なおるん毛髪情報局
植毛後の頭皮がぼこぼこ・凹凸になる原因は?ピッチング・リッジングの見分け方と修正
【この記事の結論】
植毛後の移植部に残る頭皮の凹凸には、毛穴の部分が小さくくぼんで見える「ピッチング」、毛穴の周りが小さく盛り上がる「テンティング」や石畳のように見える「コブルストーニング」、線状・帯状に盛り上がる「リッジング」などがあります(文献によって用語の使い方には違いがあります)。いずれも、移植床(毛を植える穴やスリット)の大きさ・深さとグラフト(移植する毛の単位)の大きさが合っていないことなどが原因として知られています。
術後数週間の腫れ・かさぶた・赤みによる凹凸は、多くの場合は時間とともに落ち着きます。一方、術後1年前後たっても残る凹凸は、傷跡(瘢痕)として残っている可能性があり、診察で状態を確認します。
修正では、凹凸そのものに対する処置と、既存毛や前回の移植毛をできるだけ温存しながら追加の移植で毛によって目立ちにくくする方法とを分けて考え、皮膚の状態に応じて検討します(院長の臨床上の見解で、凹凸がなくなることを保証するものではありません)。
※この記事は、移植した側(前頭部や頭頂部など)の皮膚の凹凸を扱います。後頭部の採取部の傷跡は「植毛の傷跡は残る?」、手術直後にグラフトが浮いて見える状態は「植毛後にグラフトが浮く・飛び出す「ポップアップ」とは?」で解説しています。自毛植毛の全体像は「自毛植毛」のページをご覧ください。
ピッチング・リッジングとは?移植部の凹凸の種類
自毛植毛では、移植部に小さな移植床を作り、そこへグラフトを1つずつ植えます。傷が治る過程で、グラフトの表面が周りの皮膚と同じ高さにそろえば凹凸は目立ちにくくなりますが、高さがずれたまま治ると、毛穴ごとに小さなくぼみや盛り上がりとして残ることがあります。名称は医師や文献によって多少異なりますが、おおむね次のように分けて説明されます。
| 種類 | 見え方 | 一般的に考えられる原因 |
|---|---|---|
| ピッチング(点状のくぼみ) | 毛の出口が小さくくぼみ、点状のへこみが並んで見える(瘢痕として残ったものはピットスカーと呼ばれることがある) | グラフトが皮膚面より深く沈んだ、移植床が大きい・深い、器具による押し込み |
| テンティング | 毛の出口の周りが小さく盛り上がり、ぶつぶつして見える | 移植床が浅い、グラフトが大きい・周りの組織が多い、グラフトが皮膚面より高く出たまま治った |
| コブルストーニング(石畳状) | 毛穴周りの盛り上がりが複数並び、石畳のような不規則な凹凸に見える | テンティングと同様。移植床の深さが足りない場合に起こりやすいとされる |
| リッジング | 生え際などに、線状・帯状の盛り上がりが見える | 移植床の密度やグラフトに付いた組織の量、治る過程での瘢痕のでき方などが関係すると考えられる |
教科書でも、移植床はグラフトの長さに合う深さが必要で、浅すぎると石畳状の見た目になりうること、植え込み用の器具(インプランター)でグラフトが深く沈みすぎるとくぼみの原因になりうることが指摘されています。グラフトが深く沈みすぎたり、周りの皮膚から過度に突き出したりしないよう、移植床の深さとグラフトの大きさを調整することが大切です。
術後の時期で見分ける凹凸の目安
移植部の凹凸は、術後の時期によって意味が異なります。術後早期の凹凸の多くは治る過程の一時的な変化ですが、時間がたっても残るものは瘢痕の可能性があります。
| 時期の目安 | よくみられる状態 | 考え方 |
|---|---|---|
| 術後〜2週間ごろ | 腫れ、かさぶた、グラフトの周りの小さな盛り上がり | 傷が治る過程の変化であることが多い。かさぶたは無理にはがさない |
| 術後数週間〜3か月ごろ | 赤み、ニキビのようなぶつぶつ(毛嚢炎)、小さなしこり | 毛嚢炎は術後数週間からみられることがあり、移植毛が再び伸び始める時期には、埋没毛や毛嚢炎などで小さなぶつぶつが出ることもある。痛み・腫れ・膿が続く場合は受診する |
