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なおるん毛髪情報局

なおるん毛髪情報局 自毛植毛の基礎知識

PHYSICIAN SUPERVISING

ページの監修医師

アルモ形成クリニック
院長 内田 直宏(なおるん先生)

  • ISHRS(国際毛髪外科学会)正会員
  • 年間200症例以上の自毛植毛を執刀
  • 違和感ゼロへ導く精密なグラデーションデザイン植毛が得意
アルモ形成クリニック 院長 内田直宏

髪が細い人でも植毛でボリュームは出せる?後頭部の毛が細い場合の株選びと注意点

髪が細い人の植毛|ボリュームを出す株選びと穴の工夫(イメージ画像)

【この記事の結論】
後頭部(ドナー)の毛が生まれつき細い人でも、自毛植毛を検討できる場合は多くあります。ただし、毛が細いと同じグラフト数でも地肌を覆う力が小さくなるため、太い毛の人と同じ仕上がりを前提にはできません。また、「体質的に細い」のではなく、後頭部・側頭部にも進行性の軟毛化(毛が細く短くなる変化)がある場合は、安全に採取できるドナーが確保できず、植毛を勧められないことがあります。

当院では、ドナーの毛が細い方には「2〜3本毛や太めの毛を選んで採取する」「太めの毛を奥、細い毛を手前に配置する」「株の大きさに合わせて小さな移植穴(ホールスリット・ラインスリット)を使い分ける」といった手術側の工夫で、その方が持つ毛の範囲で見た目のボリュームを引き出すことを目指しています(院長の臨床上の見解で、仕上がりを保証するものではありません)。

ドナーが細く密度も低い場合、改善を見込める方もいますが、大きなボリュームの増加は期待しにくく、ドナーの量や毛の細くなり方によっては手術を勧められない場合があります。どこまで改善が見込めるかを診察で率直に確認したうえで、受けるかどうかを決めることが大切です。

※この記事は「自分の髪(特に後頭部のドナー)が細い場合、植毛でボリュームは出せるのか」「植毛が適さないのはどんな場合か」「手術側はどう工夫するのか」を解説します。髪の密度の正常値や目指す密度は「日本人の正常な毛髪密度は1㎠あたり何本?」、一生で採れるグラフト数の考え方は「自毛植毛は一生で何グラフト採れる?」で解説しています。自毛植毛の全体像は「自毛植毛」のページをご覧ください。

「毛が細い」と植毛の仕上がりはどう変わるか

髪の見た目のボリュームは、毛の本数(密度)だけでは決まりません。毛の太さに加え、毛流・くせ・地肌との色の差なども関係します。植毛の教科書では、頭髪の「量」は密度(1㎠あたりの本数)と毛の直径(毛径)で決まると整理されており、毛径が細くなると、同じ本数でも地肌を覆う力(カバー力)と見た目の密度感がかなり小さくなると説明されています。1本の毛の直径がわずかに太くなるだけでカバー力が大きく増えるという報告も紹介されており、毛径はドナーの密度と同じくらい重要な要素とされています。

自毛植毛は、後頭部や側頭部の毛を採取して薄い部位へ移す手術なので、移植後の毛の太さは基本的にドナーの毛の太さで決まります。つまり、ドナーの毛が細い人は、同じ1,500グラフトを植えても、太い毛の人より地肌が透けて見えやすい、ということです。

見た目の濃さを左右する要素 植毛で変えられるか ドナーが細い人のポイント
密度(1㎠あたりのグラフト数・本数) 移植密度で調整できる(ドナーの量と皮膚の状態に制限される) 密度だけで補おうとするとドナーの消費が増える
1グラフトあたりの毛の本数 採取時に2〜3本毛を選ぶことで、ある程度調整できる 本数の多い株を優先して集めると、同じグラフト数でも毛の本数が増える
毛の太さ(毛径) 採取する毛を選ぶことで、その人の中での「太め」を集められる 太めの毛を奥(ボリュームが欲しい部位)へ配置する
毛と地肌の色の差・くせ 植毛手術そのものでは基本的に変えられない(毛の色や形は別の美容的な処置で変わることがある) 黒く細い直毛は透けが目立ちやすいため、密度と配置で補う

院長は、ボリュームを出すための要素を「高密度に植えること」「1グラフトあたりの本数が多い株を選ぶこと」「太い毛を選んで採取すること」の3つに分けて考えています。このうち本数と太さは生まれつきの要素が大きいものの、同じ人の頭の中でも毛ごとに特徴は違うため、採取のしかたで「その人の中で太めの毛・本数の多い株」を集めることは可能だという考え方です(院長の臨床上の見解)。

ドナーの毛が細くても植毛はできる?

