なおるん毛髪情報局
額縮小術と前額リフトの違い|目的・切開位置・向いている人
【この記事の結論】
額縮小術と前額リフトは、どちらも生え際や頭皮を切開し、額の皮膚を動かす手術で、切開の位置が似ていることがあります。違いは「何を動かすか」という目的です。額縮小術は、生え際を前(下)へ移動させて、おでこの縦の幅を短くする手術です。
前額リフトは、額や眉を上へ引き上げて、額のしわ・たるみや、下がった眉の位置を整える手術です。
そのため、「おでこが広い・生え際が高い」が悩みなら額縮小術、「眉そのものが下がっている・額のしわやたるみが気になる」が悩みなら前額リフトが、検討の出発点になります。前額リフトは切開の位置によって、生え際が上がって額が長く見えることがあります。
当院で行っているのは額縮小術(必要に応じて自毛植毛を併用)で、前額リフトは当院の料金表に掲載していません。どちらが合うかは、額の長さ・眉の位置・まぶたの状態・髪の状態を診察して判断します。
※この記事は、名前が似ていて混同されやすい「額縮小術」と「前額リフト」の違いに絞って解説します。額縮小術と自毛植毛の比べ方は別の記事で扱います。当院の額縮小術の手順や料金はアルモ額縮小術のページをご覧ください。
額縮小術と前額リフトは「目的」が違う
院長は当院の質問掲示板「薄毛相談室」で、この2つは「アプローチは同じでも目的が異なる手術」と説明しています。どちらも額や頭皮の組織を剥離して(はがして)動かす手術ですが、切開する範囲や皮膚を切り取るかどうかは術式によって異なります。
主な違いは、額縮小術が「生え際を眉の側へ下げる」こと、前額リフトが「眉や額を頭頂の側へ引き上げる」ことを主な目的にしている点です。
| 項目 | 額縮小術 | 前額リフト |
|---|---|---|
| 主な目的 | おでこの縦の幅(眉から生え際までの距離)を短くする | 額のしわ・たるみを改善する、下がった眉を引き上げる(眉と目の距離を広げる) |
| 動かすもの | 生え際(頭皮)を前・下へ移動させる | 額の皮膚と眉を上へ引き上げる |
| 主な切開の位置 | 生え際(当院では生え際に沿って切開) | 生え際、髪の中(頭頂側)、内視鏡を使う小さな切開など、方法によって異なる |
| 術後の生え際の位置 | 前・下へ下がる | 生え際で切開する方法では位置を保つ設計が可能。髪の中で切開する方法では上がることがある |
| 眉の位置 | 眉を動かすことを目的にしない | 眉を上げることが目的の一つ |
| こんな悩みに | 生まれつきおでこが広い、生え際が高い、顔が大きく見える | 眉が下がって目元が重い、額の横じわ、額のたるみ |
| 術後のドレーン | 当院では使わないことがほとんど(出血の状態によっては使う場合があります) | 術式や医療機関によっては使うことがある |
| 術後の固定 | 移動させた頭皮を骨膜(骨を覆う膜)に固定する(当院の方法)。術後3日間程度、額に固定帯を着ける | 引き上げた額や眉の位置を、縫合や固定具などで保つ(方法は術式によって異なる) |
名前に「額」が入るため同じ手術だと思われがちですが、額縮小術は「生え際の位置」を、前額リフトは「額の皮膚と眉の位置」を変える手術、と考えると整理しやすくなります(主な目的による一般的な区別です)。生え際そのものの位置の決め方は「生え際はどこまで下げられる?」で解説しています。
切開する位置と、生え際への影響の違い
2つの手術を比べるときに分かりにくいのが、切開の位置です。院長の回答にもあるとおり、前額リフトには生え際を切開する方法と、髪の毛の中を切開する方法があります。切開の位置は、手術後の生え際の位置や傷跡の場所に関わります。
| 切開・術式の例 | 主に使われる手術 | 生え際への影響(一般的な傾向) | 傷跡の位置 |
|---|---|---|---|
| 生え際に沿った切開 | 額縮小術、前額リフト(生え際切開の方法) | 額縮小術では生え際が下がる。前額リフトでは生え際の位置を保ったまま眉を上げる設計が可能で、術式によっては生え際を下げる調整を組み合わせることもある | 生え際 |