| 術後半年〜1年ごろ | 赤みが引き、皮膚の質感や毛穴周りの高さの差が見えてくる | 毛の仕上がりの評価は1年前後が目安。ただし、凹凸が強い場合や赤み・痛み・しこりが続く場合は、1年を待たずに受診する |
| 術後1年以降 | 点状のくぼみや盛り上がりが残る | 瘢痕として残っている可能性がある。修正の要否を診察で検討する |
術後のかさぶたの扱いは「植毛のかさぶたはいつ取れる?」、ダウンタイム全体の経過は「植毛のダウンタイムはいつまで続く?」で解説しています。
なお、元々毛が生えている場所に穴を作った場合などに、表皮の成分が皮膚の中に入り込み、小さな袋状のしこり(粉瘤のような状態)になることがあります。毛嚢炎とあわせて、移植部のぶつぶつの原因になることがあるため、自己判断でつぶさず、手術を受けたクリニックに相談してください。
凹凸が残りやすくなる要因
凹凸は1つの原因だけで起こるとは限らず、手術の条件と、皮膚の状態が重なって起こることがあります。
- 移植床とグラフトの大きさが合っていない:穴が大きすぎるとグラフトが沈みやすく、小さすぎたり浅すぎたりするとグラフトが押し上げられたまま治りやすくなります。
- グラフトが大きい・周りの組織が多い:大きな株や、トリミングが不十分な株は、移植床に収まりにくく盛り上がりの原因になることがあります。株の整え方は「植毛の「株分け」とは?」で解説しています。
- 植える深さ・高さのばらつき:同じ範囲でもグラフトの長さは少しずつ違うため、深さをそろえないと、場所によって沈んだり浮いたりします。
- 傷の大きさ・密度と皮膚への負担:移植床の大きさ・深さ、作る密度、周りの組織への損傷などが重なると、皮膚の治り方や瘢痕のでき方に影響することがあります。
- 皮膚の状態:以前の手術や外傷の瘢痕、頭皮アートメイクの跡、喫煙、日光によるダメージなどは、傷の治り方や血流に影響することがあります。
当院では、移植床の大きさや深さを1つ1つのグラフトの太さ・長さに合わせ、グラフトを細かく整えたうえで、皮膚面となじむ高さに植えることを重視しています。既存毛の間や奥には直径の小さいホール状の器具を使い、皮膚への負担をできるだけ抑えるようにしています(院長の臨床上の見解・当院の方針)。凹凸の起こり方には体質や皮膚の状態も関わるため、どの方法でも凹凸が起こらないとは言えません。
凹凸が気になるときの修正の考え方
術後1年前後たっても凹凸が気になる場合は、まず診察で、凹凸の種類、範囲、毛の密度、周りの既存毛の状態、ドナー(毛を採る後頭部)の残りの量を確認します。院長がこれまで診てきた修正の相談では、凹凸だけでなく、密度不足や毛の向きの不揃いが一緒にみられることも少なくありません(院長の臨床上の見解)。
| 方法 | 内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 密度を補って目立ちにくくする | 凹凸のある範囲や周りに、細い器具で新たにグラフトを移植し、毛で皮膚の質感を目立ちにくくする | 凹凸そのものを治す方法ではない。瘢痕部では血流や皮膚の状態によって移植毛が生着しにくい場合があるため、移植密度を慎重に設定することがある |
| 問題のあるグラフトを取り除く | 盛り上がりの目立つ株や不自然な株を小さなパンチで取り除き、必要に応じて別の場所へ植え直す | 取り除いても瘢痕による盛り上がりが残る場合があり、取り除いた部分に小さな傷跡が残ることもある。線状・広範囲の盛り上がりは株の除去だけで修正できるとは限らない。植え直しの可否や追加の処置は個別に判断する |
| 経過をみる | 軽い凹凸で、髪が伸びると目立たない場合は、手術をせずに経過をみる | 短髪にすると見えやすくなるため、希望の髪型を含めて判断する |
修正手術は、すでに生えている既存毛や前回の移植毛を傷つけないようにしながら行う必要があり、初回の手術より難しくなることが多い手術です。当院では、幅の小さいスリット器具や直径の小さいホール状の器具を使い、既存毛と前回の移植毛をできるだけ温存しながら密度を補う方法をとることがあります(院長の臨床上の見解)。修正を受ける時期は、前回の手術の仕上がりが評価できる時期まで待つことが一般的です。