結論からいうと、ドナーの毛が生まれつき細いこと自体は、植毛ができない理由にはなりません。院長は、後頭部の毛径が細く密度も低い方でも、植毛で見た目の改善を見込める方はいると考えています。

一方で、大きなボリュームの増加は期待しにくく、ドナーの量や毛の細くなり方によっては手術を勧められない場合もあります。本人が思い描く状態まで改善する見込みが低いと判断した場合は、その見通しをそのままカウンセリングで伝えます。医学的に植毛が適応となる場合には、期待できる改善と限界、メリット・デメリットを説明し、本人の希望を踏まえて治療方針を決める方針です(院長の臨床上の見解)。

「髪が細い」と感じている人の中には、薄くなった前頭部や頭頂部の毛だけが細く、後頭部の毛は比較的太い、というケースも少なくありません。AGA(男性型脱毛症)では、影響を受けた部位の毛が周期ごとに細く短くなる「軟毛化」が起こりますが、後頭部や側頭部の毛は影響を受けにくいためです。

植毛の教科書でも、AGAの部位では毛径のばらつきが大きくなる一方、ドナーとなる後頭部では毛径が比較的そろっていることが、診察の目安として紹介されています。院長も、全体が薄く見える方でも後頭部の毛は比較的保たれていることが多く、そうした場合は既存毛の状態や移植範囲を評価したうえで、既存毛の間への植毛を検討できる場合があると述べています(院長の臨床上の見解)。

後頭部や側頭部まで軟毛化している場合は、植毛が適さないことがある

注意が必要なのは、「もともと毛が細い」のではなく、後頭部・側頭部を含めて毛が細く短くなる変化(軟毛化)が進んでいる場合です。AGAは通常、後頭部・側頭部の毛を残して進行しますが、頭全体にびまん性に軟毛化が広がるタイプの脱毛症では、植毛に使える安全なドナー領域が確保できず、植毛が適さないとされています。

移植した毛も時間とともに細くなるおそれがあるためです。こうした場合は、まず脱毛の原因を確認し、必要に応じて薬物療法などの内科的治療を検討します。治療後も十分に安定したドナー領域を確保できない場合は、植毛を勧められないことがあります。体質的な細毛か、進行性の軟毛化かは、本人の自己判断では区別しにくいため、マイクロスコープでの診察が重要になります。

このため、「自分は髪が細いから植毛は無理」と自己判断する前に、ドナーの毛径と密度を診察で確認することをおすすめします。当院では、マイクロスコープで後頭部の毛の太さ・1つの毛穴から生えている本数・密度を観察し、採取できる量と見込める仕上がりを説明しています。

ドナーの状態 植毛の考え方の目安
後頭部の毛は太く、薄い部位の毛だけが細い ドナーの状態が保たれていれば植毛を検討しやすい。ただし、既存毛の状態や薄毛の進行を評価したうえで、移植範囲と密度を決める
後頭部の毛が生まれつき細いが、密度は保たれている 検討できる場合が多い。太めの毛・本数の多い株を選ぶ工夫と、密度計画が重要になる
後頭部の毛が細く、密度も低い 改善を見込める方もいるが、大きなボリューム増加は期待しにくく、ドナーの量によっては手術を勧められないこともある。どこまで改善を見込めるかを率直に確認したうえで判断する
後頭部・側頭部にも進行性の軟毛化がある 安全なドナーが確保できないため、植毛が適さない場合がある。まず原因を確認し、必要に応じて内科的治療を検討する

※目安であり、実際の適応は年齢、薄毛の範囲と進行の見込み、皮膚の状態、希望する仕上がりなどをあわせて診察で判断します。

細いドナーでボリュームを出すための手術側の工夫

ここからは、ドナーの毛が細い方の手術で当院が行っている工夫を紹介します。いずれも院長の臨床上の考え方で、個々の方の仕上がりを保証するものではありません。

1. 2〜3本毛と太めの毛を選んで採取する

FUE(毛包単位ごとに採取する方法)では、毛包単位(FU)ごとに採取する対象を選ぶことができます。院長は、ドナーの毛が細い方ほど、1つの毛包単位に2〜3本の毛を含む株や、その人の中で太めの毛を優先して採取するようにしています。仮に1本毛だけを1,000グラフト採取した場合の毛の本数は1,000本ですが、平均2本毛なら約2,000本になり、同じグラフト数でも本数は大きく変わります。