| 髪の中(頭頂側)の切開 | 前額リフト(冠状切開などの方法) | 頭皮ごと後ろへ引くため、生え際が上がり、額が長く見えることがある | 髪の中 |
| 内視鏡を使う小さな切開 | 前額リフト(内視鏡下の方法) | 生え際がやや上がることがある | 髪の中に小さな傷 |
このため、もともとおでこが広い方が、髪の中を切開する前額リフトを受けると、額がさらに長く見えることがあります。反対に、眉の下がりが主な悩みの方が額縮小術を受けても、眉やまぶたの重さは改善しにくいと考えられます。悩みと手術の目的を合わせることが大切です。
当院の額縮小術では、毛の向きに合わせて斜めに切開する「毛包斜切開」(約30〜45°)を用い、既存の毛包への損傷をできるだけ抑え、温存された毛によって傷跡が目立ちにくくなることを目指しています。
また、移動させた頭皮の位置を安定させる目的で、骨膜(骨を覆う膜)への固定を行っています(いずれも当院の方法)。ただし、これらの工夫で傷跡や後戻りを完全に防げるわけではなく、傷跡の幅や赤み、毛の生え方、生え際の位置の変化には個人差があり、目立つ傷跡や部分的な脱毛が残る可能性もあります。
植毛の傷跡全般については「植毛の傷跡は残る?」も参考になります。
向いている人の目安
以下は一般的な目安です。実際には、額の長さ・眉の位置・まぶたの状態・髪の密度・薄毛の進行などを診察し、担当医が判断します。
| 悩み・状態 | 検討の出発点になりやすい方法 | 補足 |
|---|---|---|
| 生まれつきおでこが広い、生え際が高い | 額縮小術 | 生え際がしっかりしていて、頭皮にある程度の柔らかさがあることが前提になりやすい |
| 生え際が後退しているうえに、おでこも広い | まず脱毛の原因と進行を評価して方針を決める | 必要に応じて薄毛の治療を優先し、生え際の安定性や頭皮の状態から自毛植毛・額縮小術の適否を検討する |
| 眉そのものが下がっている | 前額リフトなど | 眉の位置を上げることが目的になる |
| 上まぶたの皮膚がたるんで重く見える | 眉下切開などのまぶたの手術 | 眉を上げる手術ではないため、眉の下がりとの見極めが必要 |
| 額の横じわ・たるみが気になる | 前額リフトなど | しわの原因(表情の癖・皮膚のたるみなど)によって検討される方法が異なる |
| おでこの広さと眉の下がりの両方が気になる | 診察で優先順位を決める | 生え際と眉の位置をそれぞれ評価し、どの変化を優先するかを相談する。術式によっては生え際の位置調整と眉の挙上を組み合わせる方法もあるが、頭皮の柔らかさや眉・まぶたの状態で選べる方法が変わる |
海外の教科書では、生え際を前へ出す手術は、薄毛が少なく生え際がしっかりしている方に向くとされ、一部の報告では約2.5cmの生え際の移動が示されています。ただし、これはすべての方で実現できる距離ではなく、移動できる幅は頭皮の柔らかさなどで個人差があります(根拠が限られる)。当院の案内では、切除する皮膚の幅(生え際の移動距離とは必ずしも一致しません)は1.5〜2.5cm程度になることが多く、元の生え際の形やこめかみを含めて設計します。
当院では、薄毛(AGA)が進行している方が額縮小術だけを受けると、将来生え際が後退したときに傷跡が出てくる可能性があるため、薄毛の状態とあわせて計画することを重視しています(院長見解)。
また、自毛植毛だけで生え際を大きく下げようとすると、後頭部のドナー(採取部)の毛を多く使い、将来薄くなった部分に使う毛が足りなくなるおそれがあるため、額縮小術との併用を提案することがあります(院長見解)。
ドナーの考え方は「自毛植毛は一生で何グラフト採れる?」で解説しています。
「眉が下がって目元が重い」と感じる場合、実際の原因は眉の下がり、上まぶたの皮膚のたるみ、まぶたを開ける力の低下(眼瞼下垂)などさまざまで、見極めが必要です。上まぶたの皮膚のたるみに対して行われる「眉下切開」は、上まぶたの余った皮膚を眉の下で切り取る手術で、眉そのものを引き上げる前額リフトとは目的が異なります。原因によって検討する手術が変わるため、まずは診察で原因を確認することが大切です。