前回の手術でどのくらいの密度で植えられたかは、移植直後の写真や手術記録から分かることがあります。写真の見方は「植毛の症例写真の見方」、手術記録の確認は「契約したグラフト数は本当に植わった?」、提案が分かれたときの考え方は「植毛のセカンドオピニオンの受け方」で解説しています。
自毛植毛の費用と主なリスク・副作用
当院の自毛植毛は、後頭部などから毛包単位で毛を採取し、薄毛の部分へ移植する手術(FUE)です。修正を目的とした植毛も含め、自毛植毛は保険適用外の自由診療です。手術料金は「基本料金205,000円(税込)+1グラフトあたりの料金×グラフト数」で計算します。1グラフトあたりの料金は、アルモHi-STANDARD法(刈り上げる)が1,078円、アルモUn-SHAVEN法(刈り上げない)が1,870円(いずれも税込)です。
| グラフト数 | アルモHi-STANDARD法(刈り上げる) | アルモUn-SHAVEN法(刈り上げない) |
|---|---|---|
| 500グラフト | 744,000円 | 1,140,000円 |
| 1,000グラフト | 1,283,000円 | 2,075,000円 |
| 1,500グラフト | 1,822,000円 | 3,010,000円 |
※いずれも税込・手術料金の計算例です(2026年10月時点)。このほか手術前の血液検査11,000円(税込)がかかり、感染症がある方は別途感染症対策料198,000円(税込)がかかります。血液検査を含めた総額の例:1,000グラフトを刈り上げる方法で行う場合、1,283,000円+11,000円=1,294,000円(税込)です。グラフトの除去など移植以外の処置を伴う場合は、通常の植毛料金とは別に費用がかかることがあり、処置の内容と範囲に応じて事前にお見積もりを提示します。最新の料金は植毛メニュー(料金表)をご確認ください。手術は通常1回、1日で行いますが、範囲や必要な密度によっては複数回の手術を計画する場合があり、修正では状態に応じて追加の診察や複数回の処置が必要になることがあります。術後は経過に応じて検診を行い、仕上がりは術後1年前後を目安に確認します。
主なリスク・副作用:術後の痛み・腫れ・内出血・出血、かさぶた、かゆみ、既存毛の一時的な脱毛(ショックロス。回復しない場合を含む)、感染、毛嚢炎、移植部の小さなしこり、採取部や移植部のしびれ・感覚の鈍さ、採取部の点状の傷跡や密度の低下、移植部の凹凸や色の変化、まれに移植部の血行障害(皮膚の壊死を含む)、移植毛が十分に生着しない可能性(瘢痕のある部分では生着しにくいことがあります)、移植毛にくせが出る可能性、仕上がりに左右差が出る可能性があり、仕上がりの自然さや密度の感じ方には個人差があります。自毛植毛はAGAの進行を止めるものではありません。生着の仕組みは「植毛の生着率(定着率)とは?」、当院の症例は症例紹介でご覧いただけます(仕上がりには個人差があります)。
植毛後の頭皮の凹凸に関するよくある質問
Q. 術後1か月ですが、移植部がぼこぼこしています。失敗でしょうか?
術後早期は、腫れやかさぶた、治る過程の変化で凹凸が見えることがあり、この時期だけで判断することはできません。痛み・腫れ・膿が強くなる場合は感染や毛嚢炎の可能性があるため、早めに手術を受けたクリニックに相談してください。凹凸の評価は、毛が伸びそろう術後1年前後を目安にします。
Q. 凹凸は時間がたてば自然に治りますか?
術後早期の腫れによる凹凸は落ち着くことが多い一方、1年前後たっても残る凹凸は、瘢痕として残っている可能性があります。軽い凹凸は髪が伸びると目立ちにくくなることもあるため、希望の髪型と合わせて修正の必要性を考えます。
Q. 他のクリニックで受けた植毛の凹凸も相談できますか?
相談できます。以前の手術の時期、グラフト数、手術記録や術直後の写真があれば、状態を判断する手がかりになります。修正では既存毛と前回の移植毛を温存することが大切なため、範囲と密度、ドナーの残りの量を確認したうえで方法を検討します。