ただし、すべての株を希望どおりに採取できるわけではなく、2〜3本毛や太めの毛を選ぶ際も、採取部の密度が偏って薄く見えないよう、採取位置や株の構成に配慮します。採取した株は1株ずつ確認し、毛の本数・太さで仕分けます。この工程は「植毛の「株分け」とは?」で解説しています。

2. 太めの毛を奥に、細い毛を手前に配置する

生え際の最前列には、通常、細めの1本毛を優先して配置します。最前列に複数本毛や太い毛を置くと、自然さを損なう「植毛感」の原因になりやすいためです。そこで当院では、細く柔らかい1本毛を生え際の手前に、太めの毛や2〜3本毛をその後ろから奥にかけて配置する考え方を基本にしています。ドナーの毛が細い方では、この「太めの毛を奥に集める」配置が、少ないグラフトでボリューム感を出すために特に重要になると院長は考えています。

3. 株の大きさに合わせて移植穴(ホールスリット・ラインスリット)を使い分ける

移植穴には、刃で線状に切る「ラインスリット」と、細い円筒状の器具で丸く作る「ホールスリット」があります。当院では、移植する株の大きさや部位に応じて、小径のホールスリットとラインスリットを使い分けています。

院長は、毛の太さ・毛流・移植密度を考慮して移植穴を選ぶことを重視しており、ドナーの毛が細い方や頭頂部の手術では、小さなホールスリットを主体にして太めの2〜3本毛を植えることが多いとしています(院長の臨床上の見解)。

ただし、移植穴の形状だけで傷跡の目立ちやすさや仕上がりが決まるわけではありません。生え際の最前列は、細い1本毛をラインスリットで植えて毛の流れを整えます。2つの移植穴の違いは「ホールスリットとラインスリットの違い」で解説しています。

4. 密度の計画を部位ごとに決める

当院では、生え際は光が当たっても地肌が透けにくいことを重視して、毛径・既存毛・頭皮の血流などの条件が適する場合に、生え際の一部で1㎠あたり50グラフト前後を計画することがあります。ただし、すべての方に適した密度ではなく、高密度に植える場合は既存毛への影響や生着不良に注意が必要です。

ドナーの毛が細い方では、この密度の計画と、どの範囲を優先するかの判断がより重要になります。一方、既存の毛が残っている部位では、既存毛を傷つけないことを優先し、入れすぎないようにします。既存毛の間に植える手術の難しさは「既存毛間植毛とは?」で解説しています。

工夫 狙い 注意点
2〜3本毛・太めの毛を選んで採取 同じグラフト数で毛の本数と毛径を確保する ドナー全体の毛の構成に左右される。選べる範囲には限りがある
太めの毛を奥、細い毛を手前に配置 自然な生え際とボリュームを両立する 最前列に太い毛を置くと不自然になりやすい
株の大きさに合わせて小径のホールスリットとラインスリットを使い分ける 太めの2〜3本毛を植えやすくし、最前列は細い1本毛で自然に見せる 移植穴の形状だけで傷跡や仕上がりが決まるわけではない
部位ごとの密度計画 限られたグラフトを優先順位の高い範囲に使う 既存毛がある部位では入れすぎない

計画で注意したいこと:ドナーの消費と将来の進行

ドナーの毛が細い方は、同じ見た目を得るためにより多くのグラフトが必要になりやすい一方で、ドナーの総量には限りがあります。植毛の教科書では、計画の段階で、将来の薄毛の範囲とドナーの範囲だけでなく、ドナーの密度と毛径を考慮することが強調されています。

FUEでは、ドナーから採取する割合が高くなるほど、採取部の密度低下や点状の傷跡が目立つリスクが増えます。安全に採取できる量は、もともとの毛径・密度、採取範囲、過去の採取歴、将来の進行の見込みによって異なり、全員に共通する採取割合の上限はありません。

そのため当院では、ドナーが細い方ほど「どの範囲を優先するか」を手術前に決めることを重視しています。広い範囲を1回で埋めようとして1㎠あたりのグラフト数が足りなくなると、全体が薄いままに見えてしまうためです。範囲が広い場合に1回で行うか2回に分けるかの考え方は「広範囲の自毛植毛は1回でできる?」で解説しています。

もう1つの注意点は、ドナー自体の毛も、加齢やAGAの影響で将来細くなることがある点です。植毛の教科書でも、年齢とともにドナーの毛径が低下しうることが、長期的な計画で見落とされやすい要素として挙げられています。