前額リフトの傷跡と自毛植毛
前額リフトや、顔の骨格を整える手術では、生え際・前頭部の髪の中・頭の上を横切る位置などを切開することがあり、傷跡の状態によっては、毛包単位の植毛で目立ちにくくできる場合があるとされています(生着や修正できる範囲には限界があります)。
また、生え際や頭皮の切開・移動を伴う顔の手術を予定している場合は、その手術による生え際の変化を見込んで、植毛はその後に行うことが勧められています(海外の教科書の記載)。当院でも、他院で受けた前額リフトの傷跡に対して、自毛植毛で生え際の密度を整えた症例があります(症例:前額リフト傷跡修正・生え際の密度アップ。仕上がりには個人差があります)。
傷跡への植毛は、通常の頭皮より生着しにくいことがあり、回数を分けることもあります。詳しくは「瘢痕(傷跡)への植毛と脂肪注入」で解説しています。
植毛の後に眉下切開などの美容施術を受ける場合の間隔と順番は、「植毛後に他の美容施術を受けるのはいつから?」をご覧ください。
費用と主なリスク・副作用
額縮小術・自毛植毛は、いずれも保険適用外の自由診療です(料金は2026年10月時点・税込)。
| 施術 | 料金(税込) | 主なリスク・副作用 |
|---|---|---|
| 額縮小術 | 1,698,000円 | 腫れ、内出血、知覚鈍麻(感覚の鈍さ)、血腫、左右差、しびれ、血流障害、脱毛、ケロイド、感染など |
| 自毛植毛(額縮小術への併用・傷跡への植毛) | 基本料金205,000円+1グラフトあたりの料金×グラフト数 | 痛み・腫れ・内出血、かさぶた、かゆみ、ショックロス(既存毛の一時的な脱毛)、感染、毛嚢炎、しびれ、採取部の傷跡、移植毛が十分に生着しない可能性など |
| 前額リフト | 当院の料金表には掲載していません | 一般に、腫れ、内出血、傷跡、感覚の低下、切開部周囲の脱毛、眉の左右差や位置の過不足、感染、血腫、まれに額を動かす神経の障害など(術式により異なるため、受ける医療機関でご確認ください) |
自毛植毛は、後頭部などから自分の毛包を採取し、生え際や傷跡などに移植する手術です。1グラフトあたりの料金は、刈り上げるアルモHi-STANDARD法が1,078円、刈り上げないアルモUn-SHAVEN法が1,870円(いずれも税込)です。総額の例:500グラフトを刈り上げる方法で行う場合、205,000円+1,078円×500=744,000円(税込)です。このほか植毛の手術前の血液検査11,000円(税込)がかかり、所定の感染症がある方は別途感染症対策料198,000円(税込)がかかります(対象となる感染症や適用条件は事前にご説明します)。血液検査を含めると、744,000円+11,000円=755,000円(税込)です。額縮小術と自毛植毛を同じ日に行う場合の合計や、必要なグラフト数は、診察のうえで事前にご案内します。植毛の料金表は植毛メニュー(料金表)をご覧ください。
額縮小術の術後は、腫れ・赤みが1週間程度、内出血が2週間程度を目安としていますが、個人差があり、傷跡の赤みや感覚の鈍さはさらに長く続くことがあり、まれに感覚が戻りきらない可能性もあります。
術後3日間程度は、額に固定帯を着けていただきます。額縮小術は通常1回の手術で、通院は抜糸(術後5〜7日後)が目安です(抜糸の時期は傷の張り具合によって前後します)。当院の額縮小術ではドレーン(血液や体液を外に出す管)を使わないことがほとんどですが、出血の状態によって使った場合は、術後1〜3日後に抜去のため来院していただきます。
傷跡が落ち着き、生え際の毛が伸びて仕上がりを評価できるまでは、半年程度が目安です(院長見解)。自毛植毛を併用する場合、植毛は通常1回で、仕上がりの評価は術後1年前後が目安です(傷跡への植毛などでは、複数回に分けることがあります)。額縮小術は生え際に傷が残る手術で、傷跡の目立ち方、生え際の自然さ、移動した位置の安定には個人差があります。自毛植毛はAGAの進行を止めるものではありません。当院の症例は症例紹介でご覧いただけます(仕上がりには個人差があります)。