Q. 凹凸を防ぐために、患者側でできることはありますか?
術後の移植部をこすったり、かさぶたを無理にはがしたりしないこと、喫煙を控えることなど、術後の注意事項を守ることが大切です。術後すぐの過ごし方は「植毛後48時間が重要といわれる理由」で解説しています。そのほかのよくある質問はこちらにもまとめています。
Q. 修正手術はいつから受けられますか?
修正の要否は、前回の手術の仕上がりが評価できる術後1年前後を目安に判断することが一般的です。術後早期は腫れや赤み、移植毛の生えそろい途中の状態が残っていて、凹凸や密度を正しく評価できないためです。瘢痕による凹凸の場合は、赤みが引いて皮膚が落ち着くまで、さらに時間をおくことがあります。
一方、痛み・腫れ・膿が続く場合や、しこりが大きくなる場合は、修正の時期とは別に、1年を待たずに受診してください。他院で受けた手術の場合も、術後の時期と現在の状態を確認したうえで、適切な時期をご案内します(院長の臨床上の見解)。
Q. 凹凸は髪型や短髪でどのくらい目立ちますか?
軽い凹凸は、髪がある程度の長さまで伸びていると毛に隠れて目立ちにくいことが多い一方、次のような状況では見えやすくなります。
- 刈り上げや坊主など、地肌が見える短い髪型にしたとき
- 髪が濡れて地肌が透けるとき
- 真上からの照明や強い日差しの下
- 分け目や生え際を出す髪型にしたとき
修正が必要かどうかは、凹凸の程度だけでなく、今後どのような髪型にしたいかによっても変わります。短髪を希望される場合は、凹凸そのものへの処置も含めて検討することがあるため、カウンセリングでは希望の髪型も伝えてください(院長の臨床上の見解)。
Q. 赤みやしこりが強い場合や、ケロイド体質の場合はどう対応しますか?
移植部の赤みや盛り上がりが長く続く、しこりが硬くなる、範囲が広がるといった場合は、肥厚性瘢痕(傷の範囲内で盛り上がる傷跡)やケロイド(傷の範囲を超えて広がる傷跡)、粉瘤のようなしこり、毛嚢炎などの可能性があります。見た目だけでは区別がつきにくいため、自己判断でつぶしたり触ったりせず、診察を受けてください。
肥厚性瘢痕やケロイドが疑われる場合は、状態に応じてステロイドの注射や外用薬などの治療を検討します【要確認:当院で対応可能な処置/提携先・皮膚科への紹介か】。瘢痕が落ち着く前に追加の移植を行うと、生着しにくかったり傷跡が悪化したりするおそれがあるため、修正の時期は慎重に判断します。
ケロイド体質の方や、過去に傷跡が盛り上がった経験のある方は、手術を受ける前に必ず医師に伝えてください。体質によっては、自毛植毛が適さない場合もあります。
まとめ
- 移植部の凹凸には、点状にくぼむピッチング、毛穴周りが盛り上がるテンティングやコブルストーニング、線状に盛り上がるリッジングなどがあり、移植床の大きさ・深さとグラフトの大きさのずれなどが原因として知られています。
- 術後早期の凹凸は腫れやかさぶたによる一時的な変化であることが多く、評価は術後1年前後を目安にします。
- 1年前後たっても残る凹凸は瘢痕の可能性があり、毛で目立ちにくくする追加の移植や、突き出した株の除去などの方法を、皮膚・既存毛・ドナーの状態を踏まえて検討します。強い凹凸や赤み・痛み・しこりが続く場合は、1年を待たずに受診してください。
- 修正は初回の手術より難しくなることが多く、凹凸が完全になくなるとは限りません。費用は「基本料金+1グラフトの料金×グラフト数」で計算します。
参考文献:Unger R, Shapiro R, eds. Hair Transplantation. 6th ed. Thieme; 2022(Planting:移植床の深さが足りない場合の石畳状の見た目/植え込み器具の章:グラフトが深く沈むことによるくぼみ/グラフトの配置:周りの皮膚となじむ高さに植えること/FUEの適応:位置の悪い株の除去と再配置)。「当院では」「院長は」とある記述は、院長の臨床上の見解または当院の案内です。
執筆:編集部/監修:内田直宏医師