院長も、後頭部の毛が細くなっていく方がいることから、植毛を考える場合はドナー部の状態にも気を配る必要があると述べています。AGA治療薬を続けるかどうか、どの薬を使うかは、副作用や体質を含めて医師の判断が必要で、ドナーの毛の太さに関わる可能性も診察で相談してください(この記事では薬の用量や個々の薬の推奨は扱いません)。移植した毛が年月とともに薄くなる原因は「植毛した毛が数年後に薄くなる原因とは?」で解説しています。

術後の経過:移植毛は生え始めが細いこともある

ドナーの毛が細い方に限らず、移植した毛の多くは術後にいったん脱落し、その後数か月かけて新しい毛が伸び始めます。生え始めの毛は細い場合があり、院長の経験では、おおむね術後8か月頃から太くなっていくことが多いとしています(院長の臨床上の見解で、時期には個人差があります)。そのため、術後3〜6か月の時点で「思ったより細い」「ボリュームが足りない」と感じても、その段階で結果を判断しないことが大切です。仕上がりの評価は、術後1年頃を目安にしてください。半年の時点での考え方は「植毛から半年で生えてこないのは失敗?」で解説しています。

また、既存の毛が一時的に抜けるショックロスは、細い毛だけに起こるわけではなく、太い毛でも起こりえます。既存毛の間に植えた場合は、周囲の毛が一時的に細く見えることもあります。一時的なショックロスは回復することが多い一方、AGAで弱くなっていた既存毛などは十分に回復しない場合もあります。ショックロスの時期や目安は「植毛後のショックロスとは?」で解説しています。

自毛植毛の費用と主なリスク・副作用

自毛植毛は保険適用外の自由診療です。手術料金は「基本料金205,000円(税込)+1グラフトあたりの料金×グラフト数」で計算します。1グラフトあたりの料金は、アルモHi-STANDARD法(刈り上げる)が1,078円、アルモUn-SHAVEN法(刈り上げない)が1,870円(いずれも税込)です。ドナーの毛が細い方でも、グラフト数による料金の計算は同じです。

グラフト数 アルモHi-STANDARD法(刈り上げる) アルモUn-SHAVEN法(刈り上げない)
1,000グラフト 1,283,000円 2,075,000円
1,500グラフト 1,822,000円 3,010,000円
2,000グラフト 2,361,000円 3,945,000円

※いずれも税込・手術料金の計算例です(2026年10月時点)。このほか手術前の血液検査11,000円(税込)がかかり、感染症がある方は別途感染症対策料198,000円(税込)がかかります。血液検査を含めた総額の例:1,500グラフトを刈り上げる方法で行う場合、1,822,000円+11,000円=1,833,000円(税込)です。最新の料金は植毛メニュー(料金表)をご確認ください。手術は通常1回、1日で行います。移植範囲や必要な密度によっては、複数回の手術を計画する場合があります。術後は経過に応じて定期検診を行い、仕上がりは術後約1年を目安に評価します。

主なリスク・副作用:術後の痛み・腫れ・内出血・出血、かさぶた、かゆみ、既存毛の一時的な脱毛(ショックロス。回復しない場合を含む)、感染、毛嚢炎、採取部や移植部のしびれ・感覚の鈍さ、採取部の点状の傷跡や密度の低下、まれに移植部の血行障害(皮膚の壊死を含む)、移植毛が十分に生着しない可能性、移植毛にくせが出る可能性があり、仕上がりの自然さや密度の感じ方には個人差があります。ドナーの毛が細い方では、同じグラフト数でも地肌の透け感が残りやすく、希望するボリュームに届かない可能性があります。自毛植毛はAGAの進行を止めるものではありません。当院の症例は症例紹介でご覧いただけます(仕上がりには個人差があります)。

ドナーの毛が細い人の植毛に関するよくある質問

Q. 髪が細い人は、植毛しても意味がないのでしょうか?

一律に意味がないとはいえません。院長は、ドナーの毛が細く密度も低い方でも、植毛で見た目の改善を見込める方はいると考えています。ただし、太い毛の方と同じボリュームを前提にはできず、後頭部・側頭部にも進行性の軟毛化がある場合は植毛を勧められないこともあるため、どこまで改善を見込めるかを診察で確認したうえで判断してください。

Q. 薄い部分の毛が細いのですが、後頭部も細いとは限りませんか?

はい。AGAの影響を受けた部位の毛だけが細くなり、後頭部や側頭部の毛は比較的太く保たれていることはよくあります。植毛に使うのは後頭部・側頭部の毛なので、評価すべきはドナー部の毛の太さと密度です。診察でマイクロスコープを使って確認できます。