額縮小術と前額リフトに関するよくある質問
Q. 額縮小術と前額リフトは同じ手術ですか?
同じではありません。どちらも額の皮膚を剥離して動かす手術で、切開の位置が似ることもありますが、額縮小術は生え際を下げておでこを短くすること、前額リフトは額のしわ・たるみや眉の下がりを改善することが目的です。
Q. 額縮小術で眉は上がりますか?
額縮小術は、眉を上げることを目的にした手術ではありません。眉そのものの下がりが主な悩みなら前額リフトなど、上まぶたの皮膚のたるみが主な悩みなら眉下切開などが検討されます。眉の下がり、上まぶたの皮膚のたるみ、眼瞼下垂の有無や、それらが重なっていないかを診察で確認します。
Q. 前額リフトを受けたら額が広くなった気がします。直せますか?
髪の中を切開する前額リフトでは、生え際が上がって額が長く見えることがあります。生え際の位置や傷跡の状態によっては、自毛植毛や額縮小術で整えられる場合がありますが、前の手術の傷や頭皮の状態によって選べる方法が変わります。手術を受けた時期や方法が分かる資料があれば、カウンセリングの際にお持ちください。
Q. 額縮小術と前額リフトを同時に受けることはできますか?
術式によっては、生え際切開を利用して生え際の位置調整と眉の挙上を組み合わせる方法もあります。ただし、すべての方に向くわけではなく、頭皮の柔らかさ、皮膚の余裕、眉やまぶたの状態によって選べる方法が変わります。当院で行っているのは額縮小術で、眉やまぶたの状態によっては、ほかの方法が検討されることもご説明します。
Q. 男性でも額縮小術は受けられますか?
受けることはできますが、男性は将来AGAで生え際が後退する可能性があるため、薄毛の状態と進行を確認したうえで、植毛を含めて計画します。そのほかの疑問はよくある質問のページにもまとめています。
Q. 額縮小術と前額リフトでは、術後の通院や過ごし方に違いはありますか?
術式や医療機関によって異なります。当院の額縮小術では、移動させた頭皮を骨膜に固定し、ドレーン(血液や体液を外に出す管)は使わないことがほとんどです。通院は抜糸(術後5〜7日後)が目安で、術後3日間程度は額に固定帯を着けていただきます。前額リフトは術式によってドレーンや固定具を使うことがあるため、受ける医療機関でご確認ください。腫れや内出血の出方には個人差があります。
まとめ
- 額縮小術と前額リフトは、どちらも額の皮膚を動かす手術ですが、目的が違います。額縮小術は生え際を下げておでこを短くし、前額リフトは額のしわ・たるみや眉の下がりを改善します。
- 前額リフトは切開の位置によって、生え際が上がり額が長く見えることがあります。おでこの広さが悩みの方は、手術の目的と生え際への影響を事前に確認してください。
- 当院で行っているのは額縮小術で、必要に応じて自毛植毛を併用します。眉そのものの下がりには前額リフトなど、上まぶたの皮膚のたるみには眉下切開などが検討され、原因の見極めが大切です。
- 当院で行う額縮小術・自毛植毛は自由診療で、傷跡や仕上がりには個人差があります。悩みに合う方法は、診察で額・眉・まぶた・髪の状態を確認して決めます。自毛植毛の全体像は自毛植毛のページで紹介しています。
参考文献:Unger R, Shapiro R, eds. Hair Transplantation. 6th ed. Thieme; 2022(第75章 トランスジェンダーの方の植毛:生え際を前へ出す手術の適応と移動幅の報告、顔の手術の切開線と植毛による傷跡のカモフラージュ、顔の手術を植毛より先に行うこと)。額縮小術の方法・料金・術後の経過は当院のアルモ額縮小術のページ、植毛の料金は植毛メニュー(料金表)(いずれも2026年10月時点・税込)によります。「当院では」「院長は」とある記述は、院長の臨床上の見解または当院の案内です。
執筆:編集部/監修:内田直宏医師