がついているかどうかなど、見た目だけで判断するのは難しいこともあります。気になったら写真を撮って、手術を受けた医療機関に相談してください。必要に応じて診察で状態を確認します。出血が続く、赤み・腫れ・痛みが強くなる、膿が出る、発熱するといった場合も、早めに連絡してください。

参考:植毛後のかさぶたが取れる時期と注意点

手術中の工夫も「最初の48時間」に関わる

術後の過ごし方だけでなく、手術そのものの進め方も、最初の数日の安定に関わります。たとえば、移植穴の大きさや形がグラフトに合っていないと、グラフトが穴の中で動いたり、浮き上がったりしやすくなります。

当院では、移植穴の大きさとグラフトの大きさを合わせることで、植えたグラフトが浮き上がる現象(ポップアップ)を抑えるよう努めています。ただし、生着には体質や頭皮の血流、術後の過ごし方など多くの要素が関わるため、手術の工夫だけで生着が保証されるわけではありません。

自毛植毛の費用と主なリスク・副作用

自毛植毛は、後頭部などから毛包を採取し、薄毛の部分に移植する外科手術です。保険適用外の自由診療で、当院の手術料金は「基本料金205,000円(税込)+1グラフトあたりの料金×グラフト数」で決まります。アルモHi-STANDARD法・アルモUn-SHAVEN法は、いずれもFUE(1株ずつくり抜く方法)を用いた当院の施術名称です。

術式(当院) 1グラフトあたり(税込) 1,500グラフトの総額例(税込・血液検査込み)
アルモHi-STANDARD法(刈り上げる) 1,078円 1,833,000円
アルモUn-SHAVEN法(刈り上げない) 1,870円 3,021,000円

※総額例は、手術料金に手術前の血液検査11,000円(税込)を加えた金額です。感染症がある場合は、別途感染症対策料198,000円(税込)がかかります。詳しくは植毛メニュー(料金表)をご確認ください。

自毛植毛には、腫れ、痛み、出血、かゆみ、感染、血行不全、移植毛の生着不良、傷跡、採取部の密度低下、毛のう炎、感覚の違和感、ショックロス(周りの既存毛の一時的な脱毛)、くせ毛などのリスクがあります。術後の過ごし方に気をつけても、移植毛がすべて生着するとは限らず、仕上がりや経過には個人差があります。

術後48時間に関するよくある質問

Q. 寝ている間に移植部を枕に押しつけてしまいました。もうだめですか?

一度当たっただけで、すべてのグラフトが生着しなくなるとは限りません。ただし、術後3〜5日以内に圧迫が長く続いた場合は、生着に影響する可能性があります。出血がある、移植部の一部がへこんで見える、グラフトが抜けたように見えるといった場合は、写真を撮って手術を受けた医療機関に相談してください。

Q. 48時間を過ぎたら、もう普段どおりに過ごしてよいですか?

48時間を過ぎても、術後1週間ほどはまだ安定しきっていない時期です。ぶつける・こする・強く圧迫することは引き続き避けてください。頭皮をマッサージするような洗い方は、当院では14日目からとしています。

Q. 植毛したグラフトは何日で抜けなくなりますか?

術後の固定力を調べた海外の研究では、毛を引っ張ってもグラフトが抜けなくなったのは術後6日目、かさぶたを含めて抜けるおそれがなくなったのは術後9日目でした。ただし、固定されたことと最終的に毛が生えることは別です。術後2週間ほどは、移植部を強くこすったり、かさぶたを無理にはがしたりしないようにしてください。

Q. 生理食塩水のスプレーなどで、移植部を湿らせた方がよいですか?

グラフトの乾燥を防ぐ目的で、スプレーを指示する医療機関もあります。方法や回数は施設によって異なるため、手術を受けた医療機関の指示に従ってください。自己判断で薬剤やローションを塗ることは避けましょう。

Q. 術後48時間、後頭部(採取部)はどのようにケアすればよいですか?

採取部には小さな傷が多数あるため、術後数日は軽い痛みや、にじむ程度の出血がみられることがあります。移植部ほどグラフトの脱落を心配する必要はありませんが、傷を強くこすったり、かさぶたをはがしたりしないでください。痛みが強くなる、赤みや腫れが広がる、膿が出るといった場合は、早めに医療機関へ相談してください。

Q. 腫れや痛みを抑えるために、冷やしてもよいですか?

腫れや痛みを和らげる目的で冷やすこと自体は、多くの医療機関で案内されています。ただし、保冷剤を移植部に直接当てるのは避けてください。グラフトを圧迫したり、こすったりするおそれがあります。冷やす場合は、額やこめかみなど移植部から離れた場所に、タオルで包んで軽く当てる程度にしましょう。処方された痛み止めなどの薬は、指示された量と回数を守って服用してください。

Q. 移植部から出血したときは、どうすればよいですか?

術後1〜2日は、移植部から少量の血がにじむことがあります。にじむ程度であれば、清潔なガーゼを軽く当てて数分間そっと押さえます。こすったり拭き取ったりはしないでください。押さえても止まらない、出血が続く、グラフトが抜けたように見えるといった場合は、写真を撮って手術を受けた医療機関に連絡してください。

Q. ミノキシジルなどのAGA治療薬は、術後いつから再開できますか?

内服薬と外用薬で考え方が異なります。外用薬(塗り薬)は、移植部に刺激を与えないよう、術後しばらくは使用を控えるのが一般的です。内服薬は、休薬の要否も含めて医師が判断します。自己判断で中止・再開せず、担当医の指示に従ってください。

まとめ

植毛直後のグラフトは、まだ血管とつながっておらず、穴の中での固定も弱い状態です。そのため術後48時間〜3日間は最も慎重に、術後1週間ほどは移植部をこする・ぶつける・強く圧迫することを避けて過ごすことが大切です。

グラフトが物理的に固定されるのは術後1週間前後ですが、固定と最終的な生着・発毛は別のもので、1ヶ月前後の抜け毛も通常の経過としてよくみられます。

不安なことがあれば、自己判断せずに手術を受けた医療機関へ相談してください。術後の経過全体は「自毛植毛の術後経過について」もあわせてご覧ください。

参考:アルモ形成クリニック「自毛植毛の術後経過について」/Bernstein RM, Rassman WR. Graft anchoring in hair transplantation. Dermatol Surg. 2006;32(2):198-204.


執筆:編集部/監修:内田直宏医師

このコラムの著者

アルモ形成クリニック 
院長 内田直宏

筑波大学医学部卒業後、マイクロサージャリー(顕微鏡手術)を含む形成外科施術に6年間従事。
東京、秋葉原でアルモ形成クリニックを開院。
沖縄から北海道まで、遠方の患者様に多くご来院いただいております。
年間200症例以上の自毛植毛施術を執刀しており、AGA治療(内服療法、注射療法、レーザー治療)や美容外科施術にも長けている。
自毛植毛だけでは実現の難しい、額をせまくする手術やFUT植毛による傷跡のカバーアップなどといった技術も高く評価を受けている。

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