Q. 細い毛でも、密度を高く植えればカバーできますか?

密度を上げることはカバー力を補う方法の1つですが、ドナーの量と皮膚の血流に制限があり、密度を高くした分だけ見た目が良くなるとも限りません。当院では、密度だけでなく、2〜3本毛や太めの毛の選定と配置を組み合わせて計画しています。密度の考え方は「日本人の正常な毛髪密度は1㎠あたり何本?」をご覧ください。

Q. 刈り上げない方法(Un-SHAVEN)でも、太い毛を選んで採取できますか?

はい。刈り上げない方法でも、毛包単位(FU)ごとに毛の本数や太さを確認しながら採取対象を選ぶ点は同じです。採取に時間がかかる分、1回で採れるグラフト数には上限があるため、必要なグラフト数が多い場合は刈り上げる方法や2回に分ける方法を含めて相談します。上限の考え方は「刈り上げない植毛は何グラフトまでできる?」で解説しています。

Q. 術後に生えてきた毛が細いのですが、このまま細いままですか?

移植毛は生え始めが細く、時間とともに太くなっていくことが多いため、術後数か月の時点では判断できません。術後1年頃を目安に評価し、気になる場合は手術を受けた医療機関に経過を相談してください。生着の仕組みと経過の目安は「植毛の生着率(定着率)とは?」で解説しています。よくある質問はこちらにもまとめています。

Q. 女性で、髪全体が細くボリュームがないのですが、植毛はできますか?

女性の薄毛は、生え際が後退する男性のAGAとは異なり、頭頂部や分け目を中心に髪全体が細く薄くなる(びまん性の軟毛化)ことが多く、後頭部・側頭部の毛まで細くなっている場合もあります。そのため、ドナーとして安全に使える範囲が限られ、男性よりも植毛の適応を慎重に判断する必要があります。また、女性の薄毛は、甲状腺の病気、鉄不足、出産や強いストレスの後に一時的に抜け毛が増える状態、髪を強く結ぶ習慣など、植毛以外の対応が必要な原因で起こることもあります。まず脱毛の原因を確認し、後頭部の毛の太さと密度が保たれている場合には、分け目や頭頂部など範囲を絞った植毛を検討できることがあります。髪を刈り上げずに採取する方法(アルモUn-SHAVEN法)も選択肢になります。自己判断せず、マイクロスコープでの診察で、植毛が適しているかどうかを確認してください。

まとめ

  • 髪の見た目のボリュームは、密度や毛の太さに加え、毛流・くせ・地肌との色の差にも左右され、ドナーの毛が細いと同じグラフト数でもカバー力が小さくなります。
  • ドナーの毛が生まれつき細いこと自体は植毛ができない理由にはなりません。一方、大きなボリューム増加は期待しにくく、後頭部・側頭部にも進行性の軟毛化がある場合は植毛が適さないことがあるため、見込みを診察で率直に確認することが大切です。
  • 当院では、2〜3本毛や太めの毛を選んで採取し、太めの毛を奥・細い毛を手前に配置し、株の大きさに合わせて移植穴を使い分けるなどの工夫で、その方が持つ毛の範囲でボリュームを引き出すことを目指しています(仕上がりの保証ではありません)。
  • ドナーの消費と将来の進行を考え、優先する範囲を決めて計画します。移植毛は生え始めが細く、評価は術後1年頃が目安です。

参考文献:Unger R, Shapiro R, eds. Hair Transplantation. 6th ed. Thieme; 2022(毛髪の計測機器の章:頭髪の量が密度と毛径で決まること/長期的な計画と安全なドナー領域の章:毛径の低下がカバー力と見た目の密度感に大きく影響すること、計画でドナーの密度・毛径と将来の変化を考慮すること/FUEとFUTの比較の章:採取割合が高いほどドナーが薄く見えるおそれがあること/ダーモスコピーの章:AGA部位の毛径のばらつき/びまん性に軟毛化が広がる脱毛症が植毛の適応になりにくいこと)。「当院では」「院長は」とある記述は、院長の臨床上の見解または当院の案内です。


執筆:編集部/監修:内田直宏医師

このコラムの著者

アルモ形成クリニック 
院長 内田直宏

筑波大学医学部卒業後、マイクロサージャリー(顕微鏡手術)を含む形成外科施術に6年間従事。
東京、秋葉原でアルモ形成クリニックを開院。
沖縄から北海道まで、遠方の患者様に多くご来院いただいております。
年間200症例以上の自毛植毛施術を執刀しており、AGA治療(内服療法、注射療法、レーザー治療)や美容外科施術にも長けている。
自毛植毛だけでは実現の難しい、額をせまくする手術やFUT植毛による傷跡のカバーアップなどといった技術も高く評価を受けている。